コラム
ナトラ合同会社 代表
経営コンサルタント・人財開発コンサルタント
元大手食品メーカー・グループ企業 代表取締役社長
2026.07.31
現代社会は、AIがどんどん進化していく世界、一人ひとりの夢が広がる半面、どこまでいってしまうのかという恐怖も同時に存在するように感じています。
変化のスピードが速く、高速回転しているようであり、このことをどうとらえていくのか、前向きで積極的にとらえるか、あるいは後ろ向きで消極的にとらえるのか。どうとらえるかは、すべて私たちに預けられているように感じます。
いつの時代にも大きな変化があったと思いますが、今、私たちが経験していることは、人間が地球に生を受けてからの歴史のなかで、かなり大きな変革の中にいるように思えます。ある面では、産業革命を大きく超える変化レベルなのかなあと感じることもあります。
時代が変化していくときは、いつのときも、これからの変化を喜び、期待している方と、それを喜ばずにいる方がいるようです。過去のメッセージを聴いていると、やはり時代を読むことがいかに難しいかを形づけているように思います。
サイエンスの世界でも、その時、その時の時代の流れをつかむことや、価値を正しくみつめることがいかに難しいのか? それを感じさせるエピソードをご紹介したいと思います。
いわずとしれた発明家のトーマス・エジソンは、自身が発明した蓄音機について、発明当初は「単なるおもちゃ」と評したと伝えられています。
また1902年に天文学者のサイモン・ニューカムは、空気より重い飛行機が空を飛ぶことについて、理論上は否定しなかったものの、実用化は現実的ではないと論じました。
1910年代のアメリカでは、自動車やトラックが鉄道に取って代わると考えるのは夢物語だといった見方が、道路政策や交通政策をめぐる議論の中で語られていました。
さらに、まだ無声映画が主流だった1927年頃のこと、ワーナー・ブラザース社長のハリー・ワーナーは、「いったい誰が俳優の声なんか聞きたいと思うんだ?」と語ったと伝えられています。
そして1977年には、コンピューターメーカーであるデジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC)の創業者ケン・オルセンが「個人が家庭にコンピューターを持つ理由など見当たらない」と発言しています。
これらの発言から、その時代を代表する、先端を走る人たちですら、未来への流れを読み切ることができなかったことが見てとれます。
これらの言葉に共通していることは、技術的な理由で実現が難しいということではありません。「ニーズがない」「役に立たない」「意味がない」など、その時点でのパラダイム(物の見方や)が新しい技術の希望を封じているという事です。
馬車の時代から自動車の時代へと移行していくときにも、いろいろな声があったと聞きます。「人間は馬が好きなんだ。馬と一緒でないと生きていけない。自動車なんかの時代は決して来ない。馬車から自動車に切り替わることなんて考えられない」といった声もあったようです。
Carl and Bertha Benz driving around Munich in their Model 2 Patent-Motorwagen, September 1888
今、聞くと、なんて愚かなことをいっているんだろうと感じますが、それは現代の視点から、過去の出来事を見ているからこそいえること。今の私たちの考え方や言動も、未来からみたならば、たとえば孫の世代に進めば、笑われてしまうようなことを信じているかもしれませんね。
私たちはどのようにすれば、正しく、未来をしっかりみることができるのか? どうしたら過去にしばられずに、のびやかにしなやかに考え、判断できるようになるのか? 今後どうすればいいのか?
いきなり大きなことはできませんが、身近でできることはないかと考えていくことが大切になると思います。
そんな時、ライフネット生命保険の創業者、出口治明さんの言葉を思い出しました。
出口さんはシンプルにこう言いました。「これから大切にすることは、『人・本・旅』なんだ」と。そして「まずは人、いろんな人と会いなさい」と伝えてくれました。
やはり、人と会って、感じるもの、学ぶものにまさるものはないといつも感じます。人から受ける刺激、新たな波動からは、多くのものを体感レベルで気づくことができると思います。
久しぶりに会ったときに、成長しているなあと感じるような方とお会いすると、こちらも躍動感にあふれ、いい刺激を受けます。なにかシナプスが新たにつながったかのような、知的好奇心にあふれ、人生ありがとうといいたくなるような感覚があります。
やはり人とお会いすることが最も成長し、そして学びになると思います。意識して、億劫がらずに会っていくことは、とても大事なことだと感じます。
以前コラムでも書きましたが、「ネットワークはフットワークから」ということです(⇒ 第3回コラム)。フットワークよく、人に会いに行く、人とお話する。とても大切なことに感じます。
新しい人と出会える場所にいく、新しい話を聴く環境に身を置く。忙しいという言葉ですべてを片づけることなく、もちろん、できる範囲でいいので、出会いをもとめていくことが、自分自身の世界を広げていくことにつながると感じます。
年齢を重ねていくと、楽だという理由で、同じ道を歩いてしまうことが多いと思いますが、久しぶりの方とお会いしたり、いろいろな刺激を受けていくことが、これからの人生のためにも、とても大切なことと感じます。まさに「日に新たなり」を実践していく必要があるということだと感じます。
そして本。今、本を読む方がとても少なくなっていると聞きます。本ほど、価値があり、そして学びが多いことはないと思っています。
本を書くとき、作家は最大のエネルギーをかけ、未来に祈るような気持ちで書いています。その血と汗の結晶をわずか1500円程度で手に入れることができるのが、読書の素晴らしさです。まさに費用対効果としては抜群だと思っています。
コスパ、タイパなどといって本を読まない方がいるように聞きますが、それは逆で、人生の中で本ほど手軽でありながら、価値のあるものは他にないと感じます。

本はある面、その作家と対峙し、語り合っていく場面を想定できると思います。そのすべてを納得する必要は全くないと考えています。「あなたはそう考えるのね、私はこう思いますよ」などと、対話形式で読んでいくと、とても学びも気づきも多いことと感じます。
また、作家本人と面識がある場合、その本が並んでいる様子を見ているだけで、その方が語りかけているような錯覚を覚えます。本屋さんもまさに、最高のワンダーランドだと感じます。多くの知人がならんで話しかけているような感覚ですね。
本は読みながらも熟考する形にもなりますので、学びを深めるとともに、人間性をより豊かにすることにもつながるのではないでしょうか? 本を通じて、新しい世界に出会うと、多くの気づきがありますので、出口さんのおっしゃることはまさに共感する次第です。
そして旅。まさに旅をすることは新しい出会い、気づきにあふれていることと思います。
その旅とは、海外や遠くに行くことだけではないと感じます。自宅近くの神社やお寺、小さな川、ごく身近な場所ひとつとっても、観察していくと、新しい出会いや新たな気づきにあふれていることと思います。
ちょっとした新たな行動を、億劫がらずにトライすること、そのこと自体に人生をより豊かにしていくコツがあるように思います。身近な神社に咲く草花に、想いをよせられる感性も大切なのだと感じます。小さな自然にふれること、小さな旅を実践していくことも人生の発見につながっていくことでしょう。
「どんな時代も、どんな変化の大きな時もサバイブしていく人は、サバイブしていく」と、人生のメンターである新将命さんはよく言っていました。
そのためにはご縁のあった方々、身近な方々がお互いに協力して、支えあっていくことが大事だとも言っていました。
そしてある講演会の締めの言葉として、次のようなことを言っていました。
「よく、友人、知人の中にビジネスをもちこみたくない人っていますよね。ただ、お金だけで集まるのはどうかと思うけど、ご縁のあった人達の中で、その方が人生をかけているビジネス、夢などがあったとしたら、お互いに支えあっていっていいのではないか。協力しあってサバイブしていけばいいと思う。いろいろな変化のある大変な世の中にあって、とても大切なことと感じている」
そう話されていました。
私も同感です。同時期に同じ国に生まれて、出会っていることだけでも奇跡です。
お互いに力を合わせて、協力していきたいと心から感じます。
先日、とても素敵な文章に出会いました。それは「命の呼応」というタイトルの文章です。
足の悪い学生が水泳大会に出た。足が不自由だから、どうしてもぎこちない泳ぎ方になる。その姿がこっけいだと、プールサイドの生徒たちは、笑い、野次った。しかし、その子は懸命に自分のコースを泳いだ。
そんな時、背広を着たまま、プールに飛び込んだ人がいた。校長先生である。校長先生は、その子と一緒に泳ぎながら、頑張れ、頑張れと声援を送った。その姿に、笑い、野次っていた中学生も粛然となった、という。
これは浄土真宗の僧侶で、教育者でもあった故・東井義雄先生からのお話しだそうです。
「命の呼応」とは、命と命が響きあうこと。お互いの心が、共鳴共振していくことである。
生成AI全盛時代の今こそ、人間本来のもっている命、魂の呼応が求められているように感じます。波動、周波数のようにお互いがひきつけあい、励ましあい、勇気づけあっていく世界になっていることと思います。
そのためにも、これからの日々、「人・本・旅」を通じて、一人ひとりが、命の呼応につながるような関係性を築くことができたら、とても素晴らしい社会になっていくように思います。
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