【人事担当者を元気にするコラム Vol.77】「人生、愉快に生きていこう!」

ナトラ合同会社 代表
経営コンサルタント・人財開発コンサルタント
元大手食品メーカー・グループ企業 代表取締役社長山本実之

2026.03.27

さて、ここで質問です。
「人類最大の罪とはなんでしょうか?」と問われたら、何と答えますか?

文豪、ゲーテはこう答えています。
「人類最大の罪は不機嫌だ」と。

最初、これを聞いたとき、「不機嫌が最大の罪?」とも感じました。ただ、考えてみるとこの不機嫌は、人から人へと伝染していく、あっという間にある空間を変えてしまうものです。この点を考えると、罪としてとても重いんだと気づけるようになりました。

たとえば、会議を進めているなかで、とっても不機嫌そうな部長が入ってきて、席に着くなり「ふうーっ」と、大きなため息をついたとします。その瞬間、空気は一気に重くなっていきますよね。全体の空気が支配されるくらい、重いトーンになってしまう。全員の心を重くしていくわけですから、確かに罪は重いといえるでしょう。みえない空気が暗く変化していく瞬間ですね。
そのような経験はありませんか?

私も20代の頃に、そんな上司に出会ったことがあります。
会議の冒頭から、自分で愚痴を話しはじめる。1時間の会議のほとんどを自分が話していて、50分たったあたりで「みなさん、なにか意見ありますか?」と。
でも、聞いているメンバーはもう疲れていて、沈黙。するとたたみかけるように「なんだあ、みんな意見をいわないね」と一言。さんざん、愚痴やらネガティブなことを発信したあとの問い、ある面、最悪だと思っていました。

イメージ:不機嫌

今、思い返せば、これこそが反面教師。自分はこういう上司には絶対にならないと、強く誓ったことを思い出します。不機嫌をメンバー間にながすと、どんなことになるのかを体感できたことは、今となっては、素晴らしい体験と思えますね。

では「不機嫌」とは逆に、「愉快」はどうでしょうか?
この言葉を哲人、中村天風さんはよくいっています。「愉快に生きていこう」と伝えています。
このことは自分の心の内側のこと、つまり愉快に生きていこうと決めていけば、その瞬間から「愉快ワールド」が始まります。すべて自分でコントロールできる世界ともいうことができます。

天候や他人の心、他人のいうことは、自分でコントロールできない要素ですが、愉快というマインドは、すべて自分の心の持ちよう一つで決まりますね。この点は、思いっきり自分をコントロールしていい世界だと思います。

「愉快に生きていく」
なんてすてきな響きをもった言葉でしょう。

不機嫌な人と、愉快にすごしている人。私たちのまわりには、どちらの人が多いでしょうか?
自分が付き合っている人、仲のいい人を6人選んで、その人たちの収入や日々の暮らし方、考え方といったことの平均値を出したとき、それがあなたそのものをしめしているといわれます。
どんな人と過ごし、どんな会話をしているかが、あなた自身を形づけていくということでもあります。だれと時を過ごしていくかは、人生そのものを決めていくといってもいいと感じています。
ある面、人は同じステージ、同じレイヤーで生きている人とつきあっているといえます。ただ、自分が成長していくと、その世界が大きく変わることがあるともいわれます。

「運がよくなりたい」と多くの方が感じることでしょう。また、「ツキのある人生をおくりたい」と感じる方も多いことでしょう。
ではどうしたら運がよくなり、ツキのある人生をおくることができるようになるのでしょうか?
よくいわれていることですが、運がよくなる、ツキのある人になるための究極のコツは、「運のいい人」「ついている人」とつきあうこと、あるいは、近くにいるということがポイントだといわれています。運やツキは伝染するかのように伝わっていくということですね。
たしかに運のいい方のまわりには、運のいい方が集っているように感じますし、その逆もあるように思います。

人気作家の本田健さんがいっていました。
人生のステージが大きく変わっていく場面では、「付き合う人の全とっかえがおきることがある」と。
自分が積極的に変えようとしなくても、なにかかみあわなくなることもある。その時は、今までの人間関係が大きく変わっていくことも仕方がないのです。

私も昔に知り合っていた方と、なにかしっくりこないと感じたことがあります。久しぶりにあったら、ネガティブな事ばかり話していたり、人の悪口などを言っていたり。なにかあわない、居心地の悪さを感じたことがあります。そんな時は、人生のステージが変わるときともいえるようです。
この変化を寂しがる必要は全くありません。新しくなった自分自身には、この扉のむこうに、今のあなたの未来を喜んで迎えてくれる人が必ずいるのです。全面的に応援してくれる人が、両手を広げて待ってくれている方が、必ずいる。ある扉が閉じたとしても、新しい扉が開き、すばらしい人があなたを待ち受けているんです。まさに今、新しい世界に飛び込んでいく瞬間に出会っているのです。

最近特に、「明・元・素」の人、「明るく」、「元気」で、「素直」な人とつきあっていきたいと、より強く感じるようになってきています。この逆は「暗・病・反」な人、「暗く」、「病気的」で、「反抗的」な人。こんな方とはつきあいたくはないですよね。
自分自身も「明・元・素」な人物をめざしつつ、「暗・病・反」な人は避けていくことが必要かもしれません。
イメージ:笑顔
私の大好きなミスターラグビー、平尾誠二さんもそんな空気や雰囲気をとても大切にされている方でした。たとえば、ある食事会に招かれたとき、その会全体が人の悪口やとても暗い雰囲気に包まれていたら、どうしていたか? 実際にご本人が話していましたが、トイレにいくふりをして、そのまま食事会の会場からでていくことなどもあったそうです。
それくらいネガティブな空気を忌み嫌っていたのでしょう。

ネガティブなエネルギーは、ポジティブなエネルギーの4倍にもなるといわれていますので、気をつけていないと、心がその方向にもっていかれる危険性もあるということがいえると感じます。

私も日に日に、人生有限と感じる想いが強くなってきたように感じます。
私のメンターである慶應義塾大学名誉教授の村田昭治先生は、こんなように表現していました。「還暦をすぎたら、不義理をしていいんだ。自分の人生の時間を大事にしていく必要がある」と。
いろいろな考えがあると思いますが、義理だけでつきあっていくことは、そろそろ卒業していっていいのかもしれません。

付き合いたい人、大切にしたい人との関係性をより大事にしていく。
20代、30代と異なり、全方位でのおつきあい自体に無理があると感じます。
とくに、したくないつきあいは避けていっていいと思います。
つきあって、エネルギーを奪われるような関係、会ってなにか疲れてしまう関係、自分の自己肯定感をさげてしまうような関係性は、避けていいと思います。なかでも、話のほとんどが悪口や愚痴などの会は、避けなければいけないでしょう。

一方、キラキラした人と会ったり、お互いを高めあう関係感、輝くような関係感の人と会ったあと、離れた後はさわやかな風に包まれ、いい高揚感に包まれていることだと思います。
そんな違いを感じることはありませんでしょうか?

仕事上の関係では難しいこともあると思いますが、プライベートではできるだけ高めあい、励ましあえる関係性、愉快な仲間たちと過ごしていきたいですよね。
どの人と、どうつきあっていくかもすべて人生の選択、人生は選択の歴史です。自分の人生を大切にして、大切な人との有限の時間を大切にしていきたいですね。

中国の『荘子』の中で、「君子の交わりは、淡きこと水のごとし」と書かれています。これは水のように淡い交わり、つまり「淡交」をよしとするものだと伝えられています。よりよい関係性を構築したいですよね。

そのよりよい人間関係を構築していくためにも、実は脳の働きがとても重要であり、脳をいかに味方にしていくかということを、しっかり考えていく必要があります。
脳は錯覚でできているので、どのような問いかけをするかが、とても大切です。問いによって、人生や人間関係が変化していきます。
脳はスーパーコンピューター、人は一日7万回も脳に語りかけているので、その総和は巨大です。あることを毎日続けていったら、どのようなことがおきるか、しっかりと想像していく必要がありそうです。

とてもシンプルな考えですが、脳にポジティブなことを問いかけ、入力すれば、その脳を通じて、ポジティブなことが出力されるのは、至極当たり前な事。
オレンジをしぼればオレンジジュースができるし、グレープフルーツをしぼればグレープフルーツジュースができるようなものです。
日々の考えや言葉がいかに大切かということです。自分自身にどんな言葉がけをしていくかで、人生そのものが変わってしまう一例ともいえます。

中村天風さんは言っています。
「人生ぐらい愉快な、人生ぐらい恵まれた、人生ぐらいありがたいものはない。
 人生は心一つの置きどころ。」

またこうも言っています。

「今日一日
 怒らず 怖れず 悲しまず、
 正直 深切 愉快に、
 力と 勇気と 信念をもって
 自己の人生に対する責務を果たし、
 恒に平和と愛とを失わざる
 立派な人間として活きることを、
 自分自身の厳かな誓とする」
 「誓詞」(『天風誦句集』)より

愉快な人生にするためには、まず第一声が大切ですね。
私たちは、なにを語りかけていきますか?
「人生、愉快に生きていこう」のメッセージですね。

ともに明るく、元気に愉快に生きていきましょう!!


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Profile
山本実之
大手食品メーカーに入社。20代は商社部門で食品原料の輸入販売を担当。30代は食料海外事業部に所属し、シンガポール・プロジェクトをはじめ米国・香港等へ製品輸出を担当し、出張した国は32ヵ国にのぼる。さらに英国との合弁会社にて営業企画管理部長を担当(上司がイギリス人、部下はアメリカ人)。
40代は新規事業立ち上げのリーダーを担当、のちに営業部長に。40代後半からは研修部長として、人財開発を担当。その後、グループの関連会社の代表取締役社長を経て、現在はビジネスパーソン向けの人財開発事業に情熱を注いでいる。
資格としては、GCDF-Japanキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタント(国家資格)、(財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFPⓇ。デール・カーネギー・トレーニング・ジャパン公認トレーナー(デール・カーネギー・コース、プレゼンテーション、リーダーシップ)を取得。
人財開発コンサルタントとして活動し、2024年12月よりPHPゼミナール講師も務めている。

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