【人事担当者を元気にするコラム Vol.33】人生はギフト~大切な1回きりの神様からの招待状

大手食品メーカーグループ会社 代表取締役社長山本実之

2022.07.22

皆さんは「人生」をどのようにとらえていますか?
ある人は「人生はパラダイスだ」といいます。またある人は「人生は地獄だ」といいます。人生そのものに、いいも悪いもありませんが、例えた時のその人にとっての「人生」が形づけられていくのです。
このように、物事を何かに例えていくことをメタファーといいます。そしてこのメタファーを変えると、世界が変わるといわれています。

人生はこのメタファーによって位置づけられるため、メタファーは人生そのものを決めていくのだといわれています。ですから、メタファーの達人になっていくことは、人生の達人につながるともいえます。
さあ私たちは、「人生」をどのようにメタファーしていきますか?

よく、「事実」と「解釈」は異なるといわれます。一つの出来事も、どのように解釈するかによって、その出来事自体が変わってきます。たとえば、同じ境遇で働いていたとしても、それをエンジョイしている人もいれば、愚痴っている人もいる。各職場でもよくあるケースだと思います。
以前、海外事業部に所属していた時、2人の後輩がいました。そのうちの1人は、海外とのいい関係性を保ち、いきいきして、いつも楽しそうにビジネスしている。海外のパートナーにも想いをよせ、もっと、いいビジネスレターを書いていきたいと思い、いろいろな英文を研究している。
もう1人は、「なんで、海外宛のレターなんて書かなければいけないのかなあ。手間だなあ。面倒だな」などと愚痴っている。
当時、若者の希望する部署は「3K」といわれていました。「企画」「広告」「海外」、それぞれの頭文字の「K」から名付けられたものです。そんな、多くの若者がきたがっている海外部で働きながら、愚痴っている後輩をみて、私はとても不思議に感じていました。

「同じ風景をみて、同じように働いているのに、なぜこのように見方が分かれるのだろう?」

そんな風に、とても疑問に感じていました。
海外部で働くという事実をどのように解釈するかによって、輝きが大きく変わっているのでしょう。
また、育った環境や価値観などから、見える風景そのものをかえていくこともあると思います。ある人にとってはパラダイスとなり、ある人にとっては地獄となってしまう。解釈の違いで環境の捉え方は、大きく異なっていくのでしょう。

イメージ:価値観による環境の捉え方の違い

人は、一人ひとりが色の違う眼鏡をかけているといわれています。
ピンクの眼鏡をかけていれば、世界全般がピンク色になりますし、ブルーの眼鏡をかけていれば、すべてがブルーに映ります。解釈一つで、すべてが変わるという例だと感じます。
日ごろ、私たちはどんな色のメガネをかけているのでしょう? この点に気づけないと大きなバイアスになってしまいます。

私は「人生は神様から与えられたギフト」だと思っています。
そしてそれは1回きりの招待状でもあります。この世に生を受けたこと自体が奇跡であり、この感謝の気持ちをもつことが、ギフトの感覚をさらに高めてくれるように思います。

時々、「山本さんはよく努力していますね」といわれることがあります。
ただ、この努力という言葉自体は、私の行動にはあまりフィットしないような感覚があります。というのも、私はやりたいことや願望などが強く、その目標にむかっているという想いが強いのです。そんな、目標に向かっている自分にワクワクすることはありますが、「努力」という言葉の響きとは、少々異なるように感じる時があります。
努力とはとても素晴らしい言葉ですが、どこか、眉間にしわをよせてがんばって耐えている、なにやら修行的な雰囲気に感じるのは私だけでしょうか?
一方で、夢に向かっている自分にワクワクするのは、なにかとてもここちよい、さわやかな風がぬけていくような感覚をもつことがよくあります。
私自身、人より強く感じていることがあるとすれば、人生を終えるときに、「神様、とってもいい人生でした。楽しかったです。ありがとうございます」と力強く言いたい。そんな思いは、他の人よりも強いかもしれません。
そして、「よしよし、よく楽しんでくれたね」と神様から笑顔でいわれるという感覚を、人生のギフトに感謝する感覚をもっています。

ギフトって本当にいい言葉だと思いませんか? ワクワク感を覚える言葉ですね。

以前、子供たちが小学生のころ、父兄の集まりがありました。その父兄の中のお一人が自分の奥様のことを「愚妻」「愚妻」と繰り返しいっていて、とても嫌な思いをしたことがあります。奥様が聞いていたら、どんなにか悲しむことでしょう。なんでそんな言い方をする必要があるのでしょうか?
日本人は時々、息子のことを豚児や愚息といったりします。これは謙譲なのだとわかっていますが、私には決していい習慣とは思えません。むしろ私は全くいらないと感じています。
私自身は、妻のことを「神様からの贈り物」とか「ベターハーフ」とか「ソウルメイト」だと感じています。「私にとって人生の宝物」などと言うこともあります。表現のニュアンスを変えれば、「見える景色」も変わっていくものだと思います。
私はいろいろとはっきり伝えるので、妻が時々、「恥ずかしくなる」といっているようですが、縁あって、一緒にくらしているのですから、奥様に感謝と賞賛の言葉をシャワーのようにおくっていいのではないでしょうか?
さて、これもラテン系日本人のなせる技でしょうか?

出来事や人間関係をどのように言いあらわすかは、自分自身がその関係をどう思っているのかだけでなく、相手との関係性そのものに影響するといわれます。つまりメタファーで大きく世界を変えていくことができるということです。
「人生はパラダイスだ」といった瞬間に目の前がパーッと明るくひらけて、大きな海を、太平洋をみているような感覚になることもできます。
いろいろな出来事を様々な素敵な言葉でメタファーしていきましょう。すてきなメタファー研究家になっていくと、周囲の人をきっと幸せにできると思います。

ミスター・ラグビーといわれた平尾誠二さんは、オフィスをフィールドと、ワーカーをプレイヤーと呼ぼうと言っていました。会社員をプレイヤーと位置づけていくと、企業に雇用された者というより、フィールドにでて情熱をもってゲーム(仕事)ができるのではないかと。


確かに、フィールド、プレイヤーとメタファーするだけで、緑の草原を自由に走りまわる解放感があるように思います。ただ、その時にプレイヤーに求められるのは、自己責任と高度なスキルだと平尾さんは言っています。やはり、専門性の必要と、「自由と規律」の大切さを感じます。そして平尾誠二さんは、素晴らしいメタファーの実践者でもあったと感じます。

ただ、このメタファーは自分の生き方がそのまま影響することもあり、少し練習を要しますが、ぜひトライしてみてください。身近な言葉からでいいと思います。
たとえば、「あなたにとって、仕事ってなんですか?」と聞かれた時に、「仕事はチャレンジするゲームだ」とか「仕事は、幸せにつながる道だ」などと、言っていくことが練習になっていきます。人生に影響を与えていきますので、ぜひポジティブな言葉でメタファーしていってください。
メタファーは、身体の細胞レベルで影響を与えていくといわれていますので、「人生は地獄だ」などとは決していわないようにしましょう。本当に人生そのものが、その方向に引っ張られてしまいます。

職場のメンバーに対するほめ言葉なども、人生におけるギフトといっていいでしょう。その言葉一つで、一日ハッピーになることもあると思います。明るい面にフォーカスしていくと、一つの行動の中に輝きがみられ、一人ひとりの中にギフトを見つけることができます。
ほめるために、相手をよく観察することと同時に、ほめ言葉というギフトを受けた本人がどれだけワクワクするか、イメージして伝えることも大切に思います。いい所探しの達人となって、美点凝視でみていくこともKeyになるでしょう。
もし、あなたがリーダーだとしたら、その時使用するメタファーは、そのメンバーを直撃していきます。はかりしえない、爆弾のようなパワーを秘めているといえるでしょう。
たとえば、会社でリーダーがメンバーに伝えると、伝えられたメンバーは家族にも伝えていく。伝えられた奥様は奥様の世界で伝えていく、子供たちも、子供たちの学校の関係性で伝えていく。これはものすごい伝染力のある行動なのです。

みなさんは、どのようにメッセージを伝えていきますか?
いいメタファーを父親がつかっていけば、そしてリーダーがつかっていけば、世界へ大きな影響を与えていくといえるでしょう。ぜひみんなでメタファーの達人になっていきましょう! まずは自分自身からの発信です。

人生をギフトにするのもしないのも、すべて自分の考え方一つです。
たとえば年齢、「もう60歳だ」というのか、「まだ60歳」というのか。「まだ」と「もう」のたった2文字ですが、この言葉から発せられるイメージの違いはものすごく大きいと思いませんか? 私は「現代の7掛け人生説」を心から信じていますので、70歳なら49歳、60歳は42歳、50歳なら35歳ということになります。どうですか? そんな感覚ぴったりきませんか?
人生、これからっていう感覚になりますよね。
その感覚を信じて、実年齢60歳の方が「俺は42歳だ」と感じていく方法もあると思います。私は大賛成です。同じ歳をかさねていくにあたっても、このメタファーは人生100年時代にまさに、ふさわしい考え方のように思います。
私の大好きなチャップリンが80歳を迎えたときに、「20歳の4回目の誕生日を迎えた」と笑顔で語っていたことを思い出します。その感覚であれば、60歳では、20歳の3回目の誕生日といえますかね。このメタファーだけでも心がすこし軽くなるように思いますがいかがでしょうか?

「あなたにとって人生とは……?」
「あなたにとって生きることとは……?」

ポジティブに、そしてのびやかにメタファーしていきましょう!!


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Profile
山本実之
大手食品メーカーに入社。20代は商社部門で食品原料の輸入販売を担当。30代は食料海外事業部に所属し、シンガポール・プロジェクトをはじめ米国・香港等へ製品輸出を担当し、出張した国は32ヵ国にのぼる。さらに英国との合弁会社にて営業企画管理部長を担当(上司がイギリス人、部下はアメリカ人)。
40代は新規事業立ち上げのリーダーを担当し、その後、営業部長に。40代後半からは研修部長として、人財開発を担当。のちにグループの関連会社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。
資格としては、GCDFキャリアコンサルタント(国家資格)、(財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFPⓇ。デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン公認トレーナー(デール・カーネギー・コース、プレゼンテーション、リーダーシップ)を取得。

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