「テレワークだから上手くいかない」は間違い!? 本当 の原因はマネジメント力! 今こそ取り組むべきリーダーの育成とは?

「テレワークで社員同士の雑談が減り、閉塞感を感じる」 「テレワーク下でのチームのコミュニケーション不足解消のため、ツールを導入したが利用率が上がらない」 「社員のモチベーションが保てず、離職者や休職者が増えている」……。 新型コロナウイルス感染拡大によりに急速に広まった「テレワーク」という労働形態をめぐり、これまで様々な課題が上げられてきました。「テレワークは機能しない」との声も聞かれ、オフィス回帰が進む傾向も見られています。しかし、チームが機能しない原因は本当に「テレワーク」にあるのでしょうか。

テレワーク

テレワークだからチームが上手く回らない、というのは誤解

新型コロナウイルス感染拡大によりに急速に日本社会に広まった「テレワーク」。
「テレワーク」という労働形態をめぐっては、従来の評価制度の適用の難しさや、勤務時間管理が行き届かない故のオーバーワーク、社員間の没コミュニケーションや、それによって引き起こされる社員のメンタルヘルスの問題などがこれまで課題として上げられてきました。

メンバーシップ型雇用が主流の日本の会社で「テレワークは機能しない」との声も聞かれ、2020年7月以降、雇用者に占めるテレワーカーの割合は新型コロナウイルスの感染状況に関わらず約2割という状況が続いており、テレワークの実施率、実施日数ともにその割合は減少傾向で、オフィス回帰が進む傾向が見られます。(※)

※ 公益財団法人 日本生産性本部(2021年7月16日)   第6回「働く人の意識調査」調査結果レポート

 

KSFコンサルティング代表の古厩啓(ふるまやけい)氏はこう言います。

 

古厩氏「テレワークだからチームが上手く回らない、というのは誤解です。

コロナ下のテレワークにおいては、主に図にような7つの課題が挙げられるのではないでしょうか。

例えば、③のコミュニケーションの不足については、『テレワークで社員同士の雑談が減り、閉塞感を感じる』『上司に気軽に質問ができずストレスが溜まる』など、様々なお悩みの声が聞かれます。④の信頼感・一体感の不足(不安感、不信感、孤独感の発生)についても③の状態から発生する事象で、これらは紛れもなく事実だと思います。

しかし、その原因は『テレワーク』ではありません。実はリーダーのマネジメント力不足に起因しているんです。

 

リーダーのマネジメント力不足が、リモート環境によって顕在化してきて、元々あったマネジメント上の問題を浮き彫りにしたのではないでしょうか

原因は実はリーダーのマネジメント力不足

TAC「では、テレワーク下のチームを上手く回しているリーダーとはどのようなマネジメントができているのでしょうか?」

 

古厩氏「テレワーク下でもチームを上手く回すことができているリーダーは、仕組や場を上手く作れているリーダーです。

管理職の仕事とは、究極に分けると『業務』と『人』の管理です。

『業務』の管理とは、目標設定と進捗管理です。目標設定は、目標設定をしてそれを各自に仕事として振り分ける、役割分担ですね。例えばテレワーク下のお悩みのひとつに、オーバーワークがあります。それは、この役割分担が失敗しているんです。コロナ前はできていたのになぜ今できなくなっているのかというと、実はコロナ前からできていなかったんですね。それでもリアルのオフィスでチームが上手く回っていたのは、チームメンバーが周囲を見て、負担が多い人のフォローをしてくれていた。もしくは上司自身が見て『忙しそうだからやってやるよ』と言うのができたからかもしれない。今チームメンバーのオーバーワークが問題になっているとすれば、それは各自の負担を『見える化』しておらず、適切な役割分担ができていないからだと思います。

『人』の管理は、チームワークの話になりますが、例えばテレワーク下では横の繋がりが見えない、他の人が何をやっているかわからないというお悩みが聞かれます。以前は横の人をチラッと見れば状況がわかったのが、見えなくなったんですね。それも『見える化』してあげる必要があります。

オンライン朝礼をしてメンバーの発言を促す場を作るとか、1on1ミーティングを取り入れるなど、コミュニケーションの機会をリーダーは積極的に用意してあげるべきです。

今まで何気なく行っていたコミュニケーションも、細かく仕組化する

例えば1on1ミーティングを取り入れる場合はただやるだけではなく、『私事』『志事』『仕事』の3つの『し事』の話に分けて取り入れるといいと思います。

ひとつめの『私事』は、普段会社にいれば話しているような他愛のないプライベートの話です。テレワーク下でそういった話をする機会がなくなっているので、意識して定期的に場を作ってあげる必要があるんですね。

ふたつめの『志事』の話は、あなたは将来どうなりたいの?という、キャリアパスの話で、今の仕事との関連性を明らかにして話してあげる必要があります

みっつめの『仕事』の話は、日々の業務の進め方の話です。仕事で困っていることがあっても、テレワーク下で上司に相談し辛いという声も聞かれます。上司と定期的に話す機会を設けることでそういったことから生じる不安感や孤独感を払拭することができます。今まで何となく行っていたコミュニケーションも、細かく仕組化して取り組んでいくことが大事です。

ピンチはチャンス。コロナ禍を契機と捉え、より強い組織作りを

「管理職には業務の流れを日々改善し、効率化していくことが求められています。今このオンラインという環境はもう与えられた条件になってきている。それに対して、昔ながらのやり方をそのままやろうとしても上手くいかないんですね。リーダーは「テレワークだからしょうがない」と考えず、問題を解決する仕組みや場をどんどん作っていくべきなのです。

そうは言ってもチームが上手く回る仕組みの正解は組織の数だけあるので、他社の成功事例を導入しても上手く回るとは限りません。リーダー一人で解決できるかというとなかなか容易な話ではないですよね。

テレワーク下のチームコミュニケーションにお悩みで、リーダー層への研修の導入をご検討されているなら、例えばチームメンバー全員で、どうやったら自分たちのチームに一番適合したコミュニケーションの仕組みが作れるのか、講師をファシリテーターとして、アイディアを出していく形の研修も有効だと思います。チーム一丸となって取り組むことでチームビルディングの効果も期待できます。

今のコロナ禍という状況は、リーダーのマネジメント力や、チームの弱点を改めて見つめなおせる、とてもいい機会だと思うんですね。これをチャンスと捉え、テレワーク下のみの対処療法を考えるのではなく、根本からより良いチームの作り方、チームを回せるリーダーの育て方を見直していくことで、組織としてさらに強くなっていけるのではないでしょうか。そしてそれは今後コロナが収束した後の組織にとっても、間違いなく有用なことであると思います」

リーダーとして必要な経営知識を身につけるなら
マネジメント力を高めたいリーダー層にお勧めしたい資格が「企業経営アドバイザー」。この資格取得を通して、経営知識を体系的に学び、ビジネスを理解する力が身につきます。経営層との共通言語が増え、組織(会社)を俯瞰して見る力が養える資格です。


資格を取得すると・・・
・経営層と現場の橋渡し役となり、社内のベクトル合わせをスムーズに推進できる
・事業の流れがより見えるようになり部署間での連携が図りやすくなる
・「(資格認定要件の)対話力向上講習」をとおしてコミュニケーション力、質問力が身につく


などのメリットがあります。リーダーとして自社のビジネスを深く理解して行動することで、チームのメンバーも安心してついていくことができるでしょう。

企業経営アドバイザーについて詳しくはこちらから▼

企業経営アドバイザーとは?

古厩先生_プロフィール