衝突を生むのは結論のズレではなく「そもそも大切にしている前提の価値観」
— LEGO® SERIOUS PLAY®がつくる心理的安全性

武蔵野美術大学 造形構想研究科 大学院修士/RCSC 研究員
LEGO®︎ SERIOUS PLAY®︎メソッドと教材活用トレーニング
修了認定ファシリテータ大田 菜緒

2026.10.07

ビジネスにおいてチームで仕事を進めていると、メンバー同士の意見が食い違うことがあります。 このとき、お互いの共通認識が十分にすり合わせできていなかったり、お互いを尊重し合う気持ちが育っていなかったりする場合には、 メンバー間の衝突が起こりやすくなります。これを放置すれば、チームの連携はすぐに崩れてしまうことでしょう。

こうした意見の食い違いの原因は、単に「結論の違い」だけから生まれるのではありません。 多くの場合、その結論に至るまでの前提や、各自が大切にしている価値観の違いから生まれます。

たとえば、ある人は効率性を重視し、別の人は品質やリスクを重視している。そんなときでも両者は、普段は同じ言葉を使い、 意思疎通はできているつもりではいますが、実際には言葉の定義や判断の基準が少しずつ異なったままです。 そして、そのズレは少しずつ広がっていき、最終的にはお互いが容認しきれないほどの溝となり、そこから大きな衝突が生じてしまう。 チームとして仕事を進める際、お互いの視点・能力はとても重要なのに宝の持ち腐れとなってしまいます。

「作って話す」ことで考えの根っこを引き出す対話型研修

LEGO® SERIOUS PLAY®は、グループの話し合いや問題解決を進めるための対話型ワークショップです。 トレーニングを受けたファシリテーターの案内のもと、参加者はレゴ®ブロックを使って自分の考えを形にします。 心の中にあるイメージや意識を作品によって表出させ、アイデアや考えを言語化して、相互に共有していきます。

LEGO® SERIOUS PLAY®では、単に話し合いを活発にするのではなく、レゴ®ブロックを使って“自分の考えを形にする”という行為を大切にしています。 言葉だけの議論では、饒舌な人や声の大きい人の意見ばかりが目立ってしまったり、特定の考えに流れてしまったりすることもあるでしょう。

しかしレゴ®ブロックを使った対話では、「全員が作り、全員が作品について語る(100%の参加)」というルールのもと、それぞれの価値観が形になっているので、 視覚を通しても相手に伝わりやすくなります。さらに、対話の対象が「人」ではなく「作品(ブロック)」に向かうため、 非難や感情的にならずに安心して本音や想いを出せる、高い心理的安全性が生まれます。

「まずやってみる(手を動かすこと)」から始まるアプローチ

LEGO® SERIOUS PLAY®では、最初から頭で完璧に考えるのではなく、まず作ってみることから始めます。 実はここには大きな意味があります。

人がもつ知識や想いの多くは、無意識(潜在意識)の中にあるといわれています。 普段の会話では言葉にできない価値観や前提が、頭の中では働いていることがあるのです。 だからこそ、手を動かしてブロックで表現することで、その潜在意識下の考えを顕在化させていくことができます。 時には自分自身でさえ「自分はこんなことを大切にしていたんだ」と気づかされることもあるほどです。

さらに、作った作品をもとに自分の言葉で語ることで、曖昧だった想いが具体化され、メンバーに対して自分の価値観や考えをしっかりと伝えることができるようになります。

安心して語ることができ、アイデアがまとまる

LEGO® SERIOUS PLAY®によるワークショップには、次のような特長(狙いと効果)があります。

・ それぞれの隠れた価値観(インサイト)が表れやすい
・ 相互に信頼・尊重し合う関係をつくりやすい
・ 曖昧な表現を、対話で扱える形にできる
・ 全員が意見・アイデアを等しく表明できる環境(心理的安全性)をつくれる
・ 異なるアイデアを統合し、より高度な解決策を導き出せる

また、「手を使ってモノを作る」プロセスを通じて自分の発想や意見に対する確信が深まり、 チームや課題に対して主体的に働きかける姿勢(前向きな自信)が育まれます。 「知って終わり」ではなく「まず作ってから考える」「作品を通して語り合う」プロセスを重ねることで、 自己理解と他者理解が深まり、対話が単なる“意見の言い合い”ではなく“意味の共有”へと進化していきます。

自己を深く知り、それを共有することで生まれる効果

繰り返しになりますが、協働の場では「大切にしている前提の価値観のズレ」が、議論や物事の進行に大きな影響を与えます。 だからこそ、メンバーそれぞれの価値観や前提を言語化・視覚化して共有することが重要です。

LEGO® SERIOUS PLAY®の最大の効果は、レゴ®ブロックで自分の考えを「作品」として外に出し、 全員が等しく意味を語れる状態をつくることです。その結果、相互理解が進み、チームの心理的安全性が高まります。 自分すら気付けていなかった隠れた価値観が表出することで、多様なアイデアが生まれ、それらを統合していくことで、 より良い洞察や課題解決につながります。

 [参考]レゴ®シリアスプレイ®(LEGO®SERIOUS PLAY®)メソッドを活用した研修
  対話と協働で“強いチーム”をつくるチームビルディング
  自分らしい働き方を考えるキャリアデザイン

 

チームの真のコラボレーションと心理的安全性を構築するために、ぜひ本コースの受講をご検討ください。

Profile
大田 菜緒
TAC株式会社B2Bマーケター/デザイナー
武蔵野美術大学 造形構想研究科 大学院修士/RCSC 研究員
LEGO®︎ SERIOUS PLAY®︎メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテータ

武蔵野美術大学 造形構想研究科 大学院を修了し、TAC法人向け人材教育事業にて、BtoBマーケティング、PR・広報、クリエイティブの企画・制作を担当。
その後、一般財団法人大阪デザインセンターなどでセミナーにも登壇。主な研究は、創造的組織作りやデザインを活用した企業支援と、異なる専門性を持つ人々の共創プロセスについて。診断士・デザイナー・支援機関の協働や、山形県における地域の「デザイン生態系」についてフィールドリサーチを行っている。
他、実験的アート・コレクティブ「穴」に所属。東急・tra-による渋谷三丁目を「生きたアーカイブ」として蓄積していくプロジェクトにも参画し、リサーチや市民参加型の活動を通じて、地域・人・場所の関係性を探究している。

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