Interview

お取引先様インタビュー

[人事・教育担当者にうかがう、人材育成への取り組み]

お取引先様インタビュー

コロナ禍を経て、さらなる飛躍へ
時代の変化や社員のニーズをとらえた、有用度の高い研修を実施

松竹株式会社
松尾 健司 氏 / 猿田 理沙子

Interview

松竹株式会社 松尾 健司 氏 / 猿田 理沙子 氏

1895年(明治28年)の創業以来、様々なエンタテインメントの制作から配給まで、一貫して提供し続けてきた松竹株式会社(以下、「松竹」。)歌舞伎を代表する日本文化の伝統を継承、発展させながらも、時代のニーズをとらえたエンタテインメントを常に追求し続けている。そんな松竹では、事業の縮小をせざるを得なかったコロナ禍を経て、さらなる飛躍をとげるべく、社員に求めるスキル及び研修の体系化を図ろうとしているところだ。
今回、人事部人材開発室の松尾氏、猿田氏をお訪ねし、教育へのお取組みや「アンコンシャスバイアス研修」「コンプライアンス研修」を導入した理由についてお話を伺った。

―はじめに、貴社の取り組みについて、お聞かせください。
松尾氏:松竹グループは、演劇・映像・不動産・事業開発の4つの事業部門と1つの管理部門からなる総合エンタテインメント企業グループです。
演劇本部では、歌舞伎を中心に、喜劇やミュージカルなどの演劇全般を手掛けています。ライブエンタメに加え、いつでも楽しんでいただけるよう録画配信などの二次利用にも力を入れています。
映像本部では、これまでの映画の製作に加えて、近年はアニメ事業にも注力しています。現在、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』という最新作が、ありがたいことに大ヒット中です(取材は2024年1月29日)。一方で、数多くある旧作品をうまく活用しているのも、松竹ならではの特徴です。
不動産本部では、元々多く所有している劇場や映画館を活用したビルの賃貸事業などにより、安定した収益基盤を築いています。近年は、東銀座のエリアマネジメントにも積極的に取り組んでいます。
事業開発本部は、「伝統の継承だけではなくて、時代のニーズに合わせたものを作っていく」という弊社のミッションを達成すべく、演劇・映像部門の手が届かないような新領域やコラボレーションの仲介役となり、様々な新規事業を展開する役割を担っています。

―求める社員像や教育方針について、お聞かせください。
松尾氏:社員向けに掲げる求める人物像としましては、「挑戦する人」、「価値を最大化する人」、そして「組織力を最大化できる人」です。ミッションに基づき、求める人物像を設定し、そこに紐づく評価制度を導入しています。
教育方針としましては、会社として受けてもらいたい研修もありますが、人事部が一方的に押し付けることのないよう、現場や経営陣のニーズもヒアリングしながら、研修を構成しています。特定の方ばかりが受講しないよう、手上げ式だけでなく、必須受講を増やすなど、バランスを見ながら進めています。

―二年前に取材をさせていただいた際に社員教育の内容を伺ったところ、内定者フォローや新入社員研修、2年目研修を経て、3年目でジョブローテーションが組まれ、オンライン研修はいつでも受講可能とのことでしたよね。
松尾氏:同様の内容を継続して実行しています。変更点としましては、オンライン研修の必須受講の機会をより増やしました。社員が主体的に学びたい資格の取得などを支援する「自己啓発支援」は、引き続き積極的に活用されており、予算配分を工夫し、学びたいものを学べる環境を整えています。

「社外派遣研修制度」や「ミッション浸透研修」など、松竹株式会社のユニークな社員研修について詳しくお聞きした記事はこちら

―今回「アンコンシャスバイアス研修」と「コンプライアンス研修」を導入いただきました。
まず「アンコンシャスバイアス研修」を導入するに至った背景をお聞かせください。

松尾氏:「アンコンシャスバイアス」は、ハラスメント防止の取り組みとして、元々興味のあったテーマでした。最近は、広告でも取り上げられているように、日常に当たり前に入り込んできているテーマですよね。また、ここ数年の基礎的・汎用的な研修を経て、テーマ別に切り口を設定した方がより集中して受講できるのではないかと感じていたところでしたので、その第一弾は「アンコンシャスバイアス」がいいと考えました。「アンコンシャスバイアス」は誰しもが持っていますので、全員が当事者意識で聞けるのもいいですね。

―TACを採用いただいた決め手をお聞かせください。
松尾氏:打ち合わせの場でカリキュラム案のご説明をいただいた際にエッセンスがわかりやすかったです。また、相手に寄り添ってくださる井上講師なら、堅苦しすぎてもいけないけれど面白おかしくしすぎてもいけない「アンコンシャスバイアス」というテーマを、バランスよく扱っていただけそうな印象を受けました。講師の話を聞くだけの一方的な講義では、受講者は「その先どうしたらいいの?」と戸惑いますが、チャットを使って双方向のコミュニケーションをしていただけたのも良かったです。

―受講者の反応は、いかがでしたか?
猿田氏:全体の満足度が94%、理解度が96%、有用度が93%、講師への満足度が91%でした。グループ会社全体が受講対象で、現場の社員も多数出席する中、満足度が高かったです。「今までのセミナーで一番ためになった」という声もあったほど!具体的には、「どこからがハラスメントなのかがクリアになった」「松竹に合う事例が多く、自分事として腹落ちできた」というものから、「日々の自分の認識から改めたい」という、今後の行動にどう落とし込むかという感想が多く寄せられました。
松尾氏:弊社としましても、研修実施の社内告知用のビジュアル作成や社内グループニュースへの掲載などの工夫を重ねたところ、例年100人前後の参加のところ約300人のエントリーがありました。それだけ「ハラスメントに対する正しい知識を得たい」と社員が思っていることに驚きましたし、それだけ期待されている中で「やっぱり実施してよかった!」という結果になり、事務局としても何の不満もございません。

―続いて、「コンプライアンス研修」を導入された背景を教えてください。
松尾氏:「コンプライアンス研修」の導入経緯としましては、二年前に他社に依頼をして、松竹グループの経営陣向けに実施したのが始まりです。その後、現場の社員にも広げたいということで、昨年は中間管理職を対象としてTACさんに依頼しました。全員必須参加と案内したところ、約200名が集まるという非常に高い出席率で、改めてコンプライアンスを学ぶべき時代だと感じましたね。何より、普段は研修に対して辛口な社員からも「聞きやすくてとてもよかった」と好意的な感想が上がってくるなど、研修の満足度が非常に高く、「ぜひ一般社員にも実施してほしい」という声を受けて、今年もTACさんにお願いしました。

―検討段階と実施後でギャップに感じたことはありましたか?
松尾氏:オンライン受講でしたので、受講者の聞く姿勢を懸念していました。ですが、自分の考えを発言する機会の多い参加型研修だったこともあり、受講者が予想以上に講師の問いかけに素早く反応し、積極的に受講してくれました。

―TACの営業の印象はいかがでしたか。
松尾氏:私としては、いきなり本題に入るのではなく、雑談に付き合っていただける川崎さんの距離感が嬉しかったです。メールをしていても、こちらのタイミングにフィットしたほどよいスパンでリマインドをしてくれて、好印象でした。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
松尾氏:コロナ禍で、エンタメ業界は大きな打撃を受けました。松竹も例外ではありません。今後は、コロナ禍に圧縮されていた部分をもう一度伸長させるためにも、人材育成にますます力を入れていきたいと思っています。階層ごとに求められるスキルを体系化して提示し、そのスキルを習得するために人事側はどんな施策を提供できるのか、社員に向けて開示していきたいですね。

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松尾 健司(まつお けんじ)氏

Profile

松尾 健司(まつお けんじ)氏
2006年、新卒で松竹株式会社に入社。映像本部に13年間在籍し、5部署を経験。34歳で人事部に異動。2年間、人事企画、評価・等級・賃金制度設計に従事。2020年から人材開発室にて新卒キャリア採用、新入社員研修や社内研修、キャリア支援サポートに取り組む。

猿田 理沙子(さるた りさこ)氏

Profile

猿田 理沙子(さるた りさこ)氏
2020年、新卒で松竹株式会社に入社。人事部人事厚生室にて、2年間給与計算・福利厚生業務に従事。
その後人材開発室に異動。新卒採用、キャリア採用、社内研修業務に取り組む。