先行き不透明で将来の予測が困難なVUCA時代に必要な思考法として、バズワード化している「デザイン思考」。 「デザイン思考」とは、デザイナーやクリエイターが業務で使う思考プロセスを活用し、前例のない課題や未知の問題に対して最適な解決を図るための思考法です。企業を取り巻く激しい環境の変化をチャンスと捉え、課題発見や解決策の提案に取り組み挑戦できる、「デザイン思考」人材を育成するためには、どうすればいいのでしょうか。 TACでは、博報堂アイ・スタジオの今井 康之講師をお招きし、「デザイン思考」の基本理解から、「デザイン思考」浸透のためのアプローチや具体的施策までをテーマにしたオンラインセミナーを2022年1月19日に開催いたしました。 セミナーの当日の様子をお伝えする開催レポートをお届けします。

講演者プロフィール

今井 康之(いまい やすゆき)講師
博報堂アイ・スタジオ
プロデューサー・UXデザイナー
 

●プロフィール
2010年博報堂アイ・スタジオ入社。スマートフォンの普及をはじめとした生活者のデジタル環境の大きな変化の中で、企業や商品のウェブサイト・アプリ構築にプロデューサーとして多数関与。近年では制作領域での経験を活かし、ユーザー体験を軸に、新規事業開発やブランド構築など、プロデューサー・UXデザイナーとして支援を行っている。

 

セミナーレポート

今回のセミナーは、「デザイン思考」について以下の3つのテーマで行われました。

 

バズワードの「デザイン思考」、今さら感も。自分の言葉で説明できますか?

デザイン思考ってつまり?

デザイン思考の意味や重要性は分かるがなぜ自社に必要か説明できますか?

自社にいる?いらない?なぜなら?

自社に必要と分かるが、その導入方法が不明、苦戦してませんか?

どうやって導入、浸透する?

 

冒頭、今井講師がzoomの投票機能を使い、セミナー参加者の方に上記3つのテーマから今の気持ちに一番近いものを投票していただきました。投票の結果、5割以上の参加者の方が「デザイン思考ってつまり?」という気持ちを抱き、3割の方が「どうやって導入、浸透する?」という気持ちを抱いていました。

 

デザイン思考ってつまり?


セミナーはまず、「デザイン思考の最近の文脈」からお話が始まりました。

バズワードになって久しい「デザイン思考」。「デザイン思考」関連の書籍が多数出版され、企業の「デザイン思考」導入の取り組みが報じられたり、行政からの情報発信もあるなど、バズワード故に情報が溢れ、類語が氾濫し、色々な情報を知れば知るほど、結局「デザイン思考って何なの?」という気分に陥っている方が多いのではないかと今井講師は語ります。

今井講師は、「デザイン思考」とは端的にいうと〝デザイナーではない人が、デザイナーが(無意識に)やっているように考える・行動する〟こと、これ以上でもこれ以下でもないので、無理に定義しようとするのはやめて、正しい問題を見つけ、正しい解決策を見つけるくらいに捉えるのがよいのではないか、と語りました。

デザイナーの持つ思考 — 顧客体験に基づく提供価値重視の思考


デザイナーが考えていることとは何か。今井講師は、プロデューサー・UXデザイナーとして働く現場の視点から、それは「いいデザインを作りたい」ということでしかない、と語ります。

デザイナーが考える「いいデザイン」とは、「ユーザーが喜ぶもの」「心を動かすもの」「ダサくないもの」「ビジネス要件を満たすもの」。つまり、顧客体験に基づく提供価値重視の思考であり、ビジネスサイドが「いいデザイン」と考える「低コスト」「株主の納得」「競合優位性」「ローリスク」「ROI」「売れるもの」という科学的経営に基づく経済性合理性重視の思考とは乖離があります。

そのデザイナー特有の考え方に「デザイン思考」のヒントがあるとし、今井講師はデザイナーが顧客の問題を解決するために行なっている正しい問題を見つけ、正しい解決策を見つけるという行動プロセスと、それを実現するためのキーワード共感仮設立案と検証の反復」「可視化(プロトタイプ)について豊富なスライド資料を用いて説明されました。

ミニ演習:Value Proposition Canvas


デザイナーが現場で無意識に行なっている思考法は、長年の現場の経験から培われた感性であり、残念ながら簡単に習得できるものではありません。しかし、フレームワークを用いてビジネスにデザインのエッセンスを持ち込むことで、少なくともこれまでとは違う変化を起こせるのではないかと今井講師は語ります。

今回のセミナーでは、プロダクトと顧客のニーズを常に対で考え、いったり来たり反復的に検討することでニーズと提供価値の不整合をなくすためのフレームワークValue Proposition Canvas(バリュープロポジションキャンバス)を実践していただきました。「ポーション容器入り鍋つゆ」をテーマとして、オンラインホワイトボードツールmiroを使用し、実際に参加者の方に「顧客セグメント」と「提供価値」について、それぞれの考えを書き込んでいただきました。

デザイン思考は自社にいる?いらない?なぜなら?


デザイン思考の今日的文脈と要諦、演習によってデザイン思考の概要を理解していただいた後、セミナーのテーマはデザイン思考は自社に必要なのかという内容に移ります。

デザイン思考自体はただの思考法であり、それ自体は成果をもたらすわけではありません。しかし、イノベーションを生み出すための標準プロトコルであり、ツールでも方法論でもなく、当たり前の共通認識として息を吸うようにして皆が持っているべきものであると今井講師は語ります。

新しい「価値」が続々と生まれていく第四次産業革命時代は、「価値を企画」する時代でもあります。例えば音楽を聴く際にCDという「モノ」を手に入れることを重要視するのではなく、ストリーミングなどで音楽を聴くことで得られる「体験」を重視する時代になっているのです。

そうした新しい「価値を企画」するためには、従来通りの思考法ではなく、顧客さえ気づいていない価値を見つけ、形に変えていく、新しい価値創出のための、新しいプロトコルが必要になります。今井講師は、「デザイン思考」がそのプロトコルの有力候補になるのではないかと語りました。

 

どうやって導入、浸透する?


デザイン思考の浸透は難しいと言われています。では、デザイン思考浸透のため、HRの観点から何ができるのでしょうか。

今井講師は、思考は無意識で行うものであり、具体的な題材を通して、自分の頭で悩み抜くという実戦を積むところからしか身につかないと語ります。デザイン思考浸透のためには、自社の人材を、実務で他者をリードする「実践リーダー」、実務に携わる「実践者」、デザイン思考の考え方を理解している「ナレッジ保有者」にレベル分けし、「実践リーダー」や「実践者」に向けたアプローチとして、実戦の舞台をHRからつくる「新規事業コンセプト立案の仮想プロジェクト」のプロセスをご提案されました。

 

最後に今回のセミナーの内容のまとめと、質疑応答の時間を設け、セミナーは終了となりました。


セミナーにお申込みいただき、当日ご都合により視聴できなかった方につきましては、下記の動画視聴画面に、別途お送りしたパスワードをご入力いただくことで、レコーディングした映像をご覧いただくことができます。

 

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