TACヒューマンスキル無料体験セミナー「今、職場に必要不可欠なヒューマンスキル」の第三弾、『人生100年時代 子育て・介護・病気治療と仕事の両立支援』を2022年6月16日に開催いたしました。

労働人口が減少する中で、優秀な人材や地域から選ばれる企業になるために必要不可欠な「子育て支援」「介護支援」「病気治療支援」の環境整備について、社労士として活躍される漆原講師が解説した無料セミナーの開催レポートをお届けします。

 

 

セミナー開催レポート

 
今回のセミナーは、4つのテーマを軸に行われました。

 

1、企業に両立支援の取り組みが必要な背景
2、仕事と育児の両立支援
3、仕事と介護の両立支援
4、病気の治療と仕事の両立支援

 


 
1、企業に両立支援の取り組みが必要な背景

 

まず、漆原先生は、労働人口が減少している日本で、企業が生産性の向上を目指すために有効となる取り組みとして、以下の4つを挙げました。

 

・長時間労働の見直し

・ワークライフバランスの支援

・業務の効率化

・AIやloTの活用

 

漆原先生は、育児・介護・病気治療と仕事の両立支援を進めることが、この項目のうち、「ワークライフバランスの支援」「業務の効率化」についての対策にもなると語ります。

さらに、出産退職による企業の経済損失や、介護や病気の治療によって離職せざるを得なくなった従業員数の直近のデータなどを元に、育児や介護、不妊治療や病気治療など、様々な事情を抱えている多様な人材を活用できる会社が、大切な従業員の離職を防止し、優秀な人材や地域から選ばれる企業になるという、両立支援の取り組みの必要性を語りました。

 


 
2、仕事と育児の両立支援

 

漆原先生は、育児と仕事の両立支援について、育児休業制度とその他育児に関連する制度、男女別の育児休業取得率の推移、男性正社員の育児休業制度の取得状況、令和4年4月以降の育児・介護休業法の改正ポイントについて解説されました。

さらに、育児休業期間中の収入に対する従業員の不安を解消するポイントや、育児休業・職場復帰支援を実際に行う際のステップをご説明されました。

 

漆原先生は、男性社員の育児休業取得を推進することによって、企業に以下のようなメリットがあると語ります。

 

・優秀な人材の採用への効果(男性新入社員の約8割が育児休業取得を希望)

・離職率の低下による人材確保・定着(優秀な従業員の確保が可能)

・従業員満足度・帰属意識の向上

・働き方の見直しによる、業務の効率化と生産性の向上

・従業員の家族に応援される企業となり、従業員が長く定着する

・企業イメージの向上 など

 


 
3、仕事と介護の両立支援

 

続いて、テーマは介護と仕事の両立支援に移ります。

まず漆原先生は、介護離職後の本人が抱える問題や、従業員の介護に関する実態について、企業側が把握しきれていない現状をお話しになりました。

続いて介護休業制度やその他介護に関連する制度について解説され、仕事と介護の両立支援の対応モデルや、その際に利用できる厚生労働省のお役立ちツールなどについても解説されました。

その後、簡単なワークとして、介護と仕事の両立支援について準備不足のため対応できていない会社の一事例について、支援の方法を参加者の方に考えて頂く時間を設けました。

 

漆原先生は、介護離職を防止することによって、企業に以下のようなメリットがあると語ります。

 

・離職率の低下による人材確保・定着(優秀な従業員の確保が可能)

・業務の中核となる40~50代の中堅世代の離職防止

・従業員モチベーション・帰属意識の向上、社員の働きやすさの向上

・女性の活躍推進(介護離職の4人に3人が女性のため)

・働き方の見直しによる、業務の効率化による生産性の向上

・企業イメージの向上 など

 


 
4、病気の治療と仕事の両立支援

 

続いて、テーマは病気の治療と仕事の両立支援に移ります。

まず漆原先生は、両立支援コーディネーター(※)の配置と養成の必要性をご紹介されました。

続いて、病気の治療と仕事の両立支援をする上で必要な、要介護認定や傷病手当金、障害年金の制度や、発症から障害年金の請求手続きまでの流れや障害年金の等級について解説され、さらに両立支援の具体策や、実際に支援を行う際のステップについて解説されました。

※主治医と会社の連携の中核となり、患者に寄り添いながら継続的に相談支援を行いつつ、個々の患者ごとの治療・仕事の両立に向けたプランの作成支援などを担う。

 

漆原先生は、社員の病気による離職を防止することによって、企業に以下のようなメリットがあると語ります。

 

・離職率の低下による人材確保・定着(優秀な従業員の確保が可能)

・さまざまな背景を抱える人が働きやすい職場

・従業員の安心感、満足度、モチベーションの向上

・働き方の見直しによる、業務の効率化による生産性の向上

・企業イメージの向上 など

 


 
さいごに

 

セミナーのまとめとして、漆原先生は三つの両立支援策を比較してまとめた一覧表をご紹介されました。

漆原先生は、三つの両立支援策の共通事項として、会社として支援の基本方針を策定・周知し、窓口などの支援制度を整備することで、従業員が相談しやすい雰囲気を作ることが離職の防止につながる大切なポイントであると語りました。

 

最後に質疑応答の時間を設け、セミナーは終了となりました。

 

欠席された方に当日の模様をご紹介(動画配信)

 

セミナーにお申込みいただき、当日ご都合により視聴できなかった方につきましては、下記の動画視聴画面に、別途お送りしたパスワードをご入力いただくことで、レコーディングした映像をご覧いただくことができます。


 
 
 

講演者のご紹介


 

—略歴を教えてください。

 

大学を卒業後、卸売業で営業事務、電機機器メーカーIT企業の人事・総務、司法書士事務所等を経て平成22年にかなえ社会保険労務士事務所を開業しました。

平成30年から、同時に合同会社かなえ労働法務を設立し、社会保険労務士として、労務顧問(労務管理・労務相談等)、障害年金請求代理、企業や専門家向けの講師、書籍・雑誌等の執筆をしております。

また、大企業から中小企業まで幅広い企業の労務監査、育児・介護・病気の治療と仕事の両立支援を行っております。

 

—普段どのような研修をされているかを教えてください。

 

企業向けに、家庭(育児・介護)と仕事の両立支援や労働関連法の改正、ハラスメント、働き方改革、労務に関する研修、専門家向けの実務研修を行っております。

 

—研修をされる際に大切にしていることを教えてください。

 

研修終了後に、受講内容に対して「できるイメージ」がつき、行動につながることを意識しております。

現状の数字や取り組むことの意味、活用できる制度やツールの情報提供、具体的な取り組み方や事例を伝え、気づきの場を提供するようにしております。

 

—これまでのご実績(導入実績、導入後の変化)をお聞かせください。

 

・育児プランナー、育児と介護の両立支援プランナーとしての企業支援(厚生労働省委託 株式会社パソナ受託事業)、よこはまグッドバランス賞労働関係法令企業訪問(横浜市)等、セミナー形式又は個別支援形式等にて、中小企業~大企業まで250社以上

 

・育児・介護・治療と仕事の両立支援に関するセミナー(対象:医療機器販売業、美容系サロン、建設業、歯科医院、製造業、通信業、等々)

 

・ 働き方改革関連セミナー ~労働条件・労務管理の自主点検~(主催:厚生労働省委託事業 神奈川SR経営労務センター受託事業)

 

・障害年金の基礎から大切なポイントをお伝えします(主催:一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター神川県支部)

 

・社会保険未加入のリスクと年金への影響(主催:株式会社経営状況分析センター)

 

・ 社会保障制度 ~ママのためのお仕事復帰講座~(主催:川崎市多摩区役所 生涯学習支援課)

 

その他実績多数

 

—研修で期待できる効果をお聞かせください。

 

人生100年時代、人材不足が加速する中で、ライフステージ等によって両立支援制度を活用し、柔軟な働き方に対応できる準備をすることで、優秀な従業員に長く働き続けてもらうことができます。

そのために何をしたらいいのか把握でき、実際の進め方のイメージと行動へ繋げる自信がつきます。