サブリーダー教育が生き残りの要!
主体性を育てるオーナーシップ研修を読み解く

 

まつやま大宮保育園イメージ

 

 関東地方の北東部に位置し、平地に富むことから、政令指定都市を持たない県の中では最大となる、人口284万人が暮らす茨城県。この茨城県内に5か所の保育園を持つのが、社会福祉法人 山ゆり会(まつやま保育園グループ)です。
 木が枝葉を高く広く伸ばし、大きく育つためには、まず大地に深く根を張らなければならない。そしてそれは人も同じ。だからこそ「根っこを育てる」ことを目的とし、薄着・裸足の生活に加え、泥んこあそびや自然との触れ合いを日々の保育に取り入れています。
 TAC株式会社は法人研修を提供することで、この「遠くても、通いたい保育園」をテーマに掲げる山ゆり会様の取り組みを側面からサポートしております。今回は茨城県龍ケ崎市の社会福祉法人 山ゆり会様の法人本部事務局(まつやま大宮保育園様)をお訪ねし、人材育成に関する取り組みについて取材をさせていただきましたので、ご紹介いたします。

 

※取材実施日:2021年6月 *写真撮影時のみマスクを外しています

 

 
 ⇒【Interview 1】研修導入を決定された方の声

   社会福祉法人 山ゆり会 法人本部事務局法人本部長 松山 圭一郎氏

 ⇒【Interview 2】研修を受講された保育士の方の声
   社会福祉法人 山ゆり会 保育士 永田 修一 氏・黒田 綾香 氏・齊藤 奈苗 氏

 ⇒【Interview 3】研修を担当した講師の声
   株式会社ホープス 執行役員 足立潤哉 氏

 

 

 

【Interview 1】
研修導入を決定された方の声

>> はじめに法人の概要についてお聞かせください

 

松山(以下記載略):私ども社会福祉法人 山ゆり会は、1993年9月に法人として誕生しました。現在は茨城県内に5か所の保育園を運営しています。もともとは私の母が創業者となって、一対一の託児所を始めたのがきっかけだったのですが、だんだんとお預かりする人数が増えてきまして。当時はまだ守谷町(2002年に市制施行して現在の守谷市となる)の頃でしたが、そこには認可保育園が一つもなかったんですね。そこで、そろそろ認可保育園が必要じゃないかと訴えまして、社会福祉法人を立ち上げることとなり、同時に保育園をオープンしたのがスタート地点です。
 今は次世代へのバトンタッチをしてもらい、父が理事長、母が統括理事、そして現場の方は息子である私が、という体制となっています。というわけで、私自身は法人の統括として経営部分をみながら、守谷市にある、まつやま保育園の園長をしています。
 実は私は30歳まで、民間の不動産系企業でマンションや有料老人ホーム作りに携わっていまして、その後2009年に法人に入りました。保育という意味では素人でしたけれど、創業者の想いを汲み取りつつ、もちろん時にぶつかりながらここまでやってきました。
 マンション作りなどもそうなのですが、もともと私はものづくりが好きだということもあって、園舎を作ったり増やしたりしたいと思っていました。ただ保育園については、建物という箱があっても中身の部分、人が整っていないといけませんので、しばらくの間はブレーキを踏むようにしていましたね。キラキラした箱だけ作っても、人がいなければ園のなかはどんよりとしてしまいます。本当ならもうちょっと拡大したかったところですが、現場スタッフの成長を待ちつつ、創業者の想いを加味してブレーキをかけていたといったところでしょうか。
 それでもちょっとずつ、数を増やしていき、以前勤めていた会社とコラボレーションをするといったようなこともして、法人としては約30年が経過したところになりますね。

>> TACの研修を利用された理由をお聞かせください

 

 保育業界は厳しい状況にありますから、やはり保育士として中堅に差し掛かる世代、いわゆるサブリーダーという層の成長がないと、この先は生き残っていけないという感覚を持っており、その点については課題として特に力を入れています。
 これまで成長を促すための研修を私自身が担当するなど、様々な形で取り組んできてはいたのですが、これがなかなか難しかったですね。全員を同じようにレベルアップさせるというのは難しいとわかっていますので、1人でも2人でも芽が出てくるメンバーを見つけたいという思いで続けています。
 各園長には、自分の次席や後釜を育てるのが仕事ですよと、ずっと伝えてきました。子どもたちの成長を促すことはもちろんですが、園長の仕事は、あなたの次を見つけて育てることですよと。その点はみんなにお願いしています。そうすれば、組織は無理なく大きくなっていきます。みんなが今の役職に甘んじてしまったり、下が育ってこなかったりすると、同じキャパシティの中でしか運営できませんからね。各園長がしっかりと人材を育ててくれれば、次の展開にむけて進めていくことができます。
 なかでも、サブリーダーといわれる層が育ってくれないと、20〜30年先が見えてきません。保育業界では様々な研修が行われますが、やはり保育に関連するものが多く、ほかにはあったとしても、表面的な部分を学ぶものばかりだと感じていました。マインドの持ち方や、考える力をつけるといったような研修は、外部にお任せしなければ難しいだろうと思い、TACさんにお任せすることにしました。
 やはり規模が大きくなると、保育園でも縦割りになりやすくなります。園長とリーダーの間では、ある意味では意思疎通が取れてさえいればよいのですが、サブリーダーは一番大変です。私たちの仕事は、保育園全体がワンチームになって仕事をしていないと、一人ひとりの子どもを見ていくことができません。ですから、サブリーダーたちがどのように連携を図っていくかということが大切になります。ここがワンチームじゃないとダメなんです。だからこそ、サブリーダーがしっかりと共有して話し合えるようになって欲しい。仲良くとまではいいませんが、園をどう良くしていくかということを、それぞれの主張をぶつけ合いながら一緒に進めていけるようになっていってほしい。もしそうなれば、きっとたいへん大きな強みに変わっていくと思っているんです。

>> 現在の保育業界はどのような状況なのでしょうか?

 

 少子化の影響もありますので、保育業界は衰退産業ともいえるかもしれません。待機児童という言葉は、2025年にはなくなるともいわれていますからね。
 保育業界もここ数年で大きく変わりました。株式会社立のものも含め、保育園の数は増加しています。ただし質という部分が多少置き去りにされている部分があるように思うのです。保育園の量は十分満たされてしまったわけですから、今後は質の部分がより問われてくる。だからこそ、経営面の質と保育の面での質を、同時に、一緒に対策しなければならないと感じています。
 保育業界では採用や求人、広報といった部分にシステムが作れていないところが多く、不器用な部分が多いと思います。この先は、とりあえず園をつくって、組織が大きくなって、そしたら採用を頑張って、といったようなやり方では厳しくなることでしょう。
 ちょっと自慢しても良いかなと思っていることがあります。今、龍ケ崎市で運営しているまつやま大宮保育園には制度上の上限となる72人の園児が在籍しているのですが、実は県内の5市町村から集まってきています。なかには登園するのに片道40分かかる子どももいます。
 そんななか、スタッフも地元だけというのでは確保が難しいので、遠方からも集めています。今年は鹿児島から来てくれた男性保育士もいますね。県北の日立市から龍ケ崎市に引っ越しをし、一人暮らしをしながら働いてくれている保育士もいますよ。
 子どももスタッフも、遠くからでも来てくれるようになった。そのような良い循環ができてきているので、ここから先も、もっともっと追求し続けていくことで、この保育園を続けていけるのかなという思いをもっていますね。

>> 保育士の方向けの人事制度やスキルの設定をされているとのことですが?

 

 実はこの4月から人事制度やスキルの設定を更にリニューアルしています。これまではステージ1とか2といったレベルを、年次に紐づけていたのですが、今年からは修了のチェックがつかなければ、10年目だとしてもステージ1に留まるようにしました。

 

 もともと創業者が作ったものを引き継ぎつつ、僕ら次世代がどういう人材を育てたいのか、欲しいのか、といったところ盛り込んで、制度を作り直していきました。法人の担当者はもちろん、第三者にも入ってもらって、しっかり突き詰めて。この人事制度やスキルを設定するのは本当に大変でしたね。もう何度話し合ったかわからないというくらいに話し合いました。

 これは苦労して作ったものですが、自分たちだけでそれを使おうだなんて思っていませんし、隠したりもしません。もし業界の中で真似してもらえるなら、いくらでも真似してくださいと思っています。だってきっと業界のためになるじゃないですか。それはつまり、子どもたちのためにもなるので。業界として課題をしっかり把握しておかないと、業界自体が潰れてしまう可能性だってありますからね。
 とはいえ、これを作るのは大変でしたけど、運用はもっと大変です。やっぱり作っただけで満足してしまうのではダメですからね。どういうふうに、より意味のあるものにしていくのかがポイントになります。


 ちょっと厳しいかもしれませんが、あなたの課題は、僕らが求めているこの部分をクリアできていないということですよ、と。こうなってほしいんです、ときちんと説明できるようにしたかったんです。本人が傷つくのはわかっているけれども、そこはしっかりとしなければなりませんからね。ただ案外、客観的に自分のことを見ているスタッフも多いので、自分でできていないことにはチェックをつけないものですね。だから次の面談までに、チェックつけるために何ができる?ということを話して、ちょっとずつ階段を登っていきましょう、といったように、一人ひとりと向き合ってやっています。

 

>> 人材育成にそれほどの力をいれる理由を教えてください

 

 きちんとした保育をしていれば、経営がダメになることはないはずです。もちろん間違えてしまったら落ちていくのでしょうが、今は大きな苦労なく、園を運営できていますからね。そんななかで、やっぱり人が全てという部分がありますから、人材育成の部分にはしっかりお金をかけないと、と思っています。
 一人ひとりが自立して、オーナーシップを発揮し、毎日保育にあたってくれていれば何も怖いものはありません。少なくとも、上司の顔色を伺いながら、怒られない保育をするためにはどうすればいいか、とか、単に怪我をさせないためにはどうすべきなのか、と考えているようではダメだと思うのです。
 私たちは保護者の方に「子どもは怪我しますよ。骨折までは覚悟してね」といったようなことを言っています。もちろん骨折というのはさすがに言い過ぎですがね。けがをさせないように、最大限注意していますから。ただ、これだけ子どもたちを自由に遊ばせている保育園ですからね。すりむいたり、ぶつけたりと、怪我だってします。でも子どもが子どもらしく自由にあそぶ環境が良くて、ウチにきていただいていますので、必要とされている部分はまだあるのかなと。
 創業者が考えた・作り上げた理念・方針を引き継ぎながら、裸足保育とか、さまざまなあそびを教育につなげていきたい。なにより一番は、自己肯定感を育むこと。それは大人になっても生きる力として根っこにあるものじゃないかなと思うのです。自己肯定感がなければ、主体性も生まれませんからね。
 今の子どもたちにその部分をなんとかしてあげたいな、と常々思っています。

>> TACは人材育成の面で良い材料をご提供できましたか?

 

 もちろん、もちろん! 足立先生含めて、ありがたかったです。やっぱりやりっぱなしではないのが良いですね。研修は1.5日で行いましたが、ちゃんと中間にこちらの状況を尋ねてくれたりとか、いろいろとフォローしてくださったので。
 園長たちとしても、サブリーダーをどのようにフォローし、サポートをしていけば良いかという部分で悩みをもっていますからね。そういった点をキャッチボールして、彼らを後ろからサポートすることもできました。もしそれがなかったら、単に研修を1.5日やったね、ということで終わってしまっていたかもしれません。そういった部分で間に入って、非常にありがたいサポートをしていただきました。
 実は私もティーチングの部分は少しだけ研修を受けさせていただきました。いるとプレッシャーになるから、いないほうが良いといわれたので、邪魔にならない程度ですけどね(笑)。でも、私自身もオーナーシップについて考える良い機会になり、学びになりました。自分自身はどうだろうと考えましたね。
 今回の取材を受けている3人の保育士についていえば、チームが互いに振り返り、次に何をするべきか、また今何が求められているのか、といった考えを3人で共有して話し合ったということが、日常の仕事にもつながることが多いと思うのです。
 足立先生や営業担当の方は本当に一生懸命やってくれました。ZOOMでのミーティング含め、何度もやりとりさせていただいて。本当に丁寧にフォローしてもらいました。山ゆり会のことを考えて、やり取りしていただいたんだなと感じています。
 それに、足立先生がうちのことを好きになってくれたのは良かったなと思っていますね。やっぱり人と人のことですから。

>> 今後の法人としての目標についてお聞かせください

 法人としてはやはり拡大路線だと思っているのですが、次の園を作るための条件については、もうみんなに提示しているんです。それは私からではなく、私以外の誰かから「もう一個(園を)作りましょうよ」といってもらえるように組織を作っていこう、ということです。「私たちのポジションをそろそろ用意してくださいよ」なんていってもらえるようになったら、私の勝ちかなと(笑)。理想としては、そういった組織にしていきたいですね。
上が決めて園を作って、ポジションができるから、そこに人を充てる、というのではなくて、人も育ってきたなかで、自分たちが望んで、そのポジションや新しい事業へと向かっていけるような形をつくれたら、私の2代目の役割としては果たせたんじゃないかなと。そうなれば、きっと自動的に3代目がどこかに誕
生してくれるんだろうなと思っています。
 もちろんこれからも、地域に必要とされる保育園で在り続けなくてはなりませんが、保護者に迎合する必要はないのかなと思っている部分もあります。小学校では一人に1台ずつタブレットやPCが渡される時代になりました。そういったことが幼保にも進んでくる可能性はなくはないでしょう。ただ、乳幼児期の“あそび”が大切だということが、日本でも改めて重要視されるようになってきていますからね。
 ですから、これからもスタッフとともに、選ばれる存在で在り続けたいなと心から思っています。

 

 

【Interview 2】
研修を受講された保育士の方の声

>> オーナーシップ研修を受けると決まってどう感じましたか?

 

永田:そもそもオーナーシップという言葉自体を初めて聞いたので、どんな研修なんだろう?と思っていましたね。ただ、学生時代のように「保育士になりたい」とだけ思っていた頃なら、人を育てるとか、そのための研修を受けるといったことは全く考えられなかったでしょうが、この園では普段から、立場やキャリアに合わせた研修を受けさせていただける環境があったので、研修への抵抗のようなものはありませんでした。とはいえ、受けるにあたって、本部長からサブリーダーに対する研修の目的や狙いをしっかりお話しいただいていた分、若干のプレッシャーは感じていましたね。

 

黒田:保育士の仕事だけでなく、サブリーダーとして人を育てる立場になったのだから、保育に関する研修以外で、こういった研修が増えてきてもおかしくない。だからこそ、自分も受けなければいけないんだなと感じていました。立場があがってくれば、人材育成といった保育以外の能力も身につけなければいけませんので、私も研修自体については特に抵抗はありませんでした。

 

齊藤:私は今年からサブリーダーという役職に就いたということもあり、そのための研修を受けられるということで、サブリーダーへの仲間入りができるという喜びや、学べるという嬉しさを強く感じていました。光栄だなと。また他の園のサブリーダーたちに会える機会でもあったので、やはり期待のほうが大きかったですね。

>> 研修を担当した足立講師にどんな印象をお持ちですか?

 

黒田:非常にパワフルな方でした。実は事前にどんな方なのか、ネットで調べたのですが、その印象と、実際にお会いしたときの印象とはぜんぜん違っていましたね。本当にとてもパワフルでした。初日の研修のときから熱い想いを持っておられていて、一緒に話したりすると、たくさんのアドバイスをいただけました。初対面なのに自分のことを掘り下げて、引き出してくれる方で、すごく新鮮で印象的でしたね。

 

齊藤:先生の印象としては、言葉というよりも、出した答えに対して「もっと出ます!」とプッシュしてくれたことが頭に残っていますね。自分の中では100%のつもりで出した答えですから、この先になにがあるんだ?とも考えるのですが、1対1でお話しすると、確かにもっともっと掘り下げていけるんです。そこは興味深かったですね。

>> 研修を受けて得られたと感じているものはありますか?

 

永田:実は研修が終わったあとで園長と振り返りを行ったときに、研修を受けた感想とか想いを伝えてみると、園長が複雑な顔をされたので、それにモヤモヤしたものを感じたんです。それでこのふたり(黒田氏と齊藤氏)にすぐ集まってもらって、3人で改めて研修の振り返りをしたのですが、そこでやっと腑に落ちました。正直にいうと、研修直後はモヤモヤしていて、何を学んだかと尋ねられてもぱっとは答えられなかったのですが、3人で振り返りしたことで、ようやくつかめた気がして。それから自分が何をすべきなのかと考えるというところにつながったような気がしています。

 

齊藤:私自身は先生にかなり掘り下げてもらったので、目指しているところまでだいぶ近づいていた気がしていたんです。ただ永田さんがモヤモヤしていたので、一緒に話したのですが、そのおかげで私も更に理解が深まっていきましたね。この3人が思うところが一致したときに、ようやく何かわかった気がしました。この振り返りの時間は有意義でした。

 

永田:仕事の目的を掘り下げていくなかで、僕は途中で止まってしまっていたのですが、3人でもう一度その話をしたところで、最後に答えが出てきた気がします。お互い共通する部分があったので、目的に対して自分たちができることはなんだろうと考え、それについて初日の研修以降、ずっと取り組みを続けているといった感じです。本当は自分だけ間違っていたのかなという不安を感じていたので、とりあえず集まって共通の理解をしたかっただけだったんですけどね。ただその1回の集まりが、一つのきっかけになった。オーナーシップ研修を受けてから、3人で集まってこうしよう、ああしようと相談したり考えたりする機会が増えたことは、研修を受けたからこその姿なのかなと感じています。それと、我々のそういった取り組みを、上の方もプラスに見てくれていると思います。

>> 研修についての感想や満足度などをお聞かせください

 

永田:オーナーシップ研修の捉え方は、今は対スタッフの部分で活用していますが、会話のなかで当然、保育や子どもの変化といった話も出てくるので、そういう点でもプラスになるのかなと感じていますね。モチベーションも上がることで、子どもの保育にも繋がると良いなと思っています。少なくとも私は、これまでになかったものが出るようになってきましたし、園長からも「変わったね」といったような言葉もいただけているので、研修を受けた個人としても、また園全体としても、確実にプラスになっているかなと。私自身としてはそんな風に思っています。

 

黒田:初日の研修を受けて、自分たちには課題があるということがわかって、それに取り組んでいくと決めたわけですが、一方で他のスタッフは研修を受けていないので、急に研修を受けた3人が頑張り始めたけどどうしちゃったの? と思われてしまうことが不安でした。ところが行動することによって、他のスタッフもプラスの方に変化してくれているというのがわかりましたし、園としても良い方向へ変わっていっているなという実感もあって、これが自分たちの働きかけで変わっていったのだなと思うと、なんだか嬉しかったです。ここまでで終わりにはせず、ずっとオーナーシップを継続していくことに意味があるのですよと先生もおっしゃっていたので、ずっと続けていきたいですね。

 

齊藤:正直にいうと、まだオーナーシップとはなんなのか、ということについて深く実感はできていないのかもしれません。でも受講して変わってきたのは確かです。少なくとも、園内の雰囲気が良くなったというか、一つの物事に対しての他のスタッフの捉え方も変わったように感じています。私たちの働きかけでそうなったのかはわかりませんが、少しずつ変わってきている気がしています。ですからここで終わりではなく、続けることに意味があるのかなと思っています。

>> 皆さんの園における将来像についてお聞かせください

 

永田:この3人のサブリーダー体制は今年度が初めてで、逆にいままでは黒田さんとの2人の体制だったのですが、齊藤さんが入ってきて、いろいろな視点・角度から意見がもらえるというところで、刺激になっています。思い切ってお互いに意見をぶつけ合ったりできますし、話も円滑に進みますので、チームワークはより良くなったかなと。そういった意味では、少なくともこの3人でやってきて、確実に園の底上げになったかなと思っています。もちろんグループ内での異動があるのでなんともいえませんけど、この3人でずっと続けていきたいなという気持ちはありますね。

 

 

 

 

 

【Interview 3】
研修を担当した講師の声

>> 研修を担当するにあたりどのようなお考えをお持ちでしたか?

 

 実際の研修に入る前のことですが、私が山ゆり会の松山氏と担当の山田氏とお話しさせていただいて、最初に感じたことは、「次の世代を誰が担っていくのか」という部分で、良い意味での危機感を持っているなということでした。人材育成はトップの方である程度のコントロールが効くとはいえ、世の中というものは10年もしないうちにがらっと変わってしまうものですから、このままのやり方ではどこかで行き詰まってしまうと考えられている。それを乗り越えるためには、全体の当事者意識を高める必要があると。なかでもサブリーダーという比較的若い層をとのお考えでした。
 組織の構成としては、園長からリーダー、そしてサブリーダーといった連携になるわけですが、このなかで組織のことをしっかりと考え、想えるサブリーダーが育っていないというのが問題だということですね。組織として順調に成長していても、次世代を担う若手の方々が役職に上がったときに、単に現在の延長線からスライドして上がっただけでは、下の人たちの面倒をみるとか、組織の未来を考えるとか、自分たちで何か新しいことを仕掛けるといった考えを持てる人材までは育ちません。
 そもそも保育士の方は「子どものために」とか、「子どもが好き」という感覚をベースに、「この仕事をやりたい」という想いからお仕事をされているはずです。ただ未来をみたときに、子どもの数は減っていくので保育業界は厳しい競争になると思います。保育士さんのなかには、「そんな事をいわれても…」とか、「やることもいっぱいあるし…」、「むしろちゃんとやっているし…」、といったような感覚があるかもしれませんが、それでは組織の持続的な成長は難しいと考えます。自分のお仕事はきちんとやっていますとか、“私の仕事”のクオリティが高いです、というだけでは生き残れません。この事実を踏まえて、山ゆり会さんは一人ひとりの視座を高め「I(私)視点」から「We(私たち)視点」へ変えていく必要性を強く感じているのです。
 ただやはり専門職の場合は、現場に固執するというわけではないでしょうけど、現場を一番大切にしたいという気持ちを持つことは無意識のことだと思います。これは教育者として大事なマインドだと思います。ただ現場から離れると、やらないといけない問題が全く違う次元のものになります。たとえば組織のことであったり、予算のことであったり。こういったところをもともとやりたいという人はそういません。
 そういったときに、この部分に対してど真ん中にメスを入れられる研修は少ないと思います。そして、この部分を改善する際に相性が良いのが、今回のプログラムだったと思います。もちろんこれは、TACの営業担当者のヒアリングから始まって、私(講師)も加わり、山ゆり会さんとあわせて三位一体となって考えたからこその解決法だと思います。そのなかでも、山ゆり会さん側の視点から物事をみて考えたというプロセスが、良かったのだと思いますね。

>> 研修はどのように進めていかれたのでしょうか?

 

 実際の研修では、本当に自分がやりたいことを「オーセンティック・セルフ」と、役割として求められることを「ロール・セルフ」とし、これらを考え、高い次元で統合することで、本当の意味での「あなたがすべきお仕事」になるのですよ、ということを伝えていきました。
 一般企業にお勤めの方の場合は、比較的「役割としての自分」が強いことが多いのです。しかし保育士の方の場合は逆になっているので、「本当はあなたの組織はここまで求めているんだよ」ということを伝えていきました。
 ひょっとしたら保育士さんたちは、立ち止まって、改めて今何をやりたいとか、なぜ保育士をするのか、そして今後どうしたいのか、といったことを考える時間があまりないのかもしれません。もしくは、やってはいるのだけれども、日常に追われているので、俯瞰して考える余裕がない。だからそういったことを若手に伝えたり、言語化して説明できないというのは、今何をしていて、これから何をしたいのかということを考える癖があまりないからなのかなとも感じました。だからこそ、今回の研修は受講者の潜在的なニーズや課題にマッチしたと考えています。
 研修は2日間に分けて実施しましたが、間に3ヵ月間のインターバルをとっています。これはその間に実践知を得るためです。研修で形式知を得ても、実践知は養われません。一番大事なのは、知っていることを実際にやってみたときに、どれだけギャップがあるかということです。知っていると、できるの間を埋めるには、トライアンドエラーを繰り返し、成功体験を得ることが重要です。
 そこで、1日目が終わったところでは、まず自分の役割を認識すること、そして自分が本当に何をしたいのか、今一度立ち返って欲しいという2点を伝えました。
 やっぱり必要なのは正しい危機感と、当事者意識だと思います。それを考えるためには、自分が何者で、何ができて、何ができていないのかを把握する必要があります。そしてあるべき組織の姿に向かって、自分自身が課題意識を持って、誰かのために一歩踏み出す、更には矢面に立つ。目指すべきはこういった文化や習慣がある組織ですね。そのカギとなるのがオーナーシップです。
 そういった理由から、当事者意識を高めないといけないという意味でも、今回の研修はすごく合致したと思っています。

>> 今回の研修を担当されてどのようなことを感じましたか?

 

 私の感覚では、山ゆり会さんは保育園の中では一般企業でいうところのリーディングカンパニーなんですね。というのも、今後20〜30年後を見据えて、現状に満足することなく、園や組織を動かしていると感じたからです。
 それと、山ゆり会さんは「根っこ」と言う言葉を大事にしておられる。子どもたちが人としての「根っこ」をしっかり張っていけるようにすることを目標として掲げられています。では周りにいる大人たちはどうなのか? 保育士の方は? そもそも自分がハッピーだと感じていて、日ごろからなにかに挑戦しているとか、自分の根を深く幅広く伸ばしているようでなければ、子どもの根っこを成長させられるでしょうか? 子どもたちは自分を映し出す鏡のような存在ではないでしょうか。そういう意味で、研修を受けたみなさんの努力は、必ず園児の成長にも繋がると考えています。
 それに、私も講師としてはもちろんのこと、やはり人として、見えないところをしっかりと強化していくことが大切だと思っているもので、同じような考えをお持ちの山ゆり会のみなさんと学びの場を共有できたのは本当に嬉しかったです。
 個人的には今回の研修のように、教育者の方々に対して、自分自身が行っていることができるようになるような、その組織が掲げている理念や信念をしっかり体現できるようなお手伝いがもっとできればいいなと感じています。そうすれば必然的に社会も良くなりますからね。全国でこういった知恵の共有が広まれば面白いなと。なにかしら新たな動き、風が起こってくると良いかなと思っています。

今回の研修プログラムの概要と提案ポイント

オーナーシップ研修[主任候補者(サブリーダー)対象]

 

 オーナーシップとは、個人が与えられた職務やミッションに対して主体性を持ち、取り組む姿勢やマインドのことを指します。自分が何者であり、何をしたいのかを知ることにより、圧倒的な当事者意識と責任を育むことができます。この感覚こそが、リーダーシップの第一歩となります。
 今回、山ゆり会様がお持ちの課題に対して、オーナーシップの醸成と、想いを周囲に伝え巻き込む際に必要なコミュニケーション能力の強化が有効と考え、ご提案させていただきました。

 

【参加人数】13名
【実施時期】2021年2月ならびに5月の2回(1.5日)
【実施形式】対面研修
【対  象  者】主任候補となるミドルクラスの保育士

  カリキュラム

 

TAC担当営業からのメッセージ

 

 「TAC=資格の学校」。皆様はこのような印象をお持ちではないでしょうか。
 お客様の中で「昔、資格試験対策で通学したよ」とおっしゃる方もTACが「資格」以外のサービスを提供していることをご存じないことは少なくありません。
 我々は「資格」はもちろんですが、「プロフェッションの養成」を軸に、実務や語学、ヒューマンスキルに関するサービスなど幅広く展開しております。
 特に法人研修においては決まったパッケージではなく、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ性を重視しております。
 組織を作り上げるのは人であり、課題が多岐にわたるからこそオーダーメイドのソリューションが不可欠です。我々の研修を通じて、受講者様に限らずそこに関わる全ての方の未来に貢献することがこの仕事のやりがいだと感じております。

TAC馬原健太

TAC株式会社 法人営業2部
第2グループ
馬原 健太

取材対象団体Profile

まつやま大宮保育園

 社会福祉法人 山ゆり会(まつやま保育園グループ)

 

  公式サイト:https://www.yamayurikai.or.jp/

  〒302-0109 茨城県守谷市本町4210
  TEL:0297-85-5364 FAX:0297-85-5363

 

  ■まつやま保育園
   〒302-0109 茨城県守谷市本町4210
   TEL:0297-48-7843 FAX:0297-45-7193

 

■まつやま中央保育園
 〒301-0814 茨城県龍ケ崎市高砂6691-1
 TEL:0297-62-5562 FAX:0297-62-5713

 

  ■まつやま大宮保育園
   〒301-0816 茨城県龍ケ崎市大徳町4921
   TEL:0297-85-5062 FAX:0297-85-5363

 

■まつやま松並保育園
 〒302-0132 茨城県守谷市松並青葉1丁目1-5 レーベン守谷 THE BRIDGE 1F
 TEL:0297-21-2229 FAX: 0297-21-2239

 

  ■まつやま百合ケ丘保育園
   〒302-0110 茨城県守谷市百合ケ丘2丁目2712-1
   TEL:0297-45-5433 FAX: 0297-45-5434

 

  *電話受付時間 平日:8:30~17:30