【人事担当者を元気にするコラム Vol.79】未来を書くことで夢は実現する

ナトラ合同会社 代表
経営コンサルタント・人財開発コンサルタント
元大手食品メーカー・グループ企業 代表取締役社長山本実之

2026.05.29

「夢をもっていますか?」
「どんな夢をみていますか?」
そんな問いをされたら、どのように答えますか?

「んーー、最近みてないな、今日もみていないし……」
いや、その夢ではなく、将来の夢です。

何をしたいかを明確にしてもっておくことは、とても大切だといわれています。
旅行であればどこに行くのか? 米国なのか欧州なのか、米国だとすれば西海岸か東海岸か、さらにはサンフランシスコかロサンゼルスか、それともニューヨークか、といったように、より明確にしておくことが実現の可能性をあげていくといわれています。
そして、その明確なゆめに達成の日時をいれていく、そのことによって達成率は大幅にあがっていきます。つまり、「ゆめに日付を」ということになります。
ぜひ、願いやゆめに日付をいれていきましょう。

日頃、願いや想いを考えたときに、どのようにしていますか?
パソコンで書き留めていますか? そうですよね。パソコンはとても便利で、通常、活用されていることが多いと思います。整理されるし、きれいだし、迷いなく使っていますよね。
ところで、目標を書くときにその達成率をあげるコツがあるとしたら、知りたくありませんか? 実は「ペンをもって、ノートや紙に書き出す」ということなんです。
これはボディランゲージの世界的な権威で、ベストセラー作家のアラン・ピーズ氏とバーバラ・ピース氏(ご夫妻)が説いています。

「そんなことで、成功率ってあがるの?」なんて声が聞こえてきそうな気がしますね。
キーボードを打つときに使う指の動作は8種類のみ、それに比べて、手で紙に書くとき必要となる動作は1万種類を超えるそうです。パソコンで何かを打つときと、手で文字を書く作業とでは、潜在意識につながる度合いの深さが違うといわれています。つまり、ペンで紙に書いた方が記憶に残りやすくなるのです。記憶していくことは達成のために最も大切なことです。自分の心にしっかりと刻まれることになるからです。

神道の儀式の際に、タブレットをみながら祝詞を読み上げる神主はいませんよね。紙に刻まれたものだけがもつ力があるのは事実です

心に目標がしっかりと根付いていることは、とても大切なことです。
たとえば、高校野球で甲子園に出場しているチームの宿舎に行き、高校球児に「あなたの目標は?」と尋ねたら、多くの球児は、はっきりと「全国制覇」とか「日本一になる」と目標をしっかり伝えてくれることでしょう。たとえ寝ているところを起こして訊ねたとしても、寝ぼけながらでもしっかり伝えることと思います。明確にそしてリアリティにあふれる様子で、伝えてくれることでしょう。
イメージまで問えば、深紅の大優勝旗をもって、ナインとともに、甲子園を行進していることまで、明確に描いていることも多くあると思います。
もし、きかれても、「うーん、わかりません」と多くのメンバーが答えるようなチームなら、優勝することはまずないと思います。

では、私たちはどうでしょうか?
突然、街中でマイクを向けられ、「あなたの夢は何ですか?」と問われたとき、先の高校球児のように明確に、はっきりと自信をもって語ることはできるでしょうか?
実現を考えた場合、自分のゆめや目標を明確にして、語れる状態になっていることがとても大切になってくるのです。言語化されていないことやビジョンとして明確になっていないことは、なかなか実現しにくいのです。明瞭さがパワーを生み出します。

ディズニー映画『アラジン』に登場する、ランプの主ジーニーが「さあ願い事をおつたえください。3つまでですよ」と言ったとき、明瞭に答えなければ、ジーニーも願いを叶えようもありませんね。
小さいころ、流れ星を見た時に願いをいうと実現する、といわれたことがあると思います。ただこのときも、日頃の想いが明確になっていないと、流れ星は一瞬のうちに、あっと思ったときには、願う前に消えてしまいますよね。

まず夢をもつこと、その夢をより明確に、そして日付をいれていくこと、この作業に加えて、まずペンと紙を用意しましょう。そして夢を書いていくのです。三次元のものを使うことによって、「無」から「有」を生み出していくことになります。
一見、アナログ的ですが、実はそこに秘訣があるといわれます。その未来を必ず実現するんだと、世の中に宣言していくことです。その言葉を発しているときの自分自身の感情も、とても大切です。その時のワクワク感、ドキドキ感、達成したときの感情も大事で、その感情を味方にしていくことも大事です。その感情も、実現のための大きなステップにつながっていきます。

「自分の人生で最も望むことは何か?」
「自分の人生で最も大切なことは何か?」
この2つを決めて、その決意に従って生きていくことが大事といわれています。
世界的コーチである、トニー・ロビンス(アンソニー・J・マハホリッチ)はこういいます。「人生の質は感情の質」であると。

ビジネス書作家の本田健さんも「感情は行動を起こすガソリンである」と言っています。
ポジティブな感情は純正のホワイトガソリンといわれるほど純粋で、愛、友情、親切、感謝などからおきていくものです。このエネルギーは使う事自体が喜びとなり、周囲の人も励まし、いやされ、関わる人がすべて幸せにいきていく世界。この中では一生、モチベーション理論は必要ないと提唱されている。
逆にネガティブな感情は、不純物の混じったブラックガソリンといわれます。これには怒り、悲しみ、苦しみ、絶望感、劣等感が詰まっています。これにはものすごい爆発力もあります。ただ、これを燃やし続けると、真っ黒な煙を出しながら走ることになります。
ある面、人をけおとしたり、闘争心や競争心であり、最終的にはエンジンを壊してしまうことさえある、そんなエネルギーにつながることもあるのです。

幸せで豊かな人生を送りたいと思うなら、できるだけ原動力にはホワイトガソリンを使っていくことがいいといわれます。
そのためには日々、ポジティブにとらえる習慣や笑顔を多くする、ありがとうをたくさんの人にいうなど、陽転思考で生きていくことが大切になります。

ぜひ、これから、ありえない「すごい未来」を決めて、紙に書き出していきましょう。
私達には無限の可能性があります。人のエネルギーはとても大きく、素晴らしいものだと思います。
進む中には逆風の時もあるでしょう。その逆風をこうとらえてみませんか? 「その逆風はあなたがより遠くに飛ぶために吹いている」と。向かい風が全くない時に、飛行機は飛べないのです。
さあ「ペン」と「紙」をもって、想いを、ゆめを思いっきり書いてみませんか?
すてきな未来のあなたに出会う日のために、一つひとつ取り組んでみましょう。

ゆめを書くのはなかなか難しいという方もいそうですね。一人ひとりはとても才能にあふれているのに、その才能に気づいていないということが多くあるように思います。自分の才能なのに、自分では簡単にできてしまうので、それが才能であることに気づけない。自分が当たり前にできることだから、それができない人がたくさんいるということに気づけない。
神様は私たち一人ひとりに才能を、そう、タレントを授けてくれていると信じています。
あなたならではであり、あなただからこそ、なのです。そして、そのあなたらしさが人生を豊かにし、多くの人を幸せに導いていくことになると信じています。

そういわれても、なかなか見つけられない方のために、本田健さんが伝えている「あなたの才能をみつける10の質問」を以下にご紹介しますので、自分の心の内側をみる参考にしてみてください。

 

1 子ども時代、楽しかったことは何ですか?
2 親にほめられたことは何でしょう?
3 親に怒られたことは何でしょう?
4 小さいころ、得意だったことはありますか?
5 周りの人によくほめられることは?
6 時間があればついやってしまうことは何ですか?
7 意識しなくても自然とできることは何でしょう?
8 やりたいけれど、やるのが怖いことはありますか?
9 どんなときにイライラしますか?
10 嫉妬心を感じるのはどんなときですか?

 

また、夢を実現するために、もう一つの素敵な考え方をご紹介したいと思います。
それが、タイムリバーサル(逆算で考える)というとらえ方です。「時間の流れを逆にして考える思考法」といえます。
通常、多くのビジネスパーソンは、過去をベースとして、現在から未来を「フォーキャスト(予測)」しています。つまり、今の状態を前提として未来をみる思考法です。
タイムリバーサルはこれとは逆に、「未来⇒現在⇒過去」と意図的にひっくり返し、みえにくい本来の原因や本質を浮かび上がらせるアプローチです。タイムリバーサルとは、「現在」を「未来」の原因にすることです。

たとえば、目標達成について考えてみましょう。通常は、「どうやって売上を上げるか?」と、現在からみて未来を考えます。
タイムリバーサルでは、「すでに売上が2倍になっているという未来を描き、現在起きていることを原因となるように行動していくこと」、つまり未来の結果をみて、現在のことを原因としていく考え方となります。「未来の記憶」という表現にもつながります。


タイムリバーサルの有効性には、次の2点があげられます。
① 思い込みを外すことができる:今の延長線で考えるのではなく、逆算することで固定観念から解放される
② 本質的な要因にたどりつくことができる:未来の結果から逆に考えることで、「本当に必要な行動・条件」が明確になり、行動が具体化する

「どうするか?」ではなく、「どうなっている状態にしたいか」を先に描くため、そのための行動が具体的になるわけです。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンの世界ですね。私たちは理想の未来をみて、そして現在に戻ってきている。現在の出来事を、未来におきることの原因としていくこと、これこそが達成のコツということです。
このタイムリバーサルという考え方、味方にしていきませんか?

最後に大きな夢を実現した、私の大好きなウォルト・ディズニーの言葉をご紹介します。
「なにはともあれ、夢を実現する秘訣を知っている人に乗り越えられない山などありません。その秘訣とは、Curiosity(好奇心)、Confidence(自信)、Courage(勇気)、Constancy(継続)という、4つの「C」に要約されます。なかでも大切なのが、「自信」。こうと決めたら迷ったり、疑ったりすることなく自分を信じて、とことんやるだけです」

さあ、ゆたかな感情、ワクワクした思いをもって、自信をもって、日々、生きていきましょう。


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Profile
山本実之
大手食品メーカーに入社。20代は商社部門で食品原料の輸入販売を担当。30代は食料海外事業部に所属し、シンガポール・プロジェクトをはじめ米国・香港等へ製品輸出を担当し、出張した国は32ヵ国にのぼる。さらに英国との合弁会社にて営業企画管理部長を担当(上司がイギリス人、部下はアメリカ人)。
40代は新規事業立ち上げのリーダーを担当、のちに営業部長に。40代後半からは研修部長として、人財開発を担当。その後、グループの関連会社の代表取締役社長を経て、現在はビジネスパーソン向けの人財開発事業に情熱を注いでいる。
資格としては、GCDF-Japanキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタント(国家資格)、(財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFPⓇ。デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン公認トレーナー(デール・カーネギー・コース、プレゼンテーション、リーダーシップ)を取得。
人財開発コンサルタントとして活動し、2024年12月よりPHPゼミナール講師も務めている。

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