TACオンラインセミナー『従業員エンゲージメントを高める「数字を読む力」』を2022年6月30日に開催いたしました。

会計知識がもたらす人材育成の効果や、知ると実は面白い会計世界の魅力、会計・財務の階層別研修事例などを解説した無料セミナーの開催レポートをお届けします。

講演者からのご挨拶

セミナーレポート セミナーレポート

はじめに

若手社員の早期離職の要因とはなんでしょうか。

新卒入社後3年以内に退職した若者100人のインタビューをまとめた『早期離職白書』(発行:株式会社カイラボ)では、以下を早期離職の三大要因としています。

 

・存在承認
「会社・職場において自分の存在が認められているかどうか」

・貢献実感
「社会・顧客・職場などに貢献できていると本人が感じているかどうか」

・成長予感
今の仕事を続けることで将来のなりたい自分になれる予感があるかどうか」

 

では、若手社員が求める「存在承認」「貢献実感」「成長予感」について、「会計」を学ぶことがどのように寄与するのでしょうか。

今、会計知識が社員教育に必要な理由

セミナー冒頭、蓮尾先生の自己紹介がありました。
現在は公認会計士としてTACの公認会計士講座の講師や、企業で会計監査のアドバイザリーなどとしてご活躍される蓮尾先生ですが、大学卒業後に半導体のバイヤーとして勤めた会社を一年足らずで退職されています。
蓮尾先生は、当時の自身を振り返り、会計の知識がなかった若手社員時代は、購買担当の自分の仕事がどのように会社に貢献しているかわからないまま、ただ上司に言われた業務だけをこなしており、日々の仕事に忙殺され仕事に対するモチベーションが保てず、離職してしまったと語りました。

蓮尾先生は損益計算書を用いて、会計を学ぶことで可視化される

 

・営業担当者の努力は、どこに影響するか?

・購買担当者の努力は、どこに影響するか?

・本社社員の効率アップで残業時間が減ったら、どこに影響するか?

 

という、各部門の営業利益への影響を、具体的な数値例を入れながら解説されました。

蓮尾先生は、会計知識のなかった若手社員時代と、公認会計士として会計知識を得て、企業の数字を俯瞰して見ることができる現在の意識の違いから、会計知識を学ぶことには、

 

・計数感覚の養成
・モチベーションの向上
・人材のリテンション

 

という、三つのメリットが考えられると語りました。

会計を学び計数感覚を養うことで、例えば営業なら、クライアントの数字を理解し、目的・メリットを明確にして交渉を進めることができ、クライアントとの会話レベルが向上します。

また、企業を俯瞰することができる会計知識は、個人の自律的な成長や学び直しを後押しし、自己成長を支援する場があることで、若手社員の「成長予感」にもつながります。

また、会社のお金の流れや仕組みが理解できるようになることで普段の自分の業務がどこに貢献できているのかが可視化され、「存在承認」や「貢献実感」を感じやすくなることで仕事に取り組む姿勢に責任感や積極性が芽生えるなど、社員のモチベーションやエンゲージメントも向上し、人材のリテンションにつながるのではないかと蓮尾先生は語りました。

最後に、財務研修で受講生から人気の高いキャッシュフロー計算書を用いた企業当てクイズのデモンストレーションを行い、蓮尾先生のパートは終了となりました。

「会計って意外と面白い!」巻き込み型の財務研修

セミナー後半はTAC法人営業部の大内が参加し、蓮尾先生とのパネルディスカッション形式で進行しました。
大内は、TACで提供している財務会計研修のポイントについて、研修受講者が自分事として捉えられるよう、身近なケースに合わせて作成している財務諸表クイズや、グループに分けて議論を行うワーク、財務知識の学びをしっかり持ち帰っていただくための問題演習などをご紹介しました。

また、昨今、財務研修を行う業界も広がっており、新人には計数感覚を養うため、管理職には意思決定を行うため、会計にも階層別の研修が必要である事例をご紹介しました。

最後に質疑応答の時間を設け、セミナーは終了となりました。

欠席された方に当日の模様をご紹介(動画配信)

【セミナー申込者限定】

セミナーにお申込みいただき、当日ご都合により視聴できなかった方につきましては、下記の動画視聴画面に、別途お送りしたパスワードをご入力いただくことで、レコーディングした映像をご覧いただくことができます。

講演者のご紹介

蓮尾 倫弘(はすお ともひろ)講師
公認会計士

●プロフィール
大学卒業後、大手総合電機メーカーに勤めるも一念発起し、公認会計士試験にチャレンジ。合格後は大手監査法人に約12年勤務。IPOから上業企業、外資系企業の幅広い監査実務に従事し、マネージャー職まで務める。
現在は独立し、会計コンサルティング・税理士業務の傍ら、TACにて公認会計士講座の財務諸表論講師として教壇に立つとともに、財務会計分野を領域として企業研修講師も務めている。

略歴を教えてください。

 

大学卒業後、大手総合電機メーカーで半導体のバイヤーを担当しました。退職後、会計士試験勉強に専念し、2008年に公認会計士試験に合格、PwCあらた有限責任監査法人で約12年監査実務を経験しました。そのかたわら、研修講師としてプロジェクトマネジメント、コーチングスキルの研修も担当していました。現在は独立し、TAC株式会社の公認会計士講座で財務会計理論の講師をしています。

 

普段どのような研修をされているかを教えてください。

 

企業様向けには、「財務分析基礎」「初めてのキャッシュ・フロー」「固定資産の会計と税務」等、会計のコンテンツを中心とした研修を実施しています。

 

研修をされる際に大切にしていることを教えてください。

 

会計というと難しく、後ろ向きに考えられる方が多いと思います。研修は数時間に渡るのですが、私の講義では、リラックスし、楽しく受けていただいて、全てをきちんと理解する必要はないということを伝えています。「今日は来てよかったな」「楽しかったな」「全ては理解できなかったけど、あれは分かった」と各個人に何か気づきを与えることを心がけています。

 

これまでのご実績(導入実績、導入後の変化)をお聞かせください。

 

某鉄道会社、某証券会社の幅広い職種・年代の方を対象に、上記の「財務分析基礎」「初めてのキャッシュ・フロー」「固定資産の会計と税務」の研修を実施しました。説明が分かりやすい、話が面白い、先生のことをもっと知りたい、というお話はいただいております。

 

研修で期待できる効果をお聞かせください。

 

まずはこれまで会計を知らなかった人に会計って意外とおもしろいんだ、と思っていただくことを狙いとしております。会計(数値)を知ることで、会社の仕組みやお金の流れを理解し、普段の業務に取り組む意識が変わり、自己成長を支援する体制があることを社員に認識させることができます。これによって、社員のモチベーションが上がり、優秀な人材のリテンションにつながるという効果が期待できます。