コラム
ナトラ合同会社 代表
経営コンサルタント・人財開発コンサルタント
元大手食品メーカー・グループ企業 代表取締役社長
2026.09.25
社会人になってから、父からよく聞かされた言葉、それがこの言葉、「実之、仕事は楽しいか?」「仕事を楽しんでるか?」というメッセージです。
小さいころから、なにかと「仕事は楽しいぞ。30代から40代は働き盛りで楽しいぞ」「若さがうらやましいな」などと、食事のときなどに声がけされていました。その影響もあってか、私には「仕事は楽しいものだ」ということが、幼いころから定義づけされていたように思い出されます。
ベースに仕事観があったので、「楽しいか?」ってきかれると、「そうだね、楽しんでるよ」という会話が日々あったことを記憶しています。
私が入社したころ、父は単身赴任をしていました。といっても金曜日の夜には帰宅して、また月曜の朝に出勤するというスタイルだったので、単身赴任の中では恵まれた生活スタイルだったように思います。
私は入社当初、商社部門に配属になり、若手営業として無我夢中に走り回っていました。会社では上司とぶつかったり、お客様との関係のほかいろいろな課題もあったりして、悩むようなこともありました。
そんな時、父はお酒が好きだったので、夜、ウイスキーを片手に、父の単身赴任先を訪ね、いろいろと相談したことを思い出します。いつも父はウイスキーを片手に「うん、うん」といいながら、楽しそうに私の話を聴いていました。
父も仕事が好きだったのでしょう。私が仕事のことを話していると、自分の若いころを思い出す。自分が社会にでたころ、入社した当時の感覚を味わうことができて、とても楽しいと言っていました。

私が入社2年目の立場でみえる世界を話しているときに、「おそらく課長は~のように思っているな」「部長は~のように考えていたな」などと、私を中心として起きた出来事をベースに、社内力学のようなものを話してくれました。
普通なら入社2年目のレベル感でみながら、「課長はしょうがねえな」などといってしまいそうなところ、父も指導する立場を経験しているので、一つひとつ、上司の想いなども教えてくれました。人間学、社会学、サラリーマン学などを、お酒をのみながら受講していたのかもしれません。今になっても貴重な会話だったように思います。そうか、課長はそんな思いだったのか、と全く別の視点を得られる機会にもなっていました。
「よきリーダーになるためには、君が上司から見て、使いやすく、そして頼りになるメンバーになることが必要なんだ」ということも、よく言っていました。「よき部下にならなければ、よきリーダーの姿もみえないんだ」とも。ある面、帝王学的教えだったようにも感じています。
かなり早い段階から、課長での視線や部長からの景色なども想像できるような資質を身につけることができたのも、この父との会話がとても大きかったように感じています。
また、会社って、仕事って面白いなとは、いつも感じていました。お金をもらいながら、営業やマーケなど様々なことを学べる環境って、なんてすごいんだろうと真剣に思っていたこともあります。
先日、デール・カーネギーの修了者によるクラス会に参加しました。
私はデール・カーネギーで多くのクラスを担当させていただいたこともあり、各クラスで定期的に、同窓会的な飲み会が企画されます。年代も職業も異なるメンバー、デールをともに学びあったメンバーが、卒業後もオープンに会話ができる、とてもすてきな集いです。私がとても大切にしているコミュニティの一つになっています。
まさに私にとって、宝物のような集いだと、いつも心から感謝しています。世代を超えて本音トークで話ができる、これはとても素晴らしいことだと思います。人生を学ばせていただいているといつも感じており、未来ある若者たちと、オープンに話す機会をもてること、とても恵まれていると思います。
私の結婚式で父が「人生の幸せは、良き師、良き友、良き後輩に恵まれることだ。実之は幸せなことに、とても恵まれている。皆様に感謝しています」と話してくれました。
特に年齢を重ねてくると、ある時、多くの飲み会の場で、自分が一番年上になっていることに気づくことがあります。老いては子に従え、ではありませんが、年を重ねたあとは、どれだけ年の離れた人たちと友人になれるかが大切だと思います。
先日のデール・カーネギーの飲み会で、いろいろな話題が出る中で、今までに父親から聞いた言葉や、影響を受けた教えってどんなことがあるか、という話しになりました。
一人ひとりが、幼いころに父親から言われたメッセージを話し、そしてどのように受け止めたかを話す状況になりました。あらためて、父親のメッセージは大きく、一人ひとりの人間形成に影響をあたえていると強く感じました。
実際にそういったメッセージをきくと、その方の考え方や立ち振る舞いにもあらわれており、やはり大きく影響をうけていることを感じました。
お一人お一人が、もう20年以上前のことであっても、まるで昨日のことのように話す。そんな言葉を聞き、改めて父親のメッセージはとても大きいのだなと思いました。
なにげない一言が息吹のように、お一人お一人の成長に大きな影響を与えていることを強く感じました。
この機会に、私の父がよく言っていたことをいくつかご紹介したいと思います。
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◎「一寸先は明かりだよ」 ◎「まてしばし、而して希望せよ」 |
このような言葉を日常に聞いていたので、もう何十年も前になるのに、昨日のように思い出すことができます。すごいメッセージをいつも残していたものだと思います。
いつも前を見ていくように指導を受けていたのでしょう。明治大学ラグビー部の教えである、「前へ」につながるかもしれませんね。
また、前に向かいながらも、同時に、見えないところにこだわる力が大事なのだと思います。
ピーター・ドラッガーの『プロフェッショナルの原点』には、次のようなくだりがあります。
「紀元前440年ごろ、ギリシャの彫刻家ペイディアスはアテネのパルテノン神殿のペディメント(破風)に建つ彫像群を完成させた。それらは今日でも西洋最高の彫刻とされている。だが彫像の完成後、ペイディアスの請求に対してアテネの会計官は支払いを拒んだ。彫像の背中は見えない。誰にも見えない部分まで彫って、請求してくるとは何事か。それに対して、ペイディアスは答えた。そんなことはない。神々が見ている」
ものづくりに携わる人間に不可欠な考え方だと感じます。神は細部に宿る、見えないところにどれだけ心を注げるか、いろいろな結果をわけていくポイントになるような気がします。

また、顔の表情も生き方や人生そのものを物語っているように感じます。
ある年齢を超えると、顔そのものにその人のやってきた行動や考え方があらわれているのでしょう。すがすがしい生き方をしている方は、立ち振る舞いにもすがすがしさがあらわれるし、のびやかに生きている方は、のびやかな表情をしているよう思います。
「仕事が楽しいか?」このメッセージは作家マクシム・ゴーリキーの「どん底」の言葉にもつながるように思います。「仕事が楽しみならば、人生は極楽だ。仕事が義務ならば人生は地獄だ」と。
同じように、名作『ピーター・パン』の作者として知られるジェームズ・バリーの言葉にも通じると感じています。「幸福の秘訣は、自分がやりたいことをするのではなく、自分がやるべきことを好きになることだ」と。
また、アルフレッド・アドラーは次のようなメッセージを残しています。「人間は、自分の人生を描く画家である。あなたをつくったのは、あなた自身、これからの人生を決めるのもあなただ」と。
さあ!これからの人生を自分の大好きな作品にしていきましょう!!
みなさん、「仕事は楽しいですか?」
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