ビジネスにおけるプレゼンは、起業や商談において必要不可欠なスキルの一つです。

一方で、実際は日本のビジネスパーソンのうち半数以上がプレゼンに苦手意識があるというデータがあるほど、このスキルをビジネスに活かせていない現状があるようです。

魅力的なプレゼンの鍵は…ずばり、お笑いのスキルである「フリオチ」なんです!

2024年3月21日に開催したセミナーでは、元プロ芸人・元キーエンス営業マンで、現在はYouTuberとして活躍している「伝えるプロフェッショナル」である奥山講師が、「お笑いの”フリ”のテクニックを具体的に活用する方法」を実践ワークを交えて解説しました。セミナーのレポートをお届けします。

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「フリ」とはなにか

まず、奥山講師によれば、お笑いの基本スキルである「フリオチ」とは、以下のように定義されます。

「フリ」=共通認識の設定

「オチ」=共通認識の破棄

「フリオチ」について、奥山講師は「ダチョウ倶楽部」さんの団体芸「どうぞどうぞ」を例に挙げて解説されました。

 

【ダチョウ倶楽部さんの団体芸「どうぞどうぞ」】

A俺がやるよ Bいいや、俺がやるよ

Cじゃあ俺がやるよ ABどうぞどうぞ Cいや、やらないんかい!

 

上記の例では、「Aおれがやるよ」から「Bいいや、おれがやるよ」までのフリで、流れを作り、「Cじゃあ俺がやるよ」「ABどうぞどうぞ」というオチで、「やらないんかい!だまされたわ!」と笑わせています。奥山講師は、もしオチだけしかなければ面白くないことを受講者に問いかけ、「フリがあるからオチで笑える」と結論づけました。

プレゼンにおける「フリ」の重要性

では、お笑いにおける「フリオチ」が、ビジネスでどのように活きるのでしょうか?

奥山講師は、成功するプレゼンは、相手の心を動かし、相手自身を動かすことだと語ります。そして、ビジネスにおいて、私たちが伝えたい商品やサービスは「オチ」にすぎず、お笑いがオチだけでは笑えないように、商品やサービスのことだけを話しても、「フリ」がなければ相手の心を動かすことはできないと、奥山講師は主張します。 ここで、フリのあるなしの違いを体験できる具体例として、「安さが売りのトレーニングジム」をプレゼンする事例が取り上げられました。奥山講師は、フリとして「ジムは月謝が高い、続かない」という共通認識(課題)を設定した上で、オチとして「安くて通いやすいジム」を提案すると、共通認識が破壊され、聞き手は心を動かされると訴えます。 このようにフリがあるプレゼンは、「オチ」、つまり商品やサービスの魅力をさらに納得させて伝えられる効果があると、奥山講師はお話になりました。

9つある「フリ」の種類と使い方

続いて、「フリ」にはどんな種類があるのかという話題に移ります。

奥山講師によれば、フリの役割は大きく「共感」と「発見」の2つがあります。共感は、聞き手と目線を合わせることで安心感を与えること、発見は、聞き手に知見を共有することで驚きを与えることです。 奥山講師は、共感と発見をベースに、語り(自分発信)と問い(相手に問う)を加えて分類した、以下の9つのフリを紹介されました。

  フリの種類 フリの解説
共感×語り ①あるある 共通認識を持たせるよう語る
②代弁 あるあるを一般人になって語る
③一般体験談 一般的な体験を語る
共感×問い ④合意形成 あるあるを質問にした、合意形成を求める質問
⑤アンケート 誰でも参加できる質問
発見×語り ⑥データ 相手の知らない情報を語る

⑦特殊体験談

一般的ではない、自分だけの体験を語る
発見×問い ⑧数字クイズ 数字(データ)を見せて質問する
⑨逸話 すぐには回答できない質問。考えさせて、答えが出たときに、インパクトを与える

奥山講師は、「プレゼンの種類」と「プレゼンの相手」によって、フリを使い分けることが効果的だと語ります。

例えば「ピッチ」などの短時間で要点をまとめる際は、フリはさらっと触れる程度が望ましく、聞く人に課題感がある「プレゼン」は、相手の課題に対応するフリを用意します。また、「スピーチ」では、自分が用意したフリオチを思いっきり喋ることがポイントだと言います。 参加者から寄せられた「どのフリを使うべきかわからない」という質問に対し、奥山講師は

 

・「特殊体験談」は効果が最も高く、優先度が高い

・「問い×発見」も有効で、数字クイズや逸話は調べれば必ず見つかる

・何から取り組めばいいかわからない場合や伝える時間が短い場合は、「発見×語り」から始めると取り組みやすい

 

とアドバイスされました。

実践ワーク

講義の後には、講師が設定した「フリの種類(あるある・アンケート・一般体験談・データ)」と「オチ」に合わせて、「フリ」を作成するワークの時間が設けられ、奥山講師による実演や補足説明が行われました。

 

最後に、プレゼンや営業、コミュニケーションに関する質問が積極的になされ、奥山講師の実体験を踏まえた実行力の高い様々な回答をいただきました。

欠席された方に当日の模様をご紹介(動画配信)

【セミナー申込者限定】

 

セミナーにお申込みいただき、当日ご都合により視聴できなかった方につきましては、下記の動画視聴画面に、別途お送りしたパスワードをご入力いただくことで、レコーディングした映像をご覧いただくことができます。

講演者のご紹介

奥山 慶久( おくやま よしひろ) 講師

一般社団法人社会人お笑い協会 代表理事

 

●プロフィール

2014年、明治大学在学中にワタナベエンターテインメント18期からプロ芸人としてデビュー。2017年、芸人としての活動を引退し、株式会社キーエンスへ就職。センサ事業部に配属され、2年目で営業成績3ヶ月連続全国1位、2半期連続全国3位のトップ営業として表彰される。2019年退社。
同2017年、社会人お笑い団体「わらリーマン」を立ち上げる。2020年、一般社団法人社会人お笑い協会を設立。2023年から「ユーモアでコミュニケーションに革命を起こす」を理念にセミナー・研修事業を開始する。同2020年、YouTuber「オックン」としてチャンネルを開設。現在のチャンネル登録者数は27万人を超える。

 

●研修実績

・西大井創業支援センター「グッとプレゼンに引き込むための”ツカミ”力を200%UPさせるワークショップ」「お笑い芸人のスキルから学ぶ!惹きつけるプレゼン術ワークショップ」
・StartupSide Tokyo「ユーモアの賢い使い方:成功するプレゼン戦略」
・大手アパレルブランドB社「芸人から学ぶ!ユーモアでお客様の心をツカむコミュニケーション研修」
・神奈川県平塚市主催「社会人のための漫才ワークショップ」
・埼玉県加須市大利根中学校「漫才体験とキャリア教育」
・学校法人向上学園向上高等学校「キャリア教育プログラム〜視野を広げるキャリア教育〜」