人事担当者必見! 2023年度版
社会保険労務士
2024.02.08
こんにちは。社労士の後藤です。
2023年度も、人事・労務担当者にとって重要な法改正が行われています。このコラムでは、人事・労務担当者が押さえておくべき改正点と、企業側で必要な対応のポイントを9回に渡ってご紹介します(当初7回の連載としていましたが、法改正の追加があり、9回となりました)。ぜひ日々の業務にお役立てください。
労働条件の明示ルールに関する改正
【対 象】全企業 【施行日】2024年4月1日
2024年4月1日から、労働条件の明示に関するルールの改正が行われます。
これにより、企業において使用している「雇用契約書」や「労働条件通知書」の書式変更が必要となりますので、今のうちから準備をしておきましょう。
1.改正の内容
働く人たちの労働条件は、会社が必ず明示しなければならない事項が労働基準法施行規則で定められているところです。今回の改正で、必ず明示しなければならない事項として新たに「通算契約期間」「有期労働契約の更新回数の上限」「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」が追加されました。対象者ごとに整理をすると、次のようになります。
①就業の場所や業務内容の変更の範囲について
「就業の場所や業務内容」とは、労働者が通常働くことが想定されている場所、労働者が通常従事することが想定されている業務のことです。より具体的にいうと、部署異動や在籍出向により働く場所や仕事内容が変わる可能性があるのかどうか…という点を明示するところになります。
たとえば繁忙期などに、臨時的に他部門のお仕事を手伝う業務や出張、研修などで就業の場所や従事すべき業務が一時的に変更される場合の一時的な変更場所及び業務は、これに含まれません。
また「変更の範囲」は、今後の見込みも含め、労働契約の期間中において就業の場所や業務内容の変更の範囲となります。
②有期契約労働者に対する明示事項について
・更新上限の明示
有期労働契約を締結するタイミング、契約更新のタイミングで、通算契約期間または契約更新回数の上限の有無、その内容を明示しなければなりません。
また、契約期間内に「無期転換申込権」が発生する有期労働契約を締結・更新をするタイミングにおいては、次の2点についても明示しなければなりません。
・無期転換申込に関する事項
契約期間中に無期転換申込権がある旨を明示しなければなりません。
・無期転換後の労働条件
無期転換後の労働条件の変更の有無、変更有の場合はその内容を明示することとされています。
「無期転換申込権」とは、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者の申込みにより期間の定めのない無期労働契約に転換させる無期転換ルールに基づき、有期労働契約の契約期間の初日から満了する日までの間に有期契約労働者が無期労働契約への転換を申し込むことができる権利のことです。 |
【無期転換ルールのイメージ】
2.改正が実施されるまでのスケジュールと会社の対応
この改正の施行日は2024年4月1日です。今回の新ルールについては、2024年4月1日以降に締結・更新する労働契約に適用されるものです。
2024年4月1日より前からすでに雇用されている労働者に対しては、今回追加された事項を反映して改めて労働条件を明示する必要はとくにないとされています(ただし、今まで在籍していた方にも新ルールに基づいて改めて労働条件を明示することは望ましい取り組みであるとされています)。
今のうちから、会社の雇用契約書や労働条件通知書の内容の見直しを進めておきましょう。
また、厚生労働省のホームページでは、モデル労働条件通知書が公表されています。改正により追加となった事項について、これらを参考にしながら反映していきましょう。
モデル労働条件通知書:001156118.pdf (mhlw.go.jp)