コラム
ナトラ合同会社 代表
経営コンサルタント・人財開発コンサルタント
元大手食品メーカー・グループ企業 代表取締役社長
2026.08.28
人生の最終コーナーで大きな課題となるテーマ、それは「孤独」だといわれています。
若い年代の方々には、人生の最終コーナーといわれても、まだまだ先のことだと感じると思いますが、人生の流れはとても速いので、将来的なイメージを早めにもっておくことも、価値のあることと感じています。
定年退職をして会社を離れ、何もしていない状況が続くと、人と一言も会話しない日が何日も続くことがある。そして他人との接点が全くなくなってしまい、名前を呼ばれるのは、病院の待合室のみ、なんていう決して笑えない話もあるほどです。
「孤独」には二通りあるといわれています。それが「ロンリネス」と「ソリチュード」です。
ロンリネスは、「ひとりだから寂しい」のではなく、「つながりを求めているのに満たされていない」状態をいいます。たとえば家族がいても孤独、SNSでつながっていても孤独ということがあり、現代社会でも問題になりつつある孤独です。
一方でソリチュードは、「一人で自分と向き合う、豊かな時間をすごすこと」をいいます。哲学者や作家、経営者といった人たちが大切にしてきた時間でもあります。たとえば、読書する、日記を書く、瞑想する、将来を考える、散歩をする。そういった「静かに考える時間をもつこと」ともいえます。
人とのつながりを失うロンリネスと、自分自身と出会うソリチュード。人生の後半は、ロンリネスを避ける人生ではなく、ソリチュードを味わう人生を目指したいですね。

人生において、社会との接点、これはとても大切なことと思います。
仮にお金をたくさん、ありあまるほどもっていたとしても、この接点はとても大切なことと感じます。
世の中にはお金で買えるものと、買えないものがあるといわれます。お金の余裕さえあれば、なにも問題がないという方もいますが、本当にそうでしょうか? もちろん、お金が多いことにこしたことはありませんが、それだけですべてが解決するわけではありません。ただ、お金が幸せを導いてくれることもあり、それは科学的な調査でもあきらかになっています。
ノーベル経済学賞を受賞した、米プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授が、人は収入が増えれば増えるほど、感情的にも幸せになることを明らかにしています。
ただし、年収7万5000ドル(日本円にすると現在のレートで約1200万円)までは、収入が増えれば増えるほど幸福度もそれに比例して大きくなるものの、その年収7万5000ドルを境にして、それ以上収入が増えても幸福度については変わらないという結果が発表されています。仮に年収が2倍になったとしても2倍幸せになるわけではなく、幸福度的には9%の上昇しかないといわれています。
私も友人、知人が徐々に定年後の再雇用も終えていく中で、「これからはもう年金受給が楽しみだ」といった声を聴いたことがあります。同年代でもいろいろな価値観があるなあと思います。
私のメンターである新将命さんからは「山本さん、最高の年金ってなんだか知ってる? それはね、仕事だよ」とよく言われました。比較的、若い頃から聞いていたことですが、当時も今も納得できるメッセージだと思っています。
仕事、働くことを通じて、自己実現をはじめ利他の心で生活することができると感じます。
人生や生き方は、価値観そのものであり、人と比較する必要は全くありませんし、環境やおかれた背景なども、人それぞれ違います。自分の信じる道を歩んでいけばいいのだと思います。
ただ今後、課題となりえる「孤独」をさけていく必要があることは、共通しているように思います。
いろいろな考えやアイデアがあると感じていますが、一ついい方法があります。それは新将命さんの言われる通り、「働き続けること」だと思います。どんなことでもいいのです。働くことを通じて、社会との接点をもつことができる。この社会との接点、社会で役にたっているという感覚は、とても大事な要素だといつも感じています。
「働く」の語源は「はた(周囲)を楽にする」だといわれています。つまり、必ずしも利益を生む企業で働くというだけでなく、NPOやボランティアなどで「はたを楽にする」行為を続けることが大切なのだと思います。働くことを通じて、自分らしさを発揮することにもつながっていくことでしょう。
社会とのつながりをもつことで、結果として孤独の解消にもつながっていくことと思います。
一人ひとりが社会となんらかの形でつながっていくこと、それが大切ですね。
キャリアの中で中心的な概念に「Will」「Must」「Can」というのがあります。Must=やるべきこと、Will=やりたいこと、Can=できることの意味です。この輪の重なるところに、自分自身の行動を置いていくといいという考え方です。
このMustの表現を「To be」に変えている生命保険会社と出会いました。とても素敵なメッセージだと思います。やるべきことというよりも、自由裁量のある「あるべき姿」という考えを推奨しています。
現在、研修等で講師として接していますが、まさに教育ならぬ共育の中で、ともに学ばせていただき、素晴らしい会社には素晴らしいメッセージがあるなあとつくづく感じています。
今後、社会との接点をもつことの必要性は、より求められることでしょう。とくに長く会社員生活を続けてきて、定年を迎え、家庭や地域に戻った男性の多くは、会社関係でのつきあいに終始していたために、地元でのおつきあいなどがないこともあることでしょう。
一方で、奥様の方はずいぶん前から趣味やサークル等を通じて、地域の方とつながっている方も少なくない。会社との関係性が絶たれると一切関係性がなくなる傾向にある男性とは、大きな隔たりがあるように感じています。
夫が定年退職して、「今から」妻との時間をともに過ごそうと感じていると、妻から「なによ、今さら」といわれてしまうこともあるようです。「今から」と「今さら」、この「か」と「さ」の違いで人生、大違いですね。
仕事をもつ、そのことだけで社会と接点がでて、いろいろな人と話すことが必然となり、孤独という概念から大きく離れ、社会貢献になるだけでなく、自分自身の成長、あり方などにも言及することとなり、幸せに寄与していくのではないでしょうか?
孤独が解消されていけば、体と心の健康にもよりよいことが起きていくことでしょう。
そしてその仕事自体が自分の喜びにつながったとしたら、いうことなしですよね。
「ピークエンドの法則」のように人生は、ピークとエンドの過ごし方がとても貴重になっていくことと思います。これは、人は人生のピークの出来事と、エンドつまり最終章のことしか記憶に残らないというものです。特に人生の最後、エンドの迎え方はとても重要と感じます。「終わりよければすべてよし」という格言も、人間社会に大きくあてはまると感じていました。
そういった意味では、「生涯現役」、この言葉は人生を幸せに導くと感じています。どんな形でも、どこかで現役でいることは大切だと思います。
ある方から「山本さんは、何歳ぐらいまで働くのですか?」と問われたことがあります。基本的には、「生涯現役」といっています。
新将命さんが82歳、私が58歳くらいの時のこと、東京は丸ビルの素敵なレストランで食事をしながら、いろいろなことを話しました。まさに82歳になったときの私が目指す、理想な姿がそこにありました。将来の自分の目指す姿と照らし合わせながら、お会いしていました。
82歳でありながら、現役バリバリの社員と丸の内で食事をしながら話をするって、すごいことだと思いませんか? 忙しい現役世代からすると、価値ある時間ではないと一緒に過ごすことはないですよね。現在の学び、起きている事象の言語化などができているからこそ、常に学んでいるからこそ、一緒に過ごそうと感じてもらえるのではないでしょうか?
そのようにチャレンジしていければ、孤独などという考え方が風化していくことでしょう。
なにかを見つめ、志していればロンリネスの孤独ではなく、ソリチュードの感覚になっているのではないでしょうか? 自分で選んだ人生、それが本来の自分自身とも出会っていく道。だれにも遠慮せず、だれにも指示されず、そんな形で生きていっていいのだと思います。
特に60歳を過ぎた後は好きに生きていいといわれます。60代の私たちがキラキラ楽しそうに、人生を生きていくことこそが、現代の若者たちに未来への希望を与えていくように感じています。

年をとることは、ネガティブなことばかりではなく、豊かな時につながるということ、そしてやりたいことをやる時になったということも伝えていく必要があるのでしょう。まさにソリチュードへの道だと思います。
よくいわれます、老いたのではなくmature(熟した)のだと。ワインでいえばヴィンテージということですね。
さらば「ロンリネス」、ようこそ「ソリチュード」。
ロンリネスを避けるのではなく、自分自身と出会う、ソリチュードを目指していくことが魅力ある生き方につながると思います。
そのために大切になってくるのが、「好奇心」。文学、音楽、芸術、哲学、様々なことに興味をもち、まず学んでみる、やってみる。あわなければ、「はい次、はい次」で切り替えていけばいいと思います。こだわることはなにもないと思います。
何もしないということは、永遠のゼロです。なにか小さなことでも、わずか0.1%のことでも、積み重なっていけば大きな力となっていきます。ゼロとは本質的に大きく異なります。
小さな一歩で自分の心、体に化学変化を起こしていきましょう。
まず小さな一歩のチャレンジから。プロレスラー、アントニオ猪木が言っていましたね。「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ、行けば分かるさ。」と。
人生を楽しく、豊かに歩んでいきましょう。
今日の一歩が未来を開いていきますように、
イチ、ニー、サン、ダー!! 今日もいい日だ。
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