【2026年度版】内定者にどう伝える?「ITパスポート」取得の意義と、年度内合格に向けた伴走サポート術

2026.09.16

入社前のスキルアップやIT基礎力の底上げとして、「ITパスポート」の取得を内定者課題・推奨資格として提示する企業は年々増加しています。

一方で、入社前の内定者はまだ社員ではないため、業務として「指揮・命令」を行うことはできず、学習は「あくまで内定者の自主的な取り組み(任意)」となります。

強制できないからこそ重要なのが、「なぜ入社前に合格しておくべきなのか」というマインドセット(動機付け)と、2026年度特有の試験システム停止や「翌年度の大幅な試験改定」を見据えた学習サポートです。人事・研修担当者が押さえるべきポイントと具体的なアドバイス方法をまとめました。


1. 「なぜ入社前に受けるのか?」内定者のモチベーションを高める意義

単に「資格を取ってね」と伝えるだけでは、学生にとって単なる負担に感じてしまいます。まずは「入社前に学ぶ価値」を明確に伝え、自発的な学習意欲を引き出しましょう。

● 現代を生き抜く「社会人のITリテラシー」

DXやAIなどビジネス環境が目まぐるしく変化する現代において、IT知識やセキュリティ意識は全職種に必要な「基礎教養」です。ここを曖昧にしたまま社会に出ると取り残されてしまうリスクがあるため、入社前に土台を整えておくことが自身を守ることにも繋がります。


2. 2026年度の二大注意点:システム移行と「2027年春の大幅改定」

任意学習だからこそ注意したいのが、学生特有の「後回し」です。特に今年度は、受験環境において非常に大きな2つの変更点があります。

注意点 概要と人事・研修担当者のアドバイス
注意点 01
システム移行と予約激戦
CBTシステムのリプレイスに伴い、12月28日以降の一定期間は試験自体が受験不能になります。この影響で、入社直前の「2〜3月」に受験者が殺到し、全国のテストセンターの座席が極めて取りづらくなることが予想されます。

3月中の合格を目指す場合は「学習開始と同時に受験予約を確定させる」アドバイスが必須です。

注意点 02
2027年春の大幅改定
2027年度(令和9年度)春頃よりIPAによる試験制度改定が予定されており、出題内容が大幅に刷新されます。改定後は出題傾向が変わるうえ過去問題が非公開となるため、対策教材が充実するまで時間を要する可能性があります。

過去データや対策コンテンツが豊富な現行の2026年度内(2027年3月まで)に合格しておくことが最も確実です。


3. 学習計画と案内・サポートのポイント

試験勉強は早く始めるに越したことはありません。内定式後の10月から学習をスタートし、早期受験を目指してもらうのが理想です。「3月中の受験・合格」は最終ライン(デッドライン)として案内するとスムーズです。

なお、ITパスポート合格までの一般的な学習時間の目安は約100〜150時間(期間:1〜3ヶ月)と言われています。しかし、内定者の持つ知識等によって、実際に必要な学習時間は大きく異なります。

【内定者のタイプ別学習時間の目安】

  • 初学者(文系など): 学習時間の目安 130~150時間(毎日1.5時間〜2時間の学習で約2.5ヶ月〜3ヶ月)
  • 情報系専攻の学生など: 学習時間の目安 50〜100時間(毎日2時間程度の学習で約3週間〜1.5ヶ月)

【100〜150時間の効率的な配分(学習ロードマップ)】

  • フェーズ1:インプット期(約30〜40時間 / 全体の25%)
    薄めの参考書を1〜2周読み、全体像と用語をざっくり把握(完璧を目指さない)。
  • フェーズ2:アウトプット期(約50〜70時間 / 全体の50%)
    過去問演習(過去問道場など)を繰り返し解く。正解・不正解の理由を解説で確認。
  • フェーズ3:直前対策期(約20〜40時間 / 全体の25%)
    苦手分野(計算問題やセキュリティ領域など)の補強と、最新トレンド用語(生成AI・DX関連)の復習。

また、ITパスポート試験は2027年の4月以降、シラバスの大幅改定があります。出題傾向が変わる前の「2027年3月までの現行試験で合格すること」が極めて重要です。「年内に受かっておけば、年明けは卒論や引越し準備に集中できる」「心置きなく卒業旅行を楽しめる」などとアドバイスし、学習ロードマップを示しながら早期挑戦を促しましょう。

【参考:2027年春の改定概要】

試験時間(120分)や出題数(100問)の枠組みは維持されますが、従来の「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」の3区分から「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」の3分野へ再編されます。単なる用語暗記ではなく「DXマインド」や「データ整備・活用」、生成AIに伴う「セキュリティ・倫理」の出題が強化されます。


まとめ:人事・研修担当者が意識したい「伴走型」のサポート

「指示指揮・命令」ができない内定者期間だからこそ、一方的な押し付けではなく、内定者が自発的に動きやすくなる環境づくりがポイントになります。

  • 入社前にITパスポートを取得(合格)する「意義と実利」を伝える:社会人としての基礎教養の習得に加え、「2027年春の改定前の今が最も対策しやすい」という事実を共有する。
  • リスクや注意点のアナウンス:12月28日からのシステム停止や2〜3月の予約混雑など、学生では気づきにくいリスクをアドバイスとして早期に共有する。

「目的を理解して自ら計画を立て、リスクや制度改定を回避しながら目標を達成する」という経験自体が、入社後の自律的な働き方の素晴らしいトレーニングになります。あたたかい伴走と適切な情報共有で、内定者の挑戦を力強く後押ししていきましょう。

Profile
松葉 隆一 (まつば りゅういち)
國學院大学法学部卒業後、TAC株式会社に入社。TAC横浜校のスクール運営や公認会計士(受験生・合格者)の就職支援、グループ会社での会計・医療業界向け人材営業などを経験(関東圏・関西圏)。その後、法人向けのIT・情報処理分野における教育サービスの営業職へ転身した、社内でも異色のキャリアの持ち主。
現在は現場で顧客と向き合った営業経験を活かし、情報処理技術者試験対策の企画・運営や、内定者・社員向けガイダンスの講師も担当。趣味は愛車の洗車と、千葉県の「安くてウマい」お店を探すドライブ。黒猫と灰八猫の2匹に癒やされている50代(に突入したばかり)。

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