活用事例/研修実績

Interview
[人事・教育担当者にうかがう、人材育成への取り組み]
地域の“町医者”として、
顧客の課題の真の解決と
地域活性化に貢献できる
人材を育成!
その成果と今後の
目指すべき姿とは
青い森信用金庫
白銀支店 支店長 佐々木 大志氏
人事部 主査 成田 慎太郎氏
本店営業部 主査 下總 由衣氏
Interview
100年以上にわたり、個人・中小企業を支援し、青森・秋田の地域・経済の活性化に貢献し続けている青い森信用金庫。顧客に寄り添った「往診メインの“町医者”」を目指すべく、2019年より、企業経営アドバイザーを推奨資格として導入し、顧客の経営課題の真の理解と的確な支援を実現する人材の育成を図ってきたところだ。
今回、白銀支店支店長の佐々木大志(ささき ひろし)氏、人事部主査の成田慎太郎(なりた しんたろう)氏、実際に資格を取得され、ご活躍されている本店営業部主査の下總由衣(しもふさ ゆい)氏をお訪ねし、企業経営アドバイザー資格取得後の活躍ぶりや成果、また今後の目指すべき姿について、お話を伺った。
―はじめに、貴庫の事業概要を教えてください。
成田氏:当金庫は、青森県八戸市に本店を置く信用金庫です。銀行との違いとして、営業地域を青森県と秋田県鹿角郡の一部に限定している「地域性」、地域の中小企業を主な取引先とする「中小企業専門性」が挙げられます。三大業務と呼ばれる「預金」「融資」「為替」の基本業務を通じて、地域に「お金」という血液を循環させ、地域経済に活力を与える役割を担っております。2022年12月に創業100周年を迎えました。これからも青森県になくてはならない金融機関として取り組んでいきます。
―前回お話を伺った際、care(ケア)とcure(キュア)というキーワードを大切にされ、地域の“町医者”を目指されているとお聞きしました。
成田氏:いまも変わらず、「CARE」と「CURE」を併せ持つ“往診メインの地域の町医者”を標榜しています。日常業務に加えて、お客様のところで働かせていただく「丁稚研修」等を通して、「CARE」を心がけています。お客様の経営課題に対して、適切な「CURE」ができるよう努めています。
―丁寧にお客様と向き合う時間をつくるために工夫されていることはありますか。
成田氏:「事前準備」に力をいれております。営業店には、支店長、融資・渉外担当者でミーティングを行い、各担当者が抱える案件の進捗状況、その日に訪問するお客様への提案内容等を確認するよう指示が出ております。ミーティング内で各担当者の「事前準備」をブラッシュアップし、貴重なお客様との面談機会が有意義になるように取り組んでいます。また、当金庫では2020年より、各職員がお客様とのやり取りやニーズを登録し、全職員で情報共有できる「CACS-NET(カシスネット)」というシステムを導入しています。取引先の属性情報や歴代担当職員とお客様がどのようなやりとりをしていたか等を確認することができるので、人事異動の際には、新任の担当者への「情報」の引継ぎはスムーズに行われます。
―ここからは、実際に資格を取得された下總さんにお伺いします。
まずは現在の業務内容をお聞かせください。
下總氏:2024年2月に地域支援室から営業本部に異動しました。地域支援室時代は「地域」という主語のもと、産業振興を目的とした中小企業の販路開拓支援などを担当していました。現在の営業本部でも、お客様の経営課題の解決という面は変わらず、営業店と一緒に、事業性評価やDX、人材確保などの課題解決をお手伝いしています。また、これまでのノウハウを活かし、50歳以下の次期経営者の方々を集めた経営者組織の運営にも携わっています。
―経営者組織には、どのような業種の方がいらっしゃるのですか?
下總氏:青森県の特徴として、建設業やサービス業が多いです。ただ、業種は違えど「人材確保」「エネルギー費高騰に伴う原材料費の高騰」といった経営課題は共通していますね。次期経営者として前向きな方が多く、情報共有や課題の解決方法を一緒に考える場として活用いただけたらという思いです。
―経営者との関わりを深めてこられた中で、とくにお客様に役立てたと思う事例を教えてください。
下總氏:「人材確保が難しく、工場で働く人が足りない」という経営課題をお持ちの製造業の方とお話を重ねる中で、問題点は「採用しても人材が定着しないこと」だと特定できました。そこで、まずは人材確保よりも企業の魅力を見直し、魅力を伸ばしていくべきではないかと提案したんです。一緒にフランクに考えていく中で、自社の魅力を自覚いただき、そこを打ち出した結果、就職活動中の学生に対する説明も変わりましたし、入社前後のギャップが解消され、離職するパターンもなくなりました。この経験を通して、ただお話を伺うのではなく、こちらから掘り下げてお話を伺い、先方の問題を特定するという、企業経営アドバイザーの資格取得を通して学んだ「傾聴」ができるようになったと実感しました。1つの求人サイトでうまくいかないと別の求人サイトを探すという繰り返しだったのが、課題はそこではないと気づいて感謝していただいたのがうれしかったですね。
―研修で学んだことをまさに体現いただいていますね。先方が課題に向き合ってくれたのも、下總さんとの信頼関係があったからこそではないでしょうか。
下總氏:普段からお客様のメリットになるような情報提供を心がけていましたので、信頼していただけたのだと思います。
―仕事のやりがいをお聞かせ下さい。
下總氏:企業経営アドバイザーの資格を取得したことで、職員から相談を受けることが多くなりました。地域やお客様、そして職員からも頼りにしていただけていることが一番のモチベーションになっています。
―成田さんにお伺いしますが、会社として企業経営に関する知識の習得を推奨されてきた中で、感じられる現場での変化や成果はありますか。
成田氏:下總の話が、成果の一つだと思っております。企業経営に関する知識を持ったことで、「人材の定着」に対するアドバイスができています。企業経営アドバイザーの資格取得を通して学んだ「傾聴」により、「本当の課題はなにか」を分析し提案した点は非常に素晴らしいと思います。企業経営アドバイザーでは、知識をインプットするだけでなく、アウトプットする研修も組み込まれているので、まさに発揮できた事例ではないでしょうか。
―企業経営アドバイザーでは、政府推奨のローカルベンチマークや経営デザインシートなどのツールを使った事業の価値のや将来ビジョンの可視化を推奨しています。
貴庫では、そうしたツールは活用されていますか。
成田氏:独自の事業性評価シートを使用していますが、まさにそうしたツールを活用して、お客様を理解し、書き込みをしながら対話をすることでお客様と認識を合わせていき、課題を把握し、有益な提案をしていくことが大事だと感じています。
―下総さん、今後の目標をお聞かせください。
下總氏:企業経営アドバイザーの学習を通して、経営アドバイスに役立つ知識は得ることができましたが、経済や社会が刻々と変わる中、常に情報をアップデートしていかなければなりません。全ての分野を網羅するのは難しいですが、様々な知識や情報を身につけていきたいです。
―続いて、同じく実際に資格を取得された佐々木さんにお話を伺います。
現在支店長をされている白銀支店の特徴を教えてください。
佐々木氏:漁港に近い白銀支店では、漁業者や水産加工業者のお客様が多いです。また、古くからの住宅街で世帯数も多く、来店客の中心が高齢者ですので、年金支給日の来店者数は全店最多という特色があります。
―仕事をする上で、工夫されているところはありますか。
佐々木氏:白銀支店は、この4年で2度の店舗統合があり、顧客数も全店で一番多いと思います。DXの進展により、来店客の減少に伴う店舗の統廃合が行われるなどの過渡期を迎える一方、高齢者の多い本支店は、窓口来店のニーズが高く、その辺りの対応が難しいですね。いまはまだデジタル化により業務が減ったわけではありませんので、限られた人数で業務量をこなすにあたってのマネジメントも難しいです。ですから、ある程度割り切ってまずやっていくしかないという思いで、訪問予定を緻密に立て、計画的に活動することに力を置くよう指導しています。
―企業経営アドバイザーの資格は業務にどのように役立っていますか。
佐々木氏:お客様が言おうとしていることや新しい情報に対して、難しすぎて分からないのではなく、ある程度推測・理解ができ、前向きに捉えられるようになりました。理事長の益子も常に話していますが、我々は総合病院ではなくて、「往診メインの“町医者”」ですので、専門分野は専門医に仲介するなどして、結果的にお客様の課題解決に繋がればいいなという思いを持っています。そのため、専門外の分野についても推測を立てられるようになったことは、本部を経由して、お客様に適した専門家へと仲介することに非常に役立っています。“町医者”になれていないと実感する部分も多いですが、企業経営アドバイザーにふさわしいレベルに成長できるよう、日々業務に取り組んでいます。
―地方の過疎化が進む中で、地域金融機関の役割はどのようにお考えですか。
佐々木氏:どの金融機関も「地域活性化」をキーワードにして取り組んでいるのではないでしょうか。弊庫は営業区域が決まっていますので、この地域から逃げ出すことはできません。地域が廃れたら、一蓮托生で我々も廃れますので、どの金融機関よりも地域貢献には本気で一生懸命取り組んでいます。中小企業に対する支援の熱量は、どこにも負けないものがあると自負していますので、まずはコアな客層である中小企業を中心に、各企業の強みを明確にするサポートをしながら、また、明確な強みがない企業は強みが持てるようサポートしながら、地域の活性化に繋げていきたいという思いで、活動しています。
―ここからは、研修制度について伺います。
まず、研修制度にはどのようなものがありますか?
成田氏:当金庫の研修体系は、階層別研修・職能別研修・職場内研修の3本柱となっています。最近新たに始めた研修が2つあります。一つは、距離の近い店舗同士を1ブロックにし、ブロック毎に研修を開催しています。職員間のつながりを大切にし、店舗を超えて職員の育成をしてほしいを思っております。もう一つは、若手職員向けのオンライン研修です。金融機関で働くうえで必要となる基礎知識を身に着けることが目的です。金融市場に関する知識を身に着ける「マーケット理解コース」や財務分析に必要な知識を学ぶ「財務研修(初級・中級)コース」を、平日の夕方に1時間程度行っております。全5回で完結するコースであり、継続して学習する意識をもっていただくことも狙いの一つです。
―企業経営アドバイザー研修の今後の課題をお聞かせください。
成田氏:若手職員の早期チャレンジに期待しています。企業経営の知識を身に着けながら、経営者と対峙することで、信用金庫で働く「楽しさ・やりがい」を見出してほしいです。 企業経営アドバイザーの資格を取得した職員からの声を拡散し、内容の充実と現場で活かせる資格であるということを改めて伝えていきます。
―最後に、今後のお取組みについて伺います。
まず、今後の人材育成方針を教えてください。
成田氏:変化が激しい時代です。前例にとらわれず、様々なことにチャレンジする人材の育成に取り組んでいきたいです。人事部として、これまで通りの研修をただ行うのではなく、新たなことも取り入れ、職員にチャレンジ精神が醸成されるように努めていきたいです。
―今後の貴庫としてのお取り組みや目指す姿をお聞かせください。
下總氏:青森県では地方銀行が1つになり、金融業界だけに着目すると、地域金融機関として、弊庫が存在感を出していけるチャンスです。そうした中、お客様に選んでいただける金融機関になるためには、お客様に寄り添うのはもちろん、お客様にメリットをもたらす存在になることが欠かせません。お客様の話に共感して親交を深めた先に営業をするというスタイルを変え、さらに踏み込んでお客様を導ける存在になれれば、お客様に選んでいただける金融機関になれるのではないでしょうか。そのためにも、よりモチベーションを高められる企業風土ややりがいを持って働ける環境づくりをしていく必要があると考えています。
佐々木氏:近年、県内に海外からの観光客が増えていますが、いかにして観光客を相手にビジネスをするかというサポートが、弊庫でも求められていると考えています。
下總氏:特に上の世代の方は、海外からの観光客は自分達のお客様ではないと捉える傾向がありますので、観光客の増加をチャンスと捉えられるような意識改革をしていくのも私たちの仕事です。
また、以前、成人年齢引き下げのタイミングで、マネックス証券株式会社様とコラボして、学生にお金に関する知識を深めていただくイベントを開催したことがありました。それまで、未成年者への教育や発信は、お金・金融に関することという固定観念がありましたが、これからは金融機関として、お金・金融に限定せず、地域をどうしていこうかということを一緒に考えていくような働きかけをしていくのもいいかもしれないですね。
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