大手食品メーカーグループ会社 代表取締役社長
2023.03.24
メジャーリーグにおいて、二刀流で活躍中の大谷翔平選手はまさに伝説をつくり続けています。打者としてはホームラン王争いにも加わるほどのスラッガー、投手としても時速160kmを超えるストレート、剛速球のスライダー、スプリット等を投げて、まさにエースとして異次元の活躍を繰りひろげています。メジャーのトップクラスの打者を力で抑えている素晴らしい活躍です。
でも、もし、大谷選手が「俺はストレートだけで勝負するんだ。これからは変化球は一切投げない。自分の最も得意なストレートだけで勝負するんだ」
そう決意して、対応していったとしたら、メジャーリーグの強打者を抑えることはできるでしょうか?
さすがの大谷選手といえども、ストレートのみでは無理なことだと思います。
私たちは、メジャーリーガーではありませんが、この一つの例から学ぶことがあるように感じています。日ごろの人間関係において、どのように行動しているかを一緒に考えてみましょう。
仕事上のトラブルの80%は人間関係、コミュニケーションによるものだといわれています。逆にいえば、人間関係やコミュニケーションが良好になっていけば、トラブルのほとんどはなくなっていく、ということにもなります。
時折「コミュニケーションは難しい」という言葉を耳にすると思います。ただこれは、「言葉は力やエネルギーをもっている」ということをしっかりとらえると、決して使ってはいけない言葉であることがおわかりになるでしょう。
私は、極力、「コミュニケーションは難しい」という言葉は使わないようにしています。なぜなら、難しいという言葉そのものの力に引っ張られ、本当にコミュニケーションは難しいと脳が決めつけてしまうからです。
こんな時は、こう言ってみませんか?
「コミュニケーションって奥が深いねえ」
これであれば、ネガティブに引っ張られることはありません。
日ごろの会話でも「あの仕事、難しいね」とか「この新規業務は難しいね」とはいわずに「この○○業務は、奥が深いねえ」という感じに、ライト感覚でぜひ使ってみてはいかがでしょうか?
私自身、課長となり、営業のグループリーダーとなった当初は、ずいぶん肩に力が入っていたように思います。
そのころとても大切にしていた価値観に「自分らしくあること」というものがありました。
「自分らしくふるまい、自分らしく話し、自分らしく発信していくこと」
この「自分らしさ」以上に大切なことはないと感じながら、日々過ごしていました。メンバーへ話しかけるとき、相談を受けるとき、すべてにおいて「自分らしくあること」「自分らしさがあること」が全面にでていたことと思います。
40歳をこえて、42~43歳になったころ、ふと思ったことがあります。
「俺は何のために、今、メンバーに語っているのか?」
「俺はメンバーにどうなってもらいたいと思って伝えているのか?」
自分自身に疑問がわいてきました。自分らしく話すことはその中で、どんな意味があるのだろうか? そして、そもそもメッセージを届けているねらいは、話しているメンバーに行動変容を起こしてもらうためなのではないか、と気づき始めました。
(やばい! 結構遅い気づき……)
「人生を歩んでいくうえで、自分らしい生き方はとても大切だけど、メッセージを伝えるねらいが、相手の行動変容を促すことだとしたら、自分自身の話し方や、接し方へのこだわりなど、どうでもいいんじゃないか? 相手が行動変容を起こせるように、相手に一番あったタイミングで、相手に一番あった方法で、一番伝わるように伝えていけばいいのではないか」と、気づいたのです。
ちょうどそのころ、私はコーチングに出会い、コーチ・エィ(当時はコーチ・トゥエンティワン)の門をたたき、帰宅後、ほぼ毎晩の、電話によるコーチングレッスンを始めました。とても刺激的な日々が続き、気づきの連続でした。終了時には、コーチングの資格(認定コーチ)を取得することができました(そして現在の所有資格は、もう一段上の認定プロフェッショナルコーチになっています)。
コーチングはとても有効なコミュニケーションツールであり、多くの方が経験していくと、世の中のコミュニケーションは、数段よくなっていくと確信しています。私は今でもコーチングを学び続けており、「まさにコーチングは奥が深いなあ」と日々、痛感しています。
コーチングをいろいろ学ぶ中で、衝撃をうけたのが、行動特性によるタイプ分けです。世の中には、4タイプ、9タイプ、16タイプなど様々な分け方がありますが、最も有効なのが4タイプのように感じています。それはなぜか? 9タイプや16タイプは詳細に分かれていてよいのですが、残念ながら、タイプ分けをしても忘れてしまい、結果として活用できないことにつながるからです。
そのため、代表的なタイプ分けに関しては、4つのタイプ分けが最も優れており、かつ活用できるものだと感じています。
その一部をここでご紹介しましょう。4つのタイプは、「社交・促進型」「支配・主導型」「支援・援助型」「分析・戦略型」となります。それぞれのタイプ上での特徴は、次の通りです。
①社交・促進型: ②支配・主導型: ③支援・援助型: ④分析・戦略型: |
皆様はどのタイプに近いですか?
タイプ分けは、あくまで行動の傾向を示しているだけで、人をタイプ分けで決めつけてはいけない、というのが前提です。ただ、異なるタイプを知らないとどうなるかというと、自分と同様の反応をしない人を、「間違っている」とか「使えない」と感じるようになってしまい、最終的には、人の判断を好きか嫌いでしてしまう危険性があるといわれています。
孫子の兵法でも「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と書かれています。
つまり、コミュニケーションにおいて、相手のタイプと自分のタイプを知って対応していけば、連戦連勝につながっていくということです。
逆に、相手を知らず、自分を知らない、というコミュニケーションはとても危険で、まさにトラブルへ一直線ということもあるでしょう。
自分がどのタイプであるかを知り、相手のタイプを知ったうえで、コミュニケーションをしていくと、とてもスムーズな関係性を築くことが可能となります。
タイプ分けは、コミュニケーションの様々な場面で活用することができ、なかでも、「ほめ方」「仕事などの依頼の仕方」などに効果を発揮します。
たとえば、ほめ方について。相手が社交・促進型であれば、「すごいね」「さすがだね」「できる!」「背中がすごい」など、どんなことでもほめればやる気が出るのがこのタイプ。豚もおだてりゃ木に登るタイプです。
(実は私はこのタイプ!)
一方、分析・戦略型の方には、「すごい」「さすが」などといっても、あまり心に届きません。できるだけ具体的にほめることが鍵となります。
たとえば、「前回のプレゼンの資料、15ページの色の使い方、グラフの展開がとてもわかりやすかったよ」といったように、より具体的に伝えることで心に届きます。
また、支援・援助型の場合、「あなたのフォローで、みんなが助かったよ」といった言葉なども、とても有効なほめ方となります。
タイプ別にほめ方を工夫すると、ほめるという行動がより効果的になります。
英語のケミストリー(Chemistry)という言葉には、化学や化学変化のほかに、人との相性や人間関係という意味がありますが、まさにほめ方一つで化学変化が起きてくるということです。この変化を味方にするか否かは、よりよいコミュニケーションのためにも、とても大切だと感じます。
また仕事の依頼の仕方なども、タイプ別に考慮すると効果も変わってきます。
仕事を頼むとき、社交・促進型の方には、「そこのところは、まずざっくり進めて」といって、方向性さえ示めしていれば、OK。
分析・戦略型の方は、「そこは適当に」とか、「まずはざっくり進めて」などと指示すると、思いっきりざわつきます。ご自身を分析・戦略型だと感じている方、いかがでしょうか?
営業時代、タイプ分けのことを知らなかったために、みんな自分と同じタイプのように「すごい!」「やったね!」などの言葉を繰り返していたように思います。
早めにタイプ分けを知っていたら、もっといい形で指導できたかなあと感じるときはあります。ただ、思いっきりほめていたので、それはOKかなと今でも思います。
これからビジネスを進めていくうえで、コミュニケーションにおいて、自分らしさにこだわりますか? それともいろいろな球種をマスターし、いろいろなタイプに対応できる道を選びますか?
「コミュニケーションは奥が深い」
私は、コミュニケーションをかなり研究した方なので、機会があれば、みなさまへのサポートを含めて、いろいろとお手伝いもできるかと感じています。
いろいろなタイプを想定し、伝える方の行動変容を目標として、メジャーの強打者を抑えるように、コミュニケーションを極めていきませんか?
コミュニケーションの達人の道はあなたの手に握られています。
目指せ、メジャー級の活躍を!!
WBC日本代表 侍Japan世界一おめでとう!感動をありがとう!
大谷選手の「今日一日は憧れるのをやめましょう!トップに立つためには……」という言葉は、成功へ向かう魔法の言葉に感じます。
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