【人事担当者を元気にするコラム Vol.9】自分の恵まれていることをみつめよう!! 心を軽くするためにも

大手食品メーカーグループ会社 代表取締役社長山本実之

2020.07.22

今、悩みを抱えている方はいらっしゃいますか?
悩みに心を奪われている方はいらっしゃいますか?
日々、とてもつらいなあと感じている方はいらっしゃいますか?

人生にはいい時と悪い時というものが本当にありますよね。
ずっといい時だったらどんなにいいか、と思ったことはありませんか? 振り返ってみると、いい時と残念な時とが、本当に繰り返し起きているように感じます。
そして残念な時ほど、結構長く感じたりするものです。
このトンネルは、いつまで続くの? 灯りがみえないなあ、なんて考えてしまうこともありますよね。

春夏秋冬、陰と陽、朝と夜といったように、物事には表と裏が必ずあるものですが、大切なのはどちらに光をあてるか? どちらに想いをよせるか? ということです。同じものでも、光を見る人と影を見る人がいて、どちらをみるかで人生は変わってきます。

どうしても避けられないものってありますよね。天気もその一つです。
「なんで雨なんだ!」と怒っても、「なんで曇りなんだ!」と叫んでも、天気を思い通りに動かすことはできません。
ストレスを強く感じる人の中には、自分の想い通りにならないものをコントロールしようとしている人も多いように思います。
自分がコントロールできないものに、エネルギーをかけないこともとても大切です。

せっかくなので、ストレスを少しでも避ける、心が軽くなるいくつかのコツをご紹介したいと思います。
みなさんの周りにいませんか? なんだかいつも元気だなぁと思える人。
この人には悩みなんてあるのかな? もしかしたら、なにも考えていないのでは? と思えるような人、いますよね。
それはもしかすると、これからお話しする幸せのコツを知っていて、活用しているのかもしれません。

自分ではできないことに、できるだけ想いをよせないようにすることは悩みを少なくすることのコツの一つです。

こんな言葉があります。

神よ、私にお与えください
変えられないものを受け入れる心の静けさと
変えられるものを変える勇気と
その両者を見分ける英知を   (ラインホルド・ニーバーの祈り)

これから話すことは悩みが全くなくなる、というようなものではありませんが、考え方や見方次第で少しでも心が軽く、100分の1、いや1000分の1でも軽やかに生きていけるようになればという思いから、お伝えしていきたいと思っています。

いろいろな角度から幸せであることに気づくことも、悩みを少なくする一つのコツです。
まずは、自分が人間として生をうけたこと、これってめちゃくちゃハッピーなことですよね。当たり前だよって声も聞こえてきそうですが、当たり前じゃないんです。もしかしたら人間ではなく、犬や猫、あるいは昆虫としてこの世に生を受けていたかもしれません。万物の霊長として、この世に生まれてきたことに感謝できますよね。ある面では奇跡なのですから。

また悩んでいるときは、ないものねだりをしていることが多いものです。
会社の上司とか、父親が、あるいは母親が……などなど。確かに、面白くないことはあるでしょう。
私もわけのわからない、ひどい上司に仕えたことがあります。このおやじさえいなければ、会社生活はハッピーなのに……なんて。
みなさん、そんなふうに感じた事ありませんか?

こんな状況を打破していくために大切なことは、自分の持っていること、恵まれていることに気づくこと、そしてフォーカスすることだと思います。
どんなことからみていくか。ではいくつかの方法をお伝えしていきます!

●日常生活「うたし」法
日常の出来事を当たり前せず、「うたし」につなげてみます。この「うたし」というのは、「うれしい」「たのしい」「しあわせ」の頭文字のことです。
たとえば、朝、目がさめた。これは当たり前ではないですね。幸せなことですね。
朝ごはんを家族で食べていること、これだって当たり前ではなく、嬉しいことです。
会社に仲間がいること、やっぱり嬉しいことです。
ランチを食べる。これも楽しいね。つまり日常の出来事は当たり前ではなく、奇跡の出来事なので、「うたし」につなげていく。そうすると、すべてが感謝の気持ちになりハッピーになっていきます。「そんな単純な」と思うかもしれませんが、ぜひおためしください。

友人のTV局アナウンサーが飲み会のときに、よく言っていました。
「俺、毎日、殺人とか事件ばかりみてるから、こうやって仲間と飲んでること、生きていることって奇跡だよ。すごいことだと思う」と。
日々の暮らしは奇跡ですよね。どうぞ「うたし」でハッピーワールドへ。

●宇宙活用法
たとえば、横浜市に住んでいたとすると、そこから上にズームして上がっていくのをイメージしてみましょう。神奈川県 ⇒ 関東地方 ⇒ 日本 ⇒ アジア ⇒ 地球 ⇒ 銀河系とどんどん、拡大していったとき、自分の住んでいる町など本当に小さいものに思えてきませんか?
するとその中にある会社の、ごく一部である部署の、その中の小さなグループの、その中の担当としての悩みなんて、小さい、小さいって感じられますよね。自分の悩みなんて、たいしたことないなって感じられるのではないでしょうか?

月から見た地球
出典:Apollo 8: Earthrise

宇宙から見たらなんて小さいんだろうって思えませんか? こんな小さい場所でなに悩んでんの? って感じることはできませんか?

●歴史・自然活用法
私は海が大好き。特に鎌倉の海。ずーっとみていると、ああ、あの源頼朝もこの海をみていたんだよねって思います。それから1000年近くたっても、波は同じように押し寄せては引く。自分はどんなに生きても100年。太古の頃からも変わらぬ海と今とをみていくと、今の悩みなんて小さいなあと感じられる。
そして戦国や戦争ではない、今に生きていることが幸せに思える。
自然の風、太陽の光に身をゆだねてみましょう。

子どもが小さい頃、よく海に行きました。子どもをだっこをしながら海に入り、立って波を体で受けるとすごい衝撃があります。波がきたときにジャンプする。それでも同じような衝撃があります。次の波が来たときに、子どもを抱えたまま、波の下にざぶーーと潜りました。そして立ち上がると、波はなにごともなかったように砂浜へに進んでいっている。自分の体に衝撃は全くなかった。波は確かにあったのだけど、潜っている間に衝撃もなく、気づかないうちに過ぎていた。
実は悩みもこの波と同じなのでは……。時がすぎると、なんのこともないようになっていくのでは……。
それは海での気づきであり、単純といわれればそれまでですが永遠に続く悩みはなく、波のようにいずれ去っていくものなのだと感じました。そして本当に時の流れとともに、悩みは消えていきました。自然から感じたリアル体験です。

●尊敬する人物法
みなさんが尊敬する人物はどなたですか? どのようなことをされた方ですか? あるいはメンターはいらっしゃいますか?
たとえば自分がつらいときに「もし、その尊敬する人物だったら、何を考えているだろう?」「こんな風に悩むかな? こんなにうじうじしているかな?」と考えてみましょう。
みなさんが尊敬する方やメンターを想像すると、「たぶん、こんなことでは落ち込まないな、もっとつらいことを乗り越えているからな」などと客観的にみることができるのではないでしょうか?
私もよくそんなことに想いをはせて、克服した経験があります。
たとえば西郷隆盛は二度までも島流しにあった。しかしそこで腐ることなく、書物を読み別人のようになって、明治維新にかけて英傑として活躍していった。あの西郷さんの状況と比べたら、今の私はいいよなって感じることもできるでしょう。

日常生活「うたし」法、宇宙活用法、歴史・自然活用法、尊敬する人物法、ご自身にあった方法で、あったときに活用いただけると有効かと思います。もちろん組み合わせてもOKです。

ひょっとしたら海や山、川に行きたくなった人もいるんじゃないでしょうか?
自然は心を癒してくれます。山派、海派、草派、太陽派、自分にあったものを選択するといいようです。ぜひ自分がリラックスするものをみつけ、自然を味方にしてください。必ず応援してくれるはずです。自然には力、エネルギーがありますから。

悩んだ時や困ったときに、みなさんもそれぞれ、克服する方法や打開する方法などをお持ちだと思います。本などでもいろいろ紹介されていると思いますが、ぜひ自分にあったことを見つけていただくといいと思います。
できれば比較的元気なときにそのコツや方法をストックしておき、いろいろな悩み別に対応できると、理想的かなと感じます。

なにもないまま歩んでいて、つらい場面に出会ってしまうと、対処にかなり困ることになるでしょう。その状態をマラソンにたとえると、スタートして、走りながら、補給用の水の中身を探しているような状態といえます。どんなサプリメントがいいかなどを走りながら検討している様子ですね。これは辛い。

私の場合はこういったこと以外でも、いい言葉にふれること、やはり言葉をいかに味方にするかということも、カギだと思っています。
いい食事をとって体をケアするように、いい言葉を読み、心を、体をきれいにしていくことがとても大切になってきます。そしていい言葉を発すること。

実業家であり思想家の中村天風さんはよく言っていました。
夏の暑いときに、みんながつらそうに暑い、暑いといっても自分では「今日は、暑いなあ、元気が出るな!」と言い切るんだと。
最後の語句をポジティブにしめることがポイントといわれます。

また相撲取り(力士)は、ネガティブな言葉はあまりつかいません。
勝利インタビューなどでお相撲さんが「はあはあ、今日は力が入った!」というような言葉を発するのを聞いたことがありませんか? この力が入ったという言葉は、実は「疲れた」という意味なのです。疲れたという言葉はエネルギーがぬけていくし、ネガティブですよね。だから「力が入った」と言っているのです。

我が家でも「やあ、今日は力が入ったなあ」という言葉がはやったことがあります。言葉一つに気をつけるだけで気持ちは変わりますね。

恵まれているんだという心でみていくと、いいことに気づけることになります。
これって魔法みたいな感じがしませんか?
そうなんです。自分の心をコントロールできるのです。

イタリアンフィロソフィーという歌にはこうあります。
「花壇に咲いている花の数を数えなさい
けっして落ち葉の数を数えてはなりません
輝かしい日々を数えなさい
苦しかった日々は思い出してはなりません
夜には星の数を数えなさい
暗がりばかりをみていてはいけません
嬉しかったときのことを思い出しなさい
悲しかったときのことは思い出してはなりません
そして誕生日がきたら
友達の数を数えなさい。
自分の歳の数を数えるのでなく…」

それと私の大好きな牧師にノーマン・ヴィンセント・ピール博士がいます。
ポジティブシンキングをすすめている方でもありますが、ある方が「博士、悩みのない世界にいきたいんです」というと、博士は一言「わかりました」と。
そして博士はあるところへ案内したそうです。それは……墓場。
本当に悩みのない場所は墓場だけだということです。

みんな悩みがあるんだと思うだけで、少し気持ちが晴れませんか?
つまり「悩みのない人なんていない」ということですね。
なにやら二重否定でわかりにくいですか? 槇原敬之の♪もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対♪みたいですね。

最後にもう一人、素晴らしい人物をご紹介します。
それはバカボンのパパ。そう赤塚不二夫の人気漫画、「天才バカボン」のパパです。バカボンのパパが毎回、最後になんといっていたかご存知ですか?

「これでいいのだ!!」

なんて素敵なポジティブな言葉でしょう。そうです。みなさん「これでいいのだ!!」


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Profile
山本実之
大手食品メーカーに入社。20代は商社部門で食品原料の輸入販売を担当。30代は食料海外事業部に所属し、シンガポール・プロジェクトをはじめ米国・香港等へ製品輸出を担当し、出張した国は32ヵ国にのぼる。さらに英国との合弁会社にて営業企画管理部長を担当(上司がイギリス人、部下はアメリカ人)。
40代は新規事業立ち上げのリーダーを担当し、その後、営業部長に。40代後半からは研修部長として、人財開発を担当。のちにグループの関連会社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。
資格としては、GCDF-Japanキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタント(国家資格)、(財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFPⓇ。デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン公認トレーナー(デール・カーネギー・コース、プレゼンテーション、リーダーシップ)を取得。

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