【人事担当者を元気にするコラム Vol.1】世界ミドル級チャンピオンへの道

大手食品メーカーグループ会社 代表取締役社長山本実之

2019.11.25

はじめまして。山本実之と申します。
私は約35年前に大手食品メーカーに入社して、30代は海外事業部に所属。まさに世界をまたにかけて、海外出張をしながら多くのビジネスパーソンと向き合いました。異文化や異なる考え方にふれ、心に化学変化を起こしながら、取り組んでいたことを思い出します。

特に印象に残った出張先としては、エクアドルの首都キトにある赤道モニュメントが思い浮かびます。これはまさに赤道の上に立っているモニュメントで、赤道またぎができる世界唯一の場所。そこで世界の中に生きる自分を感じていました(右足が北半球、左足が南半球の状態ですね)。


Monumento a la Mitad del Mundo en la CMM.
Diego Delso, delso.photo, License CC-BY-SA

そして40代は、新規事業の立ち上げリーダー。客先0からのスタートで、新規開拓の日々。これも楽しかったですね。初めて売上がたったときのメンバーの笑顔、忘れません。

そしてビジネスも軌道に乗ったところで、人事異動。人財開発の責任者となり、海外出張はなくなってしまいましたが、人を導くことに大いなる魅力を感じていました。そして現在は、グループ企業の代表取締役社長を務めています。

そんな私からみなさんに、おなじ人財開発の仕事に関わった先輩として「元気が出るコラム」をお届けしていきたいと思っています。


さて、まずタイトルを見て「ボクサーに今からなるの?」「世界チャンピオンを目指すの?」と驚かれたかもしれませんね。しかしこれは、そういう意味ではありません。ビジネス界でミドルの立場として、世界に活躍していきましょう、ということです。

ボクシングでミドル級といえば、重量級の中で、最も選手層が厚く、チャンピオンになるのが最も難しい階級といわれています。あの村田涼太選手が現在、世界チャンピオンになっている階級でもありますね。

ではビジネスパーソンにおけるミドルはいかがでしょうか?

会社、立場、家庭環境によって、さまざまだと思いますが、人生においてとても大切で、同時に歩み方がとても難しい年代ではないでしょうか?

係長や課長といった役職に就きはじめ、メンバーをリードするリーダーとして活躍している方もいることでしょう。また家庭では、夫として奥様と接していく、そして父親として子どもとむかいあっていくといったように、様々な役割を担っていく世代になっていることでしょう。

みなさんは日々、どのような気持ちで過ごしていますか? このミドルの環境をどのような心持ちで過ごしていくかということが、行動や考え方に大きく影響を与えていきます。
また、単に今この瞬間だけではなく、将来の自分、未来の家族像にも大きな変革をもたらしますので、心構え、そして行動がとても大事です。

立場によっては、新人やメンバーのフォローをしていたかと思えば、上司である部長や、場合によっては役員に進言するといったような、多面的な行動が求められます。
言い方によると「サンドイッチ攻撃」を日々、受けている環境ともいえますね。

同時に家庭のマネジメントも要求されていきます。
その上に自分のやりたいことがあると、いくら時間があっても足りないような心境になってくることでしょう。

「おおー大変。体一つじゃもたないよ。ちょっとやってられないな」、そんな声も聞こえてきそうです。私自身も「俺はスーパーマンじゃないよ」って叫びそうになったことは何度もありました。

でも大切なのは、出来事と解釈の違いをしっかり認識することです。
ある出来事をどう解釈するかによって、人生そのものが変わってきます。

たとえば天気です。晴れ、くもり、雨。たしかに事実としての天気があります。でも、自分の心の天気は自分で決めることができます。たとえば、「暑いなあ、疲れるなあ」から「暑いね。今日も元気が出るな」とか、「雨でいやだな」から「この雨は幸せの恵みだな。草花は喜んでいるな」と心の天気は自分で決められることに気づくことです。これは多少訓練がいることですが、続けていれば必ず身についていきます。

先ほどお伝えした、今のサンドイッチ状態を幸せのスタンスからみてみましょう。サンドイッチの状態も、「はさまれて大変」から「はさまれてしあわせ」といったように、自分の天気を変えていくことができます。すべては解釈の仕方にあります。

「ウエルカム!サンドイッチ!」「サンドイッチ!大好き」って感じですね。

そういった考え方に立つと、「新人のめんどうまでみて大変」という視点から、「なんと新人の声を聴ける、若手の考えに直接ふれられる環境はハッピーだ」ということに気づけるでしょう。しかも、そんな思いを受けながら、自分なりに方向性をまとめ、経営陣に伝えられることが可能な環境は、本当に幸せなのだといってよいはずです。
フィルターのかかっていない、若者の声を直接聴き、その思いを反映させ、ミドルの経験を踏まえて行う提案は、トップからすれば、輝きのあるものに違いありません。

その展開や進め方というものは、ミドルのときこそできることです。

実際にポジションがあがると感じると思いますが、ディレクターのクラスになると、新人の生の声を聴くことや、直接指導することは中間管理職がいるので、難しくなるのです。これはまさに靴の上から足をかいているような感覚で、もどかしいものです。直接すべてをダイレクトパスできる今は、実はとても幸せなときなのです。
そう、すべては心の持ちようから決まります。

ミドルのこの時期をいかに過ごすかは、とても大切だということがわかると思います。
大変だけど、逃げない、逃げない。「挑めばチャンス、逃げればピンチ」と言っていたのは、アサヒビールをスーパードライで復活させた立役者、樋口廣太郎さんです。
私はこれまでに二度ほど、お目にかかる機会がありましたが、こう話していただきました。「人生は面白いものだ。明るく、元気に、大きな声で自分への挑戦を続けていくと、自然にエネルギーがわき、そのエネルギーが強い運勢を引っ張ってくる」と。人を引きつける輝きにあふれている姿は、まさにミドルの目指す人物像だと感じました。

かくいう私もミドルのころ、子どもが5歳と1歳。仕事は営業で毎日忙しく、接待などもあり、帰宅は深夜になることも多い。当時、家族は川の字に寝ていて、みんなを起こさないように静かに布団にはいるのですが、右側から家内のすくっとおきた影が視界に入り、「あなた、お話しがあります」と。「きたーー」って感じですね。それから夜中の2時、3時まで子どもの話しになります。それをしっかり受け止めなければいけない。

夫婦で子育てをしていくので、一緒に考えていくことは当然のことですが、どうしても仕事にウエイトが傾いてしまう傾向が、この時期にはあると感じます。
そこで「俺は忙しい、明日は早いんだ」とか、「今日は疲れているんだ」などといっていると、夫婦の溝、家族の溝が生まれてしまいます。しっかり聞きながら、家族のことをともに考えていくこともミドルには求められます。
20年後、30年後の家族の未来像を決めていくのも、この時にあると感じます。

未来に向けて信頼しあい、励まし合いながら、家族と歩んでいくためにも「今ここ」が大切なのです。つまり「未来は今」ということです。

私自身、ミドル時代は仕事と家庭、そして自分のやりたいことを縮小均衡ではなく、拡大均衡をめざしながら、生きてきたと感じています。

「大変だけど、楽しいよ! ミドルは」ととらえてみる。
そしてもし、自分自身がビジネス界の世界ミドル級チャンピオンだったらと考えてみてはどうでしょうか?

ボクサーが世界チャンピオンになるために、どれだけの努力をしているのか、どれだけのことを犠牲にしているかということに想いをよせてみましょう。トレーニング、減量につぐ減量、対戦相手の対策等々、それは想像を絶するものです。

夜中に家内と話すこと、小さい子どもとしっかりかかわること、会社でのサンドイッチ攻撃や様々な人間関係等々、くらべてみれば、ささいなものだと思えてきませんか?

「第一歩」という詩の中で、「三笠山に登る第一歩、富士山に登る第一歩。同じ一歩でも覚悟が違う。どこまで行くつもりか、どこまで登るつもりか。目標がその日その日を支配する」といったのは、詩人の後藤静香さんです。これは横浜高校の元野球部監督である渡辺元智さんが、松坂大輔選手らの部員に伝え、有名になりましたね。
私たちもビジネス界の世界ミドル級チャンピオンを目指してみませんか?

どこを目標にするかで、人生の歩み方、日々の過ごし方、考え方は当然変わってきます。日本でも東洋でもなく、世界です。その想い、気概をもってすれば、日常の出来事は、たいしたことないと思えるはずです。

さだまさしさんの歌ではありませんが、「自分の人生は、自分がみな主人公♪」
自分の生き方、目標を強く、明確に描いていきましょう。

世界で輝いている自分をイメージしていく、チャンピオンのようにキラキラした自分を描いてみる。自分の中で、輝いている姿をしっかりみつめることができれば、忙しい日々も、あたかもジムでのトレーニングのように過ごし、楽しくランニングしているかのように、のびやかに、こなしていけるのではないでしょうか。

「赤コーナー、世界ミドル級チャンピオン 150ポンド(避けようね メタボ!)」あなたの名前が人生のマットに大きく、大きく響く日を目指して。

Profile
山本実之
大手食品メーカーに入社。20代は商社部門で食品原料の輸入販売を担当。30代は食料海外事業部に所属し、シンガポール・プロジェクトをはじめ米国・香港等へ製品輸出を担当し、出張した国は32ヵ国にのぼる。さらに英国との合弁会社にて営業企画管理部長を担当(上司がイギリス人、部下はアメリカ人)。 40代は新規事業立ち上げのリーダーを担当し、その後、営業部長に。40代後半からは研修部長として、人財開発を担当。のちにグループの関連会社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。 資格としては、GCDFキャリアコンサルタント(国家資格)、(財)生涯学習開発財団認定コーチ、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFPⓇ。デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン公認トレーナー(デール・カーネギー・コース、プレゼンテーション、リーダーシップ)を取得。

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