【人事担当者を元気にするコラム Vol.16】ランチの未来学~ランチを通じて未来がみえる!~

大手食品メーカーグループ会社 代表取締役社長山本実之

2021.02.26

みなさんは普段、ランチをどこで、どのようにとられていますか?
会社近くのレストランや社員食堂、あるいはお弁当の方もいらっしゃるかもしれませんが、お店などでは、オーダーして食べるまでの間、いろいろなやりとりがあることと思います。

ここではひとつ、ある定食屋さんにはいったところをイメージしてみてください。

定食屋さん

座席にすわるまで、心の中では「今日は、カレーライスを食べるぞ」と、「カレー、カレー」と決めていたとします。
しかし、いざ店員さんから、「なににしますか? ご注文は?」と聞かれた瞬間に、心の中ではカレーライスだと思いながら、言葉をかえて「焼肉定食」といったら、どちらが配膳されますか?
これは当然、「焼肉定食」がでてきますよね。自分の心では、カレーライスだと思っていたのにも関わらず、出てくるのは焼肉定食です。
これを当たり前だって思いますか? いや、当たり前ではないのです。実は、これはランチの未来学なのです。
つまり、未来を予知したわけです。未来を予測して、発信して、その通りのことが実現したわけです。そう考えると、まさに未来学だと思いませんか?
そしてその予知は、言葉にした方が実現するという考え方なのです。

いくら頭の中で考えていても、理想の未来はやってきにくいといわれています。
まず発信、声に出すことがとても大事なのです。
たかがランチ、されどランチ。椅子に座ったときには、目の前にはなにもなかったことが起きたのですから。まさに未来が実現した姿です。これは実にすごーーいことなのです!

そしてこれは、頭の中でいくら考えていても、声に出した方が実現するという一つの例でもあります。声に出していくことがいかに大切であるか、ランチを通じて、未来を学ぶ場面なのです。

アファメーションという言葉を聞いたことはありますか?
前回のコラムでも書きましたが、アファメーションとは自己宣言のことです。
みなさんは、普段、アファメーションをしていますか?
「自分がこうありたい」という姿を文章にして、宣言していますか?
私は毎朝、アファメーションをしています。このアファメーションはとても効果があります。朝、天に味方をしていただける感覚になります。
ワクワクしながら、のびやかに。
このアファメーションの仕方もいずれお伝えしていきたいと考えていますが、この話をすると「言うだけで実現するなんて思わない」という人もいます。

自動車王といわれたヘンリー・フォードはこんな言葉を残しています。
ある人は、「言ったことは実現する」といい、ある人は、「言ったことなど実現しない」と。ところがフォードはこう言いました。「どちらも正しい。言ったことは実現しないといった人は実現しない。できるといった人は実現する。だからともに正しいんだ」と。

普段、自分自身の人生で、みなさんはなにを未来にオーダーしていますか?
自分のやりたいことをどのような言葉にしていますか?
心に思うだけでなく、ぜひ声に出してみてくださいね。

ディズニー映画『アラジン』に登場するジーニーの魔法のランプのように、「3つの願い」を声に出していくことはとても大切です。それと、願いはなにも3つにしぼらなくてもいいという説もあります。
確かなことは、頭の中でただ祈っていても、ジーニーには通じませんよね。

コーチングでは、オートクラインといわれます。自分で発した言葉を自分の耳で聞く。これはまさに実現にむかう法則でもあります。実現の可能性は2倍以上にも跳ね上がる法則です。素晴らしいと思いませんか。使わない手はないと思います。ぜひご活用ください。

さあ、自分の人生でなにをどのように未来へつなげていきますか?
アラジンの3つの願いのように、なにがほしいか、なにがしたいかをまず見つけることが大切です。どうしたらいいかがわからなければ、どこへも行けませんし、案内することも不可能です。

たとえると、私たちが旅行代理店のカウンターに行ったとしたら、店員さんからは「ご希望の旅行先は?」と聞かれますよね。
その時に「幸せな場所へ」と答えたらどうでしょう? 代理店の方としては、あまりにも漠然しすぎて、どこへお連れしていいか全然わかりませんね。米国なのか、欧州のある国なのか、どこなのか、全くわかりません。
まずは自分できめる。きめることを決めることが大事なのです。

決められない場合の未来は、『不思議の国のアリス』の主人公のアリスと同じ。
「私、どちらの道にいけばいいかしら?」アリスがいうと、「どこへいきたいかが決まっていなければ、どっちの道へいっても同じだよ」と、あの猫がいっていましたよね。そう、自分で決めることがいかに大事かということです

そして、みつけるためには、RASを味方につけましょう。
RAS(Reticular Activating System)というのは網様体賦活系のことで、脳のフィルターのような役割をもっており、その人にとって、必要な情報、必要ない情報を見事にしわけてくれます。
このRASがたつと、すべての情報に対する感度が上がります。

たとえば、あるタイプの車を購入しようとしたとき、街中でその車が多く走っているように思ったことはありませんか? また、あるバッグを買おうと思っていたら、やけに同じバッグを持っている人が多いなと感じたことはありませんか?

同じ車をよく見かける

私は、家内が妊娠したとき、「街には、妊婦さんがこんなに多いのか」と目にうつったことが記憶にあります。
実はこれこそ、RASのなせる技。このRASさえあれば、すべてが始まります。
自分のしたいこと、やりたいことのRASをしっかりたてるのです。

ただ、日本人はすぐにHOW、つまりいかにして実現すればいいのかを考えてしまいがちです。そうすると「難しい」とか「自分には無理」とか過去の記憶に引っ張られることが多くあります。
まだ、実現していない未来なのですから、HOWを考えてはいけません。達成の可能性や未来さえも狭めてしまいますから。

願い、希望のRASをしっかりたてていくのです。そこからすべては始まります。
こういう未来学は学校ではならっていないし、仮にどなたかに相談しても、その方も未来学をしらないのでしょうから、可能性さえないような展開になってしまうこともあると思います。

まずはRASをたてる。興味、やりたいことのアンテナをしっかりたてる。
それが大きなポイントです。それさえできれば、いろいろ求めるものとの周波数があって、情報が飛び込んでくるようになってきます。その結果、達成できる確率がものすごく上がっていきます。
情報の質と量の入り方、角度が根本的に変わってくるのです。

TVでも、チャンネルボタンを押しただけで、4チャンネルになったり6チャンネルになったりしますよね。それぞれの周波数にあったときに、TV画面にうつしだされるわけです。もともと電波は発信されているものですが、自分がアンテナをたてずに、周波数もあわせなければ、今流れている情報はつかむことができないのです。

今、私たちの成功、達成に向けての情報は、いろいろなところにあふれています。
ただ、自分自身のやりたいことや夢のアンテナ、つまりRASがたっていないと、その情報がひっかかってこないのです。つまり、存在していても見えない状態です。逆にRASをたてていくと、すべてを引き寄せていきます。

脳認知学では、そのことを「スコトーマ(盲点)」とよびます。まさに盲点ですね。自分で認知できなくなってしまうのです。
RASがたたないと、みえているはずなのに、みえない状態を自らつくりだしてしまいます。同じ風景をみていても、ある人は様々な情報をその一場面からみつけますが、ある人は、なにも気づけないということがよく起こります。

「フランス人には風鈴がみえない」といわれます。
夏の風物詩、風鈴であっても、風鈴を知らないフランス人にとっては、単なる鉄のかたまりとしか認知できない。情報もなにもないから……。ましてや、風鈴をみて「涼しい」という感覚などは全くありません。
こういったことは、よく見受けられます。

自分発信でやっていくと同時に、時間軸の流れをしっかりとらえていくことも、とても大切になってきます。そしてさらに大事なことは、出来事は過去からではなく、未来から流れてくることを同時にしっかり認識することです。過去の出来事があるから、今があるわけではありません。
私たちには、どうも過去の延長で考えるクセや思い込みがあるようです。
過去にしばられてはいけません。過去の素敵な出来事、栄光を未来の想いと未来をつなげていくことは、おすすめです。
夢実現のワークでも必須のことなのですが、そのコツも改めて、お伝えしたいですね。

ここで改めて、大切なメッセージ
「すべては未来から始まります。」
いろいろな出来事をスコトーマにしないためにも、自分自身でRASをしっかりたてること、そうすると、今まで全く気づかなかった記事が大きく目に飛び込んできたり、一つの広告に目がとまったり、なにげないラジオのメッセージにスパークしたり、まさに成功への道を歩んでいくことになるのです。

また、将来のあるべき未来がしっかりみえると、やるべきことがわかります。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の中のデロリアン現象です。
(デロリアンとは、タイムトラベルができる未来の自動車のことです)
そう、あなたは未来で自分のやりたいことをやってきて、デロリアンでこの世界に戻ってきたのです。成功した世界から。未来を変えてはいけません。
自分の夢に向かって歩んでいくイメージをもつと、努力が努力という言葉であらわしにくくなります。
だって、すでに起きていることにむかっているわけですから。努力というよりは想いにむかって、ひたすらやるべきことをやるというイメージでしょうか?
願望を強く持って、その未来に歩んでいくと、努力やつらい思いというのとはかけ離れていくのだと、きいたことがあります。
願望というRASをしっかりたてることは成功への大きなカギとなっていきます。

自分の夢にむかっているときは、「ワクワク感」があるものです。
ワクワクランチをしながら、未来を描いていきましょう。

Success is not the key to Happiness.
Happiness is the key to Success.
If you love what you are doing, you will be successful.
(成功は、幸福のカギではない。幸福が成功のカギである。
もし、あなたがしていることを愛するならば、あなたは成功するでしょう)

~ アルベルト・シュヴァイツァー博士の言葉


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Profile
山本実之
大手食品メーカーに入社。20代は商社部門で食品原料の輸入販売を担当。30代は食料海外事業部に所属し、シンガポール・プロジェクトをはじめ米国・香港等へ製品輸出を担当し、出張した国は32ヵ国にのぼる。さらに英国との合弁会社にて営業企画管理部長を担当(上司がイギリス人、部下はアメリカ人)。
40代は新規事業立ち上げのリーダーを担当し、その後、営業部長に。40代後半からは研修部長として、人財開発を担当。のちにグループの関連会社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。
資格としては、GCDF-Japanキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタント(国家資格)、(財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFPⓇ。デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン公認トレーナー(デール・カーネギー・コース、プレゼンテーション、リーダーシップ)を取得。

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