【CompTIA スキルアップコラム Vol.4】企業でのスキルギャップの解消を目指す

CompTIA マーケティング/チャネル ディレクター吉村 睦美

2020.10.01

ここまで3回にわたり企業で資格を導入する上での注意点や有効性、そして「投資」としての人材育成を考える上での「認定資格のROI」についてお話をしてきました。
今回のコラムでは、企業でのスキルギャップと認定資格についてご案内をしたいと思います。

CompTIAでは、毎年「International Trends in Technology and Workforce(テクノロジーとワークフォースに関する国際的な動向)」というリサーチを行っています。目まぐるしく変化するITワールド(IT業界だけではなく、ITを使った仕事を含めて全般)に対しての企業と人材の動向についてのリサーチです。

このリサーチの中では、日本国内の10社中7社は、社内の人材にスキルギャップを感じており、またこの課題にアプローチする難しさを感じています。それを証するように、過去2年間のスキルギャップの変化の調査でも、拡大している、変化なしとで70%近くの企業が回答しています

<過去2年間にわたるスキルギャップの変化>


CompTIA「International Trends in Technology and Workforce」より

「スキルギャップ」は、本来、社員のパフォーマンスが雇用者の期待や要求を満たしていない状態を表しています。スキルギャップの状況を正確に読み取るのはとても困難です。自社がスキルギャップの把握や評価をきちんと把握できているとする企業は、少数派(日本15%/グローバル39%)にすぎません。反対に、ほぼ半数が状況の把握に苦戦していると回答し、またある部分では把握できているが一部に過ぎないと回答している企業も多くいます。

そして、回答の内訳をみると日本企業にとってITワークフォースの採用や雇用の維持を妨げるものとしてあげられている中には、ソフトスキル、イノベーション(改革)、考え方、そして賃金のギャップなども含まれていました。イノベーションギャップと回答している企業は、イノベーションの速度にトレーニングや人材育成が追い付いていないと考えています。また、ソフトスキルの課題は、プロジェクト管理、コラボレーション、あるいはコミュニケーションといった面におけるIT以外のエリアにおける不十分なスキル/能力の表れです。考え方におけるギャップは、企業が社員の多様な経歴を考慮せず、特定の型にはまることを期待する場合に発生しているようです。

ITに関連するスキルギャップにフォーカスをすると、下記のような分野があげられていました。

 

<IT分野のスキルギャップ分野>
• 異なるアプリケーション、データソース、プラットフォーム、デバイスの統合
 (日本49%/グローバル55%)
• 新興技術(日本48%/グローバル57%)
• ソフトウェアまたはアプリケーション開発(日本46%/グローバル54%)
• ソフトスキル(日本44%/グローバル52%)
• データマネジメント/解析(日本43%/グローバル53%)
• サイバーセキュリティ(日本42%/グローバル55%)

 

では、このスキルギャップへの対応として、認定資格はどのように活用できるのでしょうか?
これには2つの活用が考えられます。

1つは、特定の業務へのアサイン時に、認定資格取得の有無を確認することです。もし、特定の業務に対して外部からの採用を検討されているようであれば、募集要項に特定の認定資格名称を記載することです。もちろん、この認定資格は、その業務のスキル要件を満たしていることが大切です。これは、第1回のコラム「認定資格って必要なの」でご案内をした「スキルの証明」です。
業務に就く方が適切なスキルを持っているかは、この認定資格取得の有無を確認することで、とても容易に判断が可能です。

そして、もう1つの活用方法は、業務に就く方をアサインした上で、特定の認定資格の取得を促すことです。これも、第1回のコラム内で「経験値の早期獲得」としてご案内をしました。認定資格の取得を目指すトレーニングを受講することで、必要となるスキルを取得することができます。そして、認定資格を取得することで、このスキルを証明することができるのです。

「スキルギャップ」を感じること、もしくは感じられることは、企業にとっても、業務に就いている方にも好ましいことではありません。それは「パフォーマンスの低下」や「チームワークの乱れ」に、そして、「従業員満足度の低下」につながります

来年度のスタートに際しては、それぞれの業務とその業務に就いている方のスキルを再度見直し、適切な配置、そして必要であれば、トレーニングや認定資格の取得を実施することで、スキルギャップの解消を検討されてはいかがでしょうか。

 

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Profile
吉村 睦美
CompTIA マーケティング/チャネル
ディレクター
SI企業の営業、米国大手コンサルタント企業などを経て2005年よりCompTIA日本支局にて、認定資格の普及啓蒙のためのマーケティングを担当。認定資格を利用したITに携わる人材の発展のため、様々なプロモーション活動を行う。

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