日本金融人材育成協会における人材育成事業について ~企業経営アドバイザー・年金検定・相続検定の3検定のご案内

一般社団法人 日本金融人材育成協会松田 大

2020.12.21

現在、日本における企業数は359万社で、そのうち99.7%の358万社は中小企業および小規模事業者となっています。また75%を超える271万社は従業員4人未満であり、その3分の2は個人事業者だとされています。
ただし、これは2016年の統計によるものであり、2014年から2016年の間に企業数が23万社も減少していることを考えると、現在はさらに少なくなっている可能性が高そうです。
ご承知の通り、中小企業を取り巻く環境は非常にきびしく、地域人口の減少による需要減少や、経営者や従業員の高齢化、経営資源の陳腐化などに加えて、このコロナ禍による売上の激減とそれに伴う資金繰り悪化に直面しています。

わたしども一般社団法人日本金融人材育成協会は、少子高齢化・人口減少の進展やDX・デジタライゼーションの加速など、社会環境が急速に変化を遂げるなか、地域経済の活性化や地域企業の持続的成長促進といった社会課題に対応できる人材を育成することを目的として設立された協会です。
地域経済の活性化を図るためには、中小企業の成長は欠かすことのできない条件だといえます。確かに中小企業・小規模事業者は企業数こそ多いものの、売上や雇用者数は少なく、一見経済に与えるインパクトは小さいように思われますが、実際には地域経済のサプライチェーンの一翼を担っている企業も少なくなく、これらの中小・小規模事業者が生産性を高め持続的に成長していくことが重要なのです。
金融機関は「事業性評価」に基づく融資・助言を進めており、地域企業の成長を支える取り組みに力を入れ始めていますが、規模の小さな企業にはまだまだそのコンサルティング機能が十分に届いていないことも多いようです。

 

【事業性評価】企業の事業内容や成長可能性を適切に評価すること。金融機関は、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、事業性評価に基づいて融資や助言を行うことが求められています。

 

日本金融人材育成協会は、地域経済の発展のためには地域企業の生産性向上と持続的成長が必要不可欠であり、そのためにも、地域企業に伴走して支援できる人材の育成が急務と考えています。そこで当協会は、その一つの方法として「企業経営アドバイザー」資格の認定事業を行っています。

企業経営アドバイザーは企業の「総合診療医」として、地域企業の元気(=稼ぐ力)を引き出すために経営・事業を総合的に診断し、必要に応じて様々な専門家との連携を図りながら、持続的成長のための適切な処方箋を出すことができる専門家です。財務・非財務両面から対象企業の事業を理解したうえで、真の経営課題を発見・整理し、その解決策を提案できる力をもつ人材です。

 

【総合診療医】疾患の特定臓器等に着目して診断するのではなく、地域のあらゆる年齢、性別の患者を対象に、その疾患の原因や影響を多角的な視点で診断し、必要に応じて他の診療科との連携を図り、患者が心身両面において健康な暮らしを送れるように対応する医師。また疾患だけでなく、患者の家族や職場環境などを踏まえた総合的な視点で解決策を提案でき、さらに地域全体を診るという観点から、予防や健康増進のための地域ぐるみの働きかけまで行っていくことが期待されています。

 

企業が持続的に成長し存続していくためには、事業を客観的に分析・評価したうえで、事業環境の変化の予測に基づいて未来の事業を構想し、実現に向けて手を打っていくことが必要です。企業経営アドバイザーは、そのような企業の取り組みに対して、経営者に伴走して支援を行い、企業の成長を支える役割を担っていきます。

企業経営アドバイザー検定試験は年2回実施され、財務や法務、マーケティングなど、経営知識全般が広く問われる知識科目と、事業性評価の知識とスキルが問われる実践科目の2科目で行われます。事業性評価については、企業の健康診断ツールとして経済産業省が開発し、金融機関や中小企業での使用を推奨しているローカルベンチマークや、将来の価値創造メカニズムを構想するツールとして内閣府が提唱している経営デザインシートが出題範囲に含まれることから、学習によりこれら支援ツールの活用方法も身につけることができます。

さらに資格取得のためには、これら2科目の合格に加えて、当協会が認定する「対話力向上講習」に参加し、修了する必要があります。この講習は、経営者の本音を聞き出す質問力や、相手を納得させる提案力・質問力を身につけるためのプログラムとなっており、問題解決プロセスの理解や事業性評価の視点を踏まえたロールプレイングによって、経営者との対話力を向上させるトレーニングを行うものです。

■企業経営アドバイザーの試験科目と資格の認定要件

こういった知識が得られることから、企業経営アドバイザーを目指される方は、金融機関にお勤めの方だけでなく、税理士や中小企業診断士、ITベンダーの営業担当者など、中小企業に関わる様々な職種の方がいらっしゃいます。
またそれだけでなく、ビジネスパーソン必須の経営知識を効率的に身につけられること、また合格後はBtoB・BtoCのいずれの局面においてもクライアントの頼れる相談者となり、さらには社内において調整役、そして旗振り役としての活躍も期待できる存在になれることから、一般企業においても取得が推奨される資格として、認知されつつあります

実際に2017年12月から始まった、この企業経営アドバイザー試験に合格し、対話力向上講習を受講し、登録した方は既に134名(2020年12月10日現在)となっており、今後もさらに拡大していくものと考えております。

⇒「企業経営アドバイザー」の詳細はこちら

また日本金融人材育成協会ではこのほかに「相続検定」「年金検定」という検定試験も実施しています。
中小企業経営者の多くはオーナー社長として経営権のほとんどを所有しており、引退後も事業を継続していくためには、円滑な相続の準備が欠かせません。後継者以外の家族(推定相続人)が納得できるかたちで資産承継を計画しておかないと、最悪の場合、事業継続が困難となる可能性もあります。
また長く経営するなかで内部留保が溜まっていたり、大きく利益が出ていたりといった企業の場合、株価が高く評価されるため、相続税・贈与税の対策が必要なケースもあります。
年金に関しても、経営者にも個人のライフプランがあり、引退後の生活資金の計画を考える際、やはりベースとなるのは公的年金制度です。人生100年時代となり、リタイア後の生活資金はこれまでよりも多く準備しておくことが必要となってきていますが、個人事業者は国民年金しか受給できないことも多く、私的年金などを活用した早めの準備がたいせつとなります。
こういったことから基本的な相続や年金の知識を身につけておくことで、経営者に早いタイミングで相続準備や老後資金準備の必要性に気づいてもらえるような働きかけを行うことができ、経営以外の面からも経営者の相談相手として頼られる存在となることができるようになります。もちろん、相続や年金は、経営者に限らずすべての人にとって必ず関係するものですので、自分自身の将来のためにも身につけておくべき知識といえるでしょう。

⇒「相続検定」の詳細はこちら
⇒「年金検定」の詳細はこちら

日本金融人材育成協会ではこのような資格認定を通じて、経営や相続・年金などの知識を身につけ、地域の経営者の頼れる相談者として活躍できる人材を全国に増やしていくことで、地域企業の持続的成長と、人口減少時代の地域経済発展に貢献していきたいと考えています。

ぜひ当協会が運営を行う企業経営アドバイザーをはじめとする検定試験を、人材の育成と企業の発展のためにご活用いただければ幸いです。


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Profile
松田 大
一般社団法人 日本金融人材育成協会 理事

[日本金融人材育成協会]
急速な社会環境の変化を背景に、我が国が抱える地域経済の活性化や地域企業の持続的成長促進といった社会的課題に対し、学術的、専門的知見に基づいた情報の発信・普及・啓蒙等の各種事業を行い、これらの分野にたずさわる人材を育成することにより、我が国における地域企業の活性化を図り、地域の創生及び振興並びに地域経済の発展に寄与することを目的に、2017年に設立された一般社団法人。
その事業の柱の一つとして、企業経営アドバイザー・相続検定・年金検定の実施といった業務を行っている。

日本金融人材育成協会Website
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