【人事担当者を元気にするコラム Vol.25】夜寝る前の魔法の10分間、人生に活用してみませんか?

大手食品メーカーグループ会社 代表取締役社長山本実之

2021.11.26

一日が終わり、寝る少し前のひととき、あなたは何をしていますか?
TVをみている? 音楽を聴いている? ストレッチ? 家族との会話?
実は、寝る前の時間、そのわずか10分間の過ごし方が、人生を大きく変えていくといわれていることをご存知でしょうか?

潜在意識と顕在意識という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
潜在意識とは無意識の世界であり、顕在意識とは今めざめている世界、そしてその比率は、よく氷山の姿にたとえられます。
海上にでている氷山は、氷山全体の約2割に過ぎません。残りの8割は海の中に隠れていて、海面から上からでは見ることはできません。この海上にでている氷山の部分が顕在意識に、そして海中に隠れている部分が潜在意識にたとえられます。つまり、圧倒的に潜在意識の方が大きく、しかもそれは、目で見えないということです。
そして自分の未来、将来を左右しているのが、この潜在意識だといわれているのです。

では、目覚めていない潜在意識にどうやってアプローチをすればいいのでしょうか? どのように活性化していけばいいのでしょうか?
実は、眠っている時が、この潜在意識に最も働きかけることができるといわれています。つまり、眠っている間に心の中が作られていくということです。
そうなると、眠る前の10分間はとても大事ということになりますよね。
ですから、寝る直前に殺人事件のニュースなどはみてはいけないのです。それでは、寝ている間に心の中で殺人事件が起きてしまっている状態になってしまいます。実際に自分が経験している事件でもないのに、寝ている間に、大切な心の中の映画館で殺人事件を上映しているのですから。これはこわいですよね。

私の場合は、寝る前にはポジティブな本、大好きな本を読んで、心を明るい素敵な言葉で一杯にしていきます。素敵な言葉で、心と体を清めているという感覚ですね。とっても気持ちのいい作業、リフレッシュでき、大好きな時間です。
この言葉のシャワーを浴びることで、特に滝の修行などはいらなくなるように感じています。
みなさんもいい本を読むとハッピーになる、明るくなる、人生っていいなって感じられることがあるでしょう。心がまさに青年のようになる、これは心のアンチエージングといえるでしょう。そんなハッピーイメージで、眠りにつきましょう。

心のことを土地に例えることがありますね。さて、土地をそのままにしておくと、どんなことが起こるでしょう? なにも起きない? いやいや実は、土地をそのままにしておくと、雑草がはえてくるのです。心に雑草をはやさないためにも、いい言葉で心を洗っていく必要があるのです。

人をメンターとして仰いでいくように、本をブックメンターとすることもできます。ちなみに、私はブックメンターとして、ノーマン・ヴィンセント・ピールやロバート・シュラー、中村天風、斎藤一人、デール・カーネギーといった人たちの本を読み、心をきれいにしていく作業を、ほぼ毎日しています。
人はお風呂で毎日体を洗うのに、心は洗わない人が多いように思います。これは読書を通じて、心の雑草をとっているイメージでもあります。幸せへの心のチューニングといってもいいかもしれません。
人によっては、音楽も有効かと思います。ヒーリングミュージックやクラシック等で、自分の心がハッピーになって、リラックスできるものが好ましいですね。

世の中には、圧倒的にネガティブなことが多いといわれています。特にニュースで取り上げられることは、殺人や事故等々、ネガティブなことばかり。
なぜだかおわかりになりますか? 悲しいことに「他人の不幸は蜜の味」という残念な言葉があるように、人の不幸をみて、まだ自分はよかったな、と思いたいという心理が働いているのです。TVのニュースなどは、視聴率を上げることが目的になっていますので、どうしてもネガティブなニュースで人をひきつけ、視聴率をあげていくという仕組みになっているのです。

以前、あるビジネス雑誌の社長と、20人程度のクローズの勉強会でお会いしたことがあります。その時に
「わが社はこれからも、マイナスな記事を書き続けます。それは雑誌の発行部数を伸ばすためです。今、ここにいる方々は、そのニュースにはぜひ、ひっぱられずに自分の頭で、心でとらえていってください。ここだけですが、これからも暗い記事を書き続けますからね」
と言われて、愕然としたことを覚えています。
やはり人の深層心理には、他の方の暗い記事を読んで、自分の相対的な立ち位置を上げたいという思いが働くのでしょう。

いい本、いい言葉で心をきれいにしたあと、ベッドにはいってからのイメージも大事です。
中村天風さんは、寝る前は最高の自分になって、真綿で包まれるような感覚で、幸せいっぱいで寝るように、とすすめていました。ベッドの中では、どんなに最高の人物になったとしても、税務署が税金をとりたてにくるようなことは決してありませんから。安心してイメージしてください。

私も実現したい夢があるときには、よくイメージをしていきます。
夢の中で、実現に心が近づいてくるのです。ワクワクしますよ。だって、毎日、最高の自分に会いに行くのですから……。
この話をすると、「山本さんは、幸せでいいねえ」などといわれます。そうです、幸せなのです。幸せオーラをしっかりだしながら眠るのです。

私は過去に、大学で非常勤講師をしていたことがあります。それは自分が望んでのことだったのですが、実際に採用になる前のこと、やっていたことは、自分が講師になっている姿をベッドでイメージすることです。毎日、教壇で学生たちの前に立って、講義をしている自分をずっと想い続けていました。


そしてある日から、行動にもでることにしました。飲み会などで、「俺、非常勤講師をやりたいんだ」といろいろな人に言うようにしたのです。
すると知人から「そういえば○○が非常勤講師さがしていたよ」と教えてもらえるようになったのです。「興味あるなら聞いてみようか?」などと声がけもされるようになりました。そしてイメージをし続けた結果、1年で本当に非常勤講師をするようになったのです。
これはまさに、眠るときの祈りの強さのおかげだったと思います。

その当時、寝る時のイメージといえば、黒板の前で、私が学生に話している姿。学生たちは真剣に聞いていて、笑顔いっぱいで、楽しそうに授業を受けている。目はキラキラ。授業後も「今日の授業も楽しかったね、最高の授業だったね」とみんながいっていて、ニコニコしているというイメージをありありと描いていく。そして数年後、まさにその通りになっていました。

1年で365日、10年で3650日、このようなイメージをもっていくのです。
目標がフォーカスしていない人とくらべたら、どちらがそのイメージ近づけると思いますか? 毎日ですからね。
10年のことを英語で1decadeといいます。日本語でも十年一昔といいますね。10年続けるつもりでトライしてみてください。この想いはとても強く、実施しない手はないと思っています。

ぜひ、寝る前に、素敵な自分に会いに行ってください。とはいえ気をつけないと、あまりに素敵な自分になりすぎて、目が覚醒してしまうこともありますので、その点は要注意ですよ。

最高の自分を創っていくにもやはり言葉が大切。言葉にならないこと、言葉で認識しにくいものは、実現しないともいわれます。
そして、多くの人が夢をあきらめてしまいます。まさに三日坊主。実施してもなかなか変わらないから。そう、簡単には変わらないのです。今までやったことのない作業ですものね。すぐには変わりません。
習慣にするための考え方として、21日間継続説があります。21日間、継続していくと、続けていくこと自体が習慣になるといわれています。まず、21日間継続すると、続けることが自然になっていくようです。
スキンケアにおいて、女性の皮膚のターンオーバーも21日間なので、もしかすると関係しているかもしれませんね。

私はいろいろと学ぶ中で、人の心には「ネガティブの穴」というものがあることに気がつきました。結果において、その穴により時間的に個人差がでるということです。
一人ひとりが異なる大きさ、異なる深さの穴をもっていると思ってください。この穴をネガティブの穴と名付けます。その穴にポジティブという名の石を投げていく。するとネガティブの穴が浅い人は、すぐに穴がうまり、表面が山のように盛り上がっていきます。しかしある人は、穴がものすごく深いので、いくらポジティブの石をなげいれても全く変化がみえず、穴のままにみえる。
同じ話を聞いて、仮に実行したとしても、穴の大きさ、深さが異なるので、結果のでるスピードに差が出るのです。多くの方は、他人と比較したりして、継続しなくなってしまうようです。もし、夜の魔法の10分間の活動をして結果がでにくかったとしたら、「穴が深いのかなあ」と思いながら、ぜひ継続してみてください。

この穴の深さ、大きさは、育った環境が大きく影響するようです。
「あなたはすごい! あなたは頭がいい!」といわれて育ってきた人は、比較的この穴が浅い。でも「あなたはダメねえ」とか「できないこね」といわれてきた人は、この穴が深くなっているようです。
目にはみえない心の中の穴のこと、過去は変えられないけれども、自分の行動は変えられます。あきらめなければ、必ず穴はうまっていきます。まさに千里の道も一歩から。ポジティブな石を投げ続けていきましょう。個人差はありますが、必ず、地上に浮上してきます。雪だるまと同じです。最初はなかなか固まらず形になりにくいですが、いざころがりだすと、どんどん、大きくなりますよね。ネガティブの穴がうまるのも、そんな感覚があると思います。

まずは、あきらめないと決めること、そして、必ず浮上していくと信じること。
この作業を徹底的にやっていきましょう。また、小さなことをイメージして自分をほめることも大切です。
この時に、あきらめずに継続できるかどうかが、未来をわけていきます。
ここでも他人と比較しないことがカギ。もし比較するとしたら、過去の自分です。
小さな成功も積み上げることが大事だと、あのイチローもいっています。
「当たり前のことを続けていくと、とんでもないところにつれていってくれる」と。

自分を信じて、夜、素敵な言葉、想いで自分を満たし、ゆたかなハッピーライフをクリエイトしていきましょう。ぜひ、素敵なあなたに会い続けてくださいね。


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Profile
山本実之
大手食品メーカーに入社。20代は商社部門で食品原料の輸入販売を担当。30代は食料海外事業部に所属し、シンガポール・プロジェクトをはじめ米国・香港等へ製品輸出を担当し、出張した国は32ヵ国にのぼる。さらに英国との合弁会社にて営業企画管理部長を担当(上司がイギリス人、部下はアメリカ人)。
40代は新規事業立ち上げのリーダーを担当し、その後、営業部長に。40代後半からは研修部長として、人財開発を担当。のちにグループの関連会社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。
資格としては、GCDF-Japanキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタント(国家資格)、(財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFPⓇ。デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン公認トレーナー(デール・カーネギー・コース、プレゼンテーション、リーダーシップ)を取得。

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