副業・兼業を「容認はしている」の状態から一歩進めませんか?
~人材の力を引き出すための副業・兼業支援のご提案

TAC株式会社 法人営業2部 副責任者村井 陽介

2022.05.23

人事部門のご担当者様にとって「副業・兼業」というテーマは、色々な意味で気になるものだといえるでしょう。
ご承知の通り、政府が2016年に設置した「働き方改革実現会議」では、働く人が個人の専門性や能力を発揮できる機会を増やすことで、生産性が高い社会を実現するということが、政策課題の一つとして掲げられました。日本の経済を活性化するためにも、新事業や創業により新たな雇用と需要を生み出す必要があるということで、その後の2017年に閣議決定された「働き方改革実行計画」により、テレワークや副業・兼業(いわゆるダブルワーク)といった柔軟な働き方の実現が目標とされたわけです。
これを受け、2018年には厚生労働省がモデル就業規則を改定、これまで「労働者の遵守事項」のなかにあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定が削除されるとともに、副業・兼業についての規定が新たに設定されました。

こういった動きのなか、当初はベンチャー企業や大手企業を中心に進んできた副業解禁の動きが、働き方改革の急進と、コロナ禍という後押しを受ける形となり、さらに活発化してきています。
実際にHR総研(ProFuture株式会社)がまとめた『「副業・兼業の実態」に関するアンケート 調査報告 2021/08/26』によると、副業・兼業の「推奨・容認」について、前年から8ポイント増加していることが報告されています。実際にこのコラムをお読みの方がお勤めの企業でも、「推奨・容認」といった形に切り替えたところかもしれません。

副業・兼業に関する統計データ

ProFuture株式会社/HR総研『「副業・兼業の実態」に関するアンケート 調査報告 2021/08/26』より

また日本経済団体連合会(経団連)からも、2021年10月に「副業・兼業の促進」という報告も発表されるなどしており、各企業での対応がさらに進んでいくことになるでしょう。

そんな状況ではありますが、一つ気がかりな点があります。
それは「副業は就業規則で禁止されてさえいなければ可能」というなかで、「就業規則では禁止していないので、副業・兼業が可能ではあるけれども、特段それを従業員には公言していない」という企業が少なくないということです。まさに「容認している」けれども、「推奨はしていない」といった形でしょうか。
また副業の際の条件として、上長や人事への事前の相談をあげつつも、実際に相談を受けた際の対応方法など、そういった細かなルールはまだ決めていない、という企業もまだ多いかと思います。

本来、副業・兼業を認めることは従業員の自立性の醸成だけでなく、優秀な人材の流出を防止する効果のほか、事業や組織の活性化・イノベーションの推進といったことにもつながります。その点は十分にご理解いただいていることでしょうが、一方で人事担当者にとっては、副業・兼業を認めることのデメリット、不安点の方がたくさん浮かび、メリットを打ち負かしてしまっているのかもしれません。
私も日ごろ、人事担当の皆様の声をお聞きしますが、本業における仕事に支障が生じる可能性や、従業員の健康に対する配慮の問題、また情報漏洩といったコンプライアンス面など、副業・兼業を容認するためには、様々なリスクがあり、その分析や管理が必要となります。それゆえ、人事担当者にとっては心配事が多くなりがちで、できれば寝た子を起こさず、そっとしておいている、ということかしれません。

しかし、リスクを恐れるのであれば、逆に副業や兼業に対する考え方の意識づけのほか、社内の基準やルールの明示しておくことが大切なのです。正しい副業・兼業のやり方を従業員に伝えておかなければ、本人にとっても、そして会社にとってもマイナスとなる副業や兼業に取り組む従業員が現れる恐れも生じます。逆にそれこそが、企業や人事担当者の皆様が最も心配していること、恐れていることにつながってきます。
副業・兼業を希望する(考えている)従業員に対してはもちろんのこと、それ以外の方も含め、すべての従業員の方に会社側から必要な知識を付与しておく必要があるでしょう。

ここでいう「必要な知識」とは、次のようなことです。

 

  ◦ 会社としての兼業のルール
  ◦ 副業の作り方・見つけ方/避けるべき副業を確認する(競合他社)
  ◦ 各種法令などの注意点の確認
  ◦ 本業との両立の仕方/オーバーワークへの注意
  ◦ 各種法令への順守、納税等
  ◦ 自社の従業員としてふさわしい行動の仕方

 

こういった点について、会社としてのスタンスを明確に伝えておくべきでしょう。

実はそもそも従業員側でも、「本業あっての副業・兼業というものをしてみたい」と思いながら、具体的どうすればよいかわからない、どういうことをしてはいけないのか(またはするべきなのか)わからない、という声も少なくありません。

こういったことが明確になれば、現在の自分が副業・兼業できるのか、果たして向いているのかといった判断ができるようになります。できない、向いていないと自己判断した従業員は、改めて本業の方へと向き合ってくれるはずです。逆にできる、やれる、と判断した従業員は、きちんとしたルールに従って、チャレンジしてくれることでしょう。それは会社にとってプラスになるはずです。
これが、ただ「容認はしている」の状態から一歩進んだ姿というわけです。

在宅での副業イメージ

では具体的に、どういった形で伝えればよいのでしょうか?
もしお悩みのようでしたら、ぜひ私共TACにお声がけください。従業員の皆様にお伝えするためのお手伝いを、研修といった形でお引き受けしております。
TACでは副業(複業)制度をポジティブに推進していくためのポイントを踏まえたうえで、副業(複業)にチャレンジする社員向け「副業・複業スタート支援講座」といった研修をご提供可能です。

改めてお伝えしますが、副業・兼業は従業員の自立性の醸成だけでなく、優秀な人材の流出を防止する効果のほか、事業や組織の活性化・イノベーションの推進につながります。これこそ、ポストコロナに必要な人材強化といえるのではないでしょうか?
もし従業員の副業・兼業について、「容認する」からもう一歩だけ進めたい、支援をしたいとお考えであれば、そしてそのために、必要なコンテンツをお探しであれば、ぜひTACに、ぜひお声がけいただければと思います。

Profile
村井 陽介
TAC株式会社 法人営業2部 副責任者

TAC株式会社の法人営業担当として、数々の企業研修の実施や社員向け自己啓発コンテンツの提供に携わる。IT関連の資格や実務研修を中心とし、実務やヒューマンスキル系の研修についても知識と経験を持つ。

一覧に戻る