コラム

ナトラ合同会社 代表
経営コンサルタント・人財開発コンサルタント
元大手食品メーカー・グループ企業 代表取締役社長
2025.03.28
私ごとですが、約41年勤務した会社を2024年6月末に無事、卒業させていただきました。多くの方と出会い、多くの学びを得ることができた会社生活に、心より感謝しています。
私の人生の中で、会社員生活はとても魅力のあるもので、わくわくしながら、さまざまな経験をすることができ、素晴らしいものだったと改めて感じています。出会いのあったすべての方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。
幼いころから、父との約束といいますか、伝えられていたことが一つあります。それは「一本道で行け」ということです。ことあるごとにいわれ続けたので、私にとって会社をやめたり、転職するということは、他の方に比べると、相当ハードルの高いことだったと感じています。
父は、小学生のころに旧満州へわたり、戦争の影響も大きく受け、価値観の大転換を肌で受けたこともあり、職業をいろいろ変えていくことになりました。最終的には会長の立場で、薬剤師の名誉職にはついていましたが、もし一本の道で行けたらという想いはずっとあったことと思います。
今、思い返し、「一本道で行け」と繰り返し言っていた父との約束も果たせたかなと、安堵することもあります。現代では考えにくいことかもしれませんが、親子で会話されていたことなのです。
今思えば、その「一本道で行け」という言葉に守られた人生だったのかもしれません。ちょっといやなことがあったくらいでは、決して逃げることのできない、強いメッセージだったのです。もし離れるとすれば、よほど強い意志がなければ許される世界ではなかったように感じています。
そして今、人生二毛作といわれる時代にあって、卒業後は起業を選択しました。人生の第二ステージを迎えるにあたって、これからこの15年間を人生の黄金時代にしていくことを目指し、経営、人財育成に人生の後半をかけていきたいと考えています。
会社員生活において、いろいろな部署を経験していく中で、今、本当に自分自身がやるべきことに出会うことができたと、感謝しています。私にとって、特に教育は「天職」、まさにコーリングだと確信しています。
これまで、営業、海外事業、英国との合弁企業、新規事業、管理部門、人財育成等、さまざまな経験をしてきましたが、人財育成をするための旅をしてきたように感じています。今後、自分の持っている経験、知識などで多くの方々に「愛と夢と勇気を与え続けていきたい」と考えています。
そして、それが私のミッションそのものです。
結婚後、3ケ月くらいたった、ある土曜日の昼下がり、突然、妻から言われた一言があります。「ねえねえ、あなたはいつまで食品を売っているの?」
びっくりした一言。「なんてことを言うんだ」と思いました。
私は食品が大好きで、大好きで入った会社です。食品関連の原料を輸入販売することで、楽しく仕事をし、それをベースとして今の暮らしがある。食品で暮らしを支えているという自負もある。それなのに「いつまで売っているの?」という発言。妻の一言を聞いた時はちょっと心おだやかではない状態になり、なんてことを言うんだという気持ちで、「食品が好きで今の会社に入って、営業も大好き。ずっとやっていくと思うよ」とこたえると、妻は「ふーん」と一言。
「えっ、それだけ?」と感じましたが、その後は、妻からその話がでることは一切ありませんでした。
ただ、今になって感じることは、妻の言葉は的を得ていたということです。
48歳の時、トランジション(キャリア転換)があり、営業部長から研修部長となり、その後、総務系部長を担当し、最終的にはグループ企業の代表取締役社長となりました。そして冒頭でお伝えした通り、2024年6月に卒業し、この3月に法人を立ち上げて、今日を迎えています。
今思えば妻の一言は、今のこの仕事が私に最も向いていることを知っていたかのような発言だったと感じています。「食品を売ることは、努力すれば誰でもできる。人を育成したり、のばしたりしていくことは、あなたにしかできないこと。あなたにしかできないことがあって、それができる方。誰でもできる仕事ではなく、あなたしかできない仕事、そんな仕事をしてほしい」と感じていたと、後で妻から聞きました。
そして妻は、人を育成することこそが私に最も向いていると、新婚早々に気づいていたようです。妻、恐るべし。また自分では自分自身がみえないという典型的な例かもしれません。
今思えば、48歳で研修部長として異動になったころから、妻が考える本来の私のあるべき姿に歩みはじめていたのかもしれません。50歳を過ぎてからは、障がい者雇用の推進にも携わり、障がいをもつ多くの方々を会社に導くことができました。
現代社会において、障がい者雇用こそ総論賛成、各論反対の世界にあるように思います。障がい者雇用、推進は大切であると言葉ではいいながら、ではいざ、「あなたの部署でどうですか?」という各論になると、多くの方が回避したくなるという性格をもっている事業だと思います。
私が関与するなかで、10名以上の障がい者を採用、チャレンジドと命名して、20名以上のチャレンジド支援を実施してきました。
「Be Challenged by GOD」
障がいを持った方々は、人生でチャレンジする権利を与えられた人々といわれています。決してあわれむ存在ではなく、ある面、強い人たちなんだ、畏敬の念をもって接していこうといつも言っていました。
会社生活の後半は、不思議なご縁に導かれるように、社員教育、総務、チャレンジド支援などを実施していました。そしてそれが向いていたということは、あとになって気づけたことです。人は本当に自分のことがなかなかわからないという所以でもあるでしょう。
私は2025年3月18日に会社を立ち上げました。会社名は、ナトラ合同会社。NATRA(ナトラ)はスペイン語、バレンシア地方の方言からとりました。「あきらめずにチャレンジする」という意味があります。自分や多くの方への応援になるような素敵な言葉だと感じています。
27歳の時、出張で初めてスペインを訪ね、地中海に面したレストランでパエーリアを食べながら、スペイン人から「NATRA(ナトラ)」という言葉の意味を聞きました。聞いた瞬間、直感型の私は、将来、自分でビジネスを立ち上げることがあったら、ナトラという名前にするぞと決めたことを、昨日のことのように思い出します。今から35年前の出来事で、ある面、初志貫徹ともいえる言葉かもしれません。
今回のコラムのタイトルの言葉、ご存知の方も多いと思いますが、当時ペプシコーラのCEOであったジョン・スカリーをAppleへとヘッドハンティングするときに、あのスティーブ・ジョブズが言った言葉です。
「このまま一生、砂糖水を売り続けたいのか? それとも世界を変えるチャンスがほしいのか?」ジョブズはスカリーにそう言ったそうです。
妻が言った、「あなたはいつまで食品を売っているの?」という言葉はずっと耳に残っていましたが、その後に本で、ジョブズが言ったこの言葉を聞いて、心が引き締まるような想いがしました。
「このまま一生、砂糖水を売り続けたいのか?」
まさに妻の言葉と同じ内容で、びっくりしたことを昨日のことのように思い出します。妻は、ジョブズの言葉など知る由もなく、自然体で思うように発した言葉だったのでしょう。
妻は時々、ドキっとする言葉をいいます、そしてその魔法の言葉に導かれるように私も歩んできたように感じるときがあります。私を動機づけることを本質的に知っていたからでしょう。
トランジションを迎えている時、いろいろ学びを深めていく中で、お金の知識の必要性を感じて、ファイナンシャル・プランナー資格(CFP®、FP1級)を取得したことも、妻からの影響を大きく受けているように思います。
「空を飛ぶ鳥は空気が見えない。海を泳ぐ魚は水が見えない。私たち人間は自分が見えない」という中国のことわざ通り、自分を知ることはなかなか難しいことなのかもしれませんね。
多くの人にとって、自分自身を知ることが最も難しいと言えると思います。
自分の強みに気づけない方も多くいるとききます。理由の一つとしては、自分の得意分野は簡単にできてしまうので、それがなかなか強みだと気づくことができない。他の方はそんなに簡単にできないということに気づけない、ある面不幸な出来事ということもできます。
自分が比較的簡単にできて、他の方が少し難しいと感じることは、その方の特技、強みであることが多いといわれています。自分の強みに気づき、その強みを使って大量行動をしていくことが、成功法則の一つであると感じています。
ただ、自分の強みになかなか気づけない時は、第三者に聞いてみるというのも一つの方法です。他の方からいわれて、はっとして気づくこともあります。私の実施しているコーチングは、問いを通じて、その気づきを多くの人に与えて、高い評価をいただいています。
これから「ナトラ」という会社で、代表として、経営コンサルタント・人財開発コンサルタントとして、事業展開をしていき、社会に貢献していきたいと考えています。セミナー・講演・コーチングなどでうかがいたいと思いますので、ぜひお声がけいただけましたら幸いです。
得意分野・テーマは次の通りです。
・人間関係とコミュニケーション |
ともに学び、ともに分かちあえますことを心より楽しみにしています。
上記のテーマで、研修等のご要望がありましたら、ぜひ遠慮なくご連絡いただきたいと思います。
ご要望にお応えできますよう、心を込めて取り組んでいきたいと考えています。
「愛・ゆめ・勇気を与え続けるコンサルタント」
「愛・ゆめ・勇気を与え続けるプロコーチ」
山本 実之
連絡先:natra753(at)adagio.ocn.ne.jp
※ (at) は @ に置きかえてください。
どうぞよろしくお願いします。
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